2024年8月22日
平和・民主・革新の日本をめざす全国の会 代表世話人会
8月14日の記者会見で岸田首相は、「自民党が変わることを示す最もわかりやすい最初の一歩は私が身を引くことだ」と述べ、9月下旬に予定される自民党総裁選挙に立候補しないことを表明した。これによって、3年間の岸田政権に終止符が打たれることになった。1年以上にわたって政権支持率が不支持率を下回り、とりわけ自民党派閥での裏金問題が表面化した昨年末以降の支持率は20%台に低迷し続け、岸田首相の早期退陣を求める市民の声も高まっていた。退陣表明は、市民の批判と怒りに追いつめられた結果にほかならない。
岸田氏の退陣表明を受けた自民党内の後継争いが始まっているが、「看板のかけかえ」でこれまでの自民党政治を継続し、旧態依然とした「派閥領袖」が跋扈する後継選びで市民の信頼を取り戻すことは断じてできない。岸田政権への市民の批判を真摯に受け止めることが出来ない自民党に、あすの希望を託すことはできない。
岸田政権の3年間で、安倍政権以降より顕著になった民主主義、立憲主義、憲法破壊、対米従属の悪政がより一層進み、自民党の傲慢さが露骨になった。
派閥での裏金作りの全容解明も議員の処分にも中途半端で、政治資金規制法改正も企業団体献金を温存する姿勢が露骨だった。「政治とカネ」の問題に対する市民の怒りに背を向け続けたことが所属議員の汚職や政治腐敗事件が相次ぐ背景にある。
安倍政権で強行した集団的自衛権行使のための安保法制(戦争法)を実行し、米軍と一体で敵基地攻撃を行う自衛隊に変質させる「安保3文書」を閣議決定し、2023年度からの5年間で総額43兆円もの大軍拡にも踏み込んだ。さらに、自衛隊の指揮権をアメリカ軍に委ね、アメリカの核抑止力に依存する安全保障政策を市民への説明も国会での審議もなしに進めた。憲法違反を重ね、国会内の数に力に頼った強権政治が極まった。
国民の多数が反対する安倍元首相の国葬を強行し、表面化した統一教会と自民党などとの癒着関係の清算も行わず、裏金問題にも通じる自浄能力なき自民党政治を明らかにした。原発依存への回帰やマイナ保険証の実質義務化、子育て支援を口実にした実質増税などの政策転換も、市民の合意を得る努力もなしに事実を先行させてきた。
民意から乖離し、強権的に進められたこれらの政治、政策のすべてが、経済の停滞、人権政策の立ち遅れ、社会保障や教育切り捨てによる格差と貧困の拡大など日本をダメにした自民党政治そのものであり、岸田政権への批判のもとであった。
いま求められるのは、1年以内に行われる国政選挙のための看板選びといった内向きの議論ではなく、岸田政権への市民の批判を真正面から受け止め、市民本位の政治、憲法に基づく政治、軍事同盟に頼らない平和の実現をめざす政治への転換であり、そのための真剣な政策論議であるが、それを自民党に期待することはできない。
政策本位の政治を求める市民の声と運動が求められている今こそ「革新懇の3つの共同目標」に基づく統一戦線づくりの好機である。「さよなら自民党政治」の大運動を草の根から広げ、革新懇づくりの取り組みを強めよう。切実な要求と政治をつなぐ要の役割を発揮し、「市民と野党の共闘」再構築に取り組もう。