2024年7月2日
平和・民主・革新の日本をめざす全国の会 事務室長
2023年12月に米軍嘉手納基地所属の空軍兵による少女誘拐、性的暴行事件が発生していたことが、半年後に明らかになった。その直後に、今年5月に米海兵隊員が女性に性的暴行を加えて傷害を負わせたことも露見した。いずれも、政府や沖縄県警が事件を認知しながら、沖縄県には一報もしていなかった。とりわけ、空軍兵による事件では、事件発生から3か月後に被疑者が起訴され、裁判所が身柄保釈を許可しているが、いずれの段階でも沖縄県には通報されていない。6月16日投票でたたかわれた沖縄県議選を意識した隠ぺい行為だとの批判の声さえあがっている
さらに沖縄県警は、2023年以降今年5月までの間に、不同意性交容疑で検挙した米兵犯罪が5件あること、いずれも沖縄県に通報していないと沖縄県議会で答弁した。
1995年9月の少女暴行事件や2016年4月のうるま市での米軍元軍属による女性殺害事件などと同様の、米軍基地がある故の凶悪事件が今また繰り返された。
女性の人権が侵害され、地域の安全が壊されることに、日本政府が有効な対応を行っていないとの不信は高まるばかりである。
基地負担の軽減を求め続ける沖縄県民の声をふみにじり、代執行まで行って新たな米軍基地建設を押し付けていることとあわせ、沖縄県、県民に対する日本政府の姿勢には厳しく抗議する。
政府は、犯罪をおこなった米兵などの身柄を日本側が拘束し、日本の法律に基づいて罪を償わせるよう日米地位協定の改定をアメリカ政府に求めるべきである。
今回明らかになった重要な点は、1997年の日米合同委員会で確認されている米軍の事件・事故の際に、日本側関係当局や地元社会に速やかに情報提供するという通報体制が機能していなかったことである。
空軍兵による事件で政府は、今年3月に駐日アメリカ大使に抗議していた。にもかかわらず、沖縄県など関係機関への通報は行っていなかった。先述のように、昨年来発生した5件の女性暴行事件のいずれもが通報されておらず、意図的に沖縄県への情報提供をサボタージュし、隠ぺいしたことさえ疑われる。県民の安心、安全の確保という沖縄県の行政責任を阻害する行為でありお、強く非難されるべきである。
米軍人や軍属による事件・事故がくりかえれるたびに、政府は原因究明と再発防止、米兵などの綱紀粛正を表明するが、事実の公表を隠蔽する体質や事件頻発の大本にある日米地位協定の不平等性を残したままでは、その実効性は担保できない。
日米軍事同盟が変質し、米軍と自衛隊の「融合」が進む今、基地周辺に暮らす人々の人権を最大限重視する政治が、より強く求められていることをあわせて主張する。