平和、くらしを壊す「安保3文書」具体化はやめ、「平和の準備」を(談話)

2023年1月23日

平和・民主・革新の日本をめざす全国の会 代表世話人会

 本日23日、第211回通常国会が召集されました。平和か戦争かの歴史的岐路に開催される国会です。「戦争の準備ではなく平和の準備を」の世論と運動を強め、岸田政権の暴走政治にストップをかけるために力を寄せ合いましょう。

 12月16日に政府は、「敵基地攻撃能力」の保有と、そのために5年間で43兆円規模、単年度では対GDP比2%規模に軍事費を引き上げる大軍拡や、その財源確保のための増税、国債発行、歳出削減をおこなうことなどを内容とする「安保文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)」を閣議決定しました。

 1月14日にはその閣議決定を手土産に、岸田文雄首相がバイデン米大統領との首脳会談に臨み「日本の反撃力及びその他の能力の開発及び効果的な運用についての(日米の)協力の強化」することなどの共同声明を確認しました。

 「安保3文書」はその内容からして、違憲の安保法制(戦争法)を装備と態勢の面から実行段階に引き上げ、日米の軍事的一体化を一気に進めるものです。それは、「戦争の準備」を一歩進めて周辺国に不安と脅威を与え、東アジアでの軍拡競争を過熱させ、日本が再び戦場となる危険性を高めることになります。絶対に認めることはできません。

 

 「安保3文書」は、集団的自衛権の行使を容認した「戦争法」のもとで、日本が攻撃されていなくても他国を攻撃するという憲法にも国際法にも反する先制攻撃を排除していません。他国を攻撃する「戦力」は持たないとしてきた「専守防衛」の制約をこえています。 

他国攻撃のための武器を持つために巨額の税金を投入する大軍拡は、現状でも貧弱な教育や社会保障への公的支出を一層圧迫し、経済規模に見合った教育の権利、生存の権利の実現を困難にします。軍拡のための増税は、50%に達しようとする税・社会保障の公的負担率をさらに高め、格差と貧困に苦しむ庶民のくらしを壊すことになり、受け容れがたい内容です。

 平和とくらしに重大な影響を及ぼす政策変更が、市民に開かれた論議も国会審議もなしにおこなわれ、いの一番で米国に説明されたことも、民主主義、立憲主義を軽視する重大問題です。

 「安保3文書」は、官民の先端技術研究成果の軍事転用、軍用装備研究体制の強化、軍事装備(武器)の海外輸出、港湾、空港の軍事使用、国民の安全保障への理解促進と「国を愛する心の涵養」などにもふれており、「戦争体制づくり」の意図を隠そうとしていません。単なる安全保障政策の変更ではなく、「平和国家としてのこの国のあり方」の大転換をめざすものとなっています。

 それらの点からしても、国会はもとより市民が参加する徹底した論議の場が必要であり、国民に信を問わずに具体化してはならないものです。

 生活向上、民主主義、平和の「三つの共同目標」にもとづく共闘を一貫して追求してきた全国革新懇は、「安保3文書」閣議決定に強く抗議し、その具体化に反対し、撤回を強く求めます。

 市民のくらしの安定と平和の追求は政治の最大責務です。食糧やエネルギーの自給率の現状を見ても、軍拡一辺倒の安全保障政策は極めて危険です。対話と外交による戦争の回避、平和の準備にこそ政府が力を注ぐよう強く求めます。地域・草の根から、私たちとともにたたかいのうねりをおこしていただくよう、広くよびかけます。

一覧へ

発表年