神奈川革新懇は7月25日、神商連会館で「地域公共交通問題 学習交流会」を開催しました。講師に愛知大学地域政策学センター研究員の可児紀夫さんを招き、バス路線の廃止・減便による「買い物難民」「医療難民」の増加など、待ったなしになっている地域公共交通問題の原因と打開の方向を学び、住民運動の意欲を高め合いました。77人が参加しました。
交通権は新しい人権
可児さんは国土交通省職員として、3年間、岐阜市総合交通政策室に出向して市民参加の交通政策を策定してきた経験を紹介。「憲法と地方自治が生かされた交通権が保障される地域交通を考えたい」と講演を始めました。冒頭、中学の教科書で「赤字バス路線に税金を使うべきか」を、地域交通の役割を学んでいない生徒に議論させ、廃止の世論に誘導していると問題提起しました。そして、地域交通活性化法の「改正」は総合的な交通政策が欠如していると批判。憲法の理念と地方自治の精神を土台にした住民参加の政策づくりの大切さを訴えました。
「交通とは目的でなく手段」とし、「コミュニケーションで文化を育み、豊かな生活を創る目的を実現するためにある」ことを強調。しかし、日本の公共交通政策は採算の最大化、自治体負担の赤字補填を目指していると指摘し、「世界標準の公共交通政策の目標は社会全体の利益(環境・教育・健康・福祉・観光など)の最大化だ」と訴えました。
公共交通をまちづくりの土台とした岐阜・木曽町の交通政策や、健康・経済・環境・市営交通に効果を発揮した名古屋市の敬老パスなどのとりくみを紹介し、「交通権は憲法22条の居住・移転および職業選択の自由、25条の生存権、13条の幸福追求権に関連する新しい人権だ」と強調しました。
岐阜市での市民参加による総合的な交通政策づくりやコミュニティバスを運行した経験、富山・朝日町での住民参加と協同ですすめた地域交通、兵庫・福崎町での自治を尊重する協同と住民参加の協議会で運営する地域交通、長野・松本市での公設民営方式で地域交通を作り課題を解決した経験を紹介しました。また、韓国のソウル市やアメリカのオレゴン州ポートランドの経験なども具体例として話しました。
参加者との質疑応答に続き、箱根町、湯河原町、横浜市南区、相模原市、横浜市栄区、川崎市から活動の報告がありました。可児さんの講演に、「交通権を軸に、交通政策はそれだけに止まらず、地域経済や福祉・医療・文化などさまざまな分野に波及効果があるというお話、たいへん新鮮でした」「素晴らしい講演でした。交通権は人権!『ハッ』としました。経済効果が大きいことも分かりました。豊富な実践に裏付けられたわかりやすい話でした」などの感想が寄せられました。