今日12月4日は、福岡市南区革新懇の第24回定期総会。第一部は、黒木彬文元福岡国際大学教授の講演「日本近代史の総括で東アジア諸国との真の友好を築こう!」。
たいへん深く学べました。
私が講演から学んだチェックポイントを以下にメモ書きしています。
戦後の日韓関係を定めた日韓基本条約は国交正常化条約である。また同時に結ばれた日韓請求権協定は経済協定である。どちらも、日本の植民地支配を清算する性格の条約、協定ではない。
日韓両国政府は当時、立場や主張で対立していたが、ベトナム戦争遂行のために両国から協力を得るために強い圧力で条約を締結させた。
・対立していた首長の主なもの
①1910年朝鮮併合条約について
日本政府・・・朝鮮併合条約は合法的
韓国政府・・・武力による成立で無効
②朝鮮統治の性格
日本政府・・・朝鮮の経済的社会的文化的向上と近代化に貢献
韓国政府・・・朝鮮の健全な政治経済文化的発展は阻害され、民族的差別、抑圧を受けた
日本軍「慰安婦」をめぐる日韓両政府の関係
①1992年宮沢首相、国会で日本政府の従軍慰安婦への関与を認める
②1993年河野談話
③1995年村山談話
④1996年橋本首相、「償い金」をお詫びの手紙を添えて贈る。以後、小渕、森、小泉首相もこれを踏襲。
⑤2001年国連主催ダーパン会議で、植民地支配を「人道に対する罪」と決議。国際社会では、植民地主義、人種差別、女性差別を否定し、植民地支配の歴史を反省し、謝罪、賠償を求める市民運動が発展。
※この流れが安倍内閣の登場で大きく変わってくる。
※一方、この間、安倍・菅・岸田内閣の閣僚の中に、改憲右翼団体の「日本会議」や「神道政治連盟」のメンバーが入り、歴史修正主義にもとづく改憲・右翼政治推進の役割を強めていく。両団体とも、日本の過去の侵略戦争を「自存自衛」「アジア解放」の“正義の戦争”として肯定・美化してきた靖国神社と同じ立場から、「憲法改正」や、天皇・首相の靖国公式参拝を求めるなど、戦前への回帰を志向し、これが自民党政治の中心的地位を占めていく。
⑥2015年日韓慰安婦合意(安倍内閣、岸田外相)。しかしこの合意には、重大な欠点あり。
⑴口頭の約束にしか過ぎず合意文書はない。
⑵韓国政府は被害者への聞き取りや事前の相談をしなかった。
⑶国連、国連の女性差別撤廃委員会、人権専門家たちも、重大な人権侵害に関する国家責任の基準に合致していないとし、「合意の見直し」も出された。
⑦2018年韓国大法院は新日鐵住金(現在の日本製鉄)の上告を破棄し、元徴用工の勝利判決が確定。この判決のポイントは以下の3点。
⑴植民地支配を不法とする
⑵1965年日韓請求権協定は植民地支配下の戦時強制動員を対象としていないので、その損害賠償(慰謝料)は未解決
⑶故人請求権の存在を認める
⑧安倍内閣は、韓国大法院判決に強く反発し、日本メディアも同調する
⑨韓国の代表的見解は以下の通りです
・韓国の日本軍元「慰安婦」や軍による強制動員被害者が人権侵害回復を求め提訴する理由は、金銭的賠償の目的だけでない。自分の経験が不法不当な人権侵害であったことの公的確認を得ること。同時に、被害者の正当な権利行使により加害者に適切な責任を負わせる目的も併せ持つ。
では、どうやって解決を図るのか
①歴史的事実の認定
・日本軍「慰安婦」制度は、日本政府・軍が主体となって慰安所を設置、運営した。慰安婦制度は、女性の人格の尊厳を破壊し、行動の自由を許さない性奴隷制度であった。
②日本国家の謝罪と賠償
・日本政府は軍の関与は認めているが、政府・軍の責任を認めていないし、賠償も否定している。日本政府は、これらを認めて、元慰安婦各人への「謝罪」を政府声明あるいは国会決議で行い、国家賠償もする必要がある。
③記憶の継承
・再び同じことを繰り返さないために、歴史教育や人権教育を通して、将来の世代に伝えていくことが大事。
(堀内てつおさんフェイスブックから)