沖縄県の本土復帰50年にあたり、全国革新懇が声明発表 

             「沖縄の本土復帰50年にあたって」     

        平和で豊かな沖縄の実現は、憲法が生きる日本をめざす課題 

 本日、沖縄県は、本土復帰から50年目をむかえた。1945年、県民の4人に1人が犠牲になった沖縄戦で米軍に占領され、1952年4月28日の「サンフランシスコ講和条約」の発効で本土から切り離され、アメリカによる占領統治が27年間も続いた沖縄の人々は、日本の平和憲法のもとでの基本的人権の保障を願って復帰運動をたたかい、1972年5月15日に復帰した。

 それからの半世紀、切なる願いは日米両政府によって踏みにじられ続け、「基地の中に沖縄がある」と言われた状況も、基地がある故の人権侵害もなくなっていない。そればかりか、米中の覇権争いが激化して緊張が高まり、2015年9月に強行された戦争法(安保法制)が具体化されるもとで、名護市辺野古での新基地建設や沖縄本島、宮古島、石垣島への自衛隊ミサイル部隊の配備、日米合同の軍事訓練激化など、負担の押しつけはさらに強まっている。

 さる5月10日に沖縄県が政府に提出した「平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書」は、そのような基地負担の重さを指摘し、在日米軍基地の70.3%が集中する状況と基地の存在が沖縄の経済的自立の阻害要因となっていることを告発している。

 またロシアによるウクライナ侵攻という事態に直面し、77年前の沖縄における地上戦の記憶を呼びおこすだけではなく、東アジアの軍事的緊張の高まりのもとで基地が集中する沖縄の現実的な危機への懸念を表明し、武力によらないアジア太平洋地域の安定のための外交努力を政府に強く求めている。全国革新懇は、この「建議書」に賛意を表明する。

 他国への侵略を禁止し、国際紛争の平和的手段での解決を義務付ける国連憲章にもとづく平和の秩序を、ロシアが公然とじゅうりんする事態がいま起きている。それだけに、為政者が始めた武力と武力の衝突に多くの民間人が巻きこまれる今の戦争の悲惨さ、一度おきた戦争は短期に収束しないという事実などに目を向けた市民参加の平和の探求と安全保障論議が求められている。

その際に、沖縄の現状と県民の思い、軍事基地がある故の日常生活の危険と困難さや、戦火の際に真っ先に被害をうける恐怖などに寄りそうことは不可欠である。

そのことからも、沖縄の加重な基地負担の現状を確認し、新基地建設反対の県民世論を踏みにじり続ける日米両政府への怒りを共有し、東アジアでの軍事的緊張の高まりへの恐怖をわがことと受けとめたい。

全国革新懇は、軍事対軍事の道に引き込む9条改憲や「敵基地攻撃能力保有」などの軍事大国化に反対し、東アジアに外交による平和創出の枠組みを実現するよう求めて取り組みを強める。同時に日米安保体制こそが沖縄に米軍基地の苦しみを押しつけている根源であることを告発し、安保条約をなくす国民多数派を形成するために力を尽くすものである。

 沖縄の本土復帰50年は、憲法施行75年、「サンフランシスコ条約」発効70年とも重なる節目である。「基地のない平和で豊かな島」沖縄の実現を共に目指す連帯を表明するとともに、憲法をいかした平和で民主的な日本、個々人の尊厳が大切にされる日本をめざして取り組みを続ける決意を重ねて表明する。

                                      2022年5月15日

                          平和・民主・革新の日本をめざす 全国の会

                                       (全国革新懇)                                           

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