第211回通常国会の閉会にあたって -悪法乱造の翼賛国会の状況を強く批判する-

2023年6月23日

平和・民主・革新の日本をめざす全国の会 代表世話人会

 昨日に第211回通常国会が閉会した。その国会では、敵基地攻撃能力保有のために5年間で43兆円、対GDP比2%規模に軍事費を倍化させ、「台湾有事」も口実に沖縄など南西諸島を軍事要塞化することや、軍需産業の保護・育成に税金をつぎ込むという「安保3文書」にもとづく予算、法律などが最大の争点となった。

 それら以外にも、難民認定申請中の強制送還を可能にする入管法「改正」法案や、健康保険証を廃止してマイナンバー保険証に切りかえるマイナンバー法「改正」法案、原発政策を転換して新規建設にまでふみこんだ「GX」法案などが大きな争点となった。また、国会最終盤には、LGBTQ「理解増進」法案が議員立法として提案された。

 これらの法案などが、自民党、公明党の与党のみならず、日本維新の会、国民民主党などの後押しで成立し、あるいはLGBTQ「理解増進」法案の修正協議にもみられたように、「多数による少数の排除」という差別・分断と偏見を助長しかねない法成立の動きとなったことが、今通常国会の特徴を示している。熟議を欠く悪法乱造の翼賛国会の状況であったことを指摘し、その是正の必要性を強く訴えたい。

 国会内の数の力で、次々に市民の暮らしやいのち、人権をないがしろにする悪法が強行される状況は、軍事大国化、戦争準備の動きが強まる状況とも相まって、「新しい戦前」への懸念を強めさせるものでもあった。

 入管法「改正」法案では、立法事実の不存在が指摘され、マイナンバー「改正」法案では個人情報の漏洩などが次々に明らかになる中での採決強行であった。「ブレーキなき暴走」と言える国会状況は、敵基地攻撃能力保有についての憲法論議がまともに行われなかったことも含め、立憲主義と議会制民主主義の形骸化が一層深まったことを危惧させるものであり、「戦後最悪の国会」であったと言わざるを得ない。そのことからしても、国会を真の国民代表議会に戻し、政治を転換させることが求められている。

 全国革新懇は「三つの共同目標」に基づく共闘を追求し、切実な要求実現をめざして全国各地で奮闘した。「大軍拡、大増税NO!」の国会請願署名などを携え、街頭宣伝やスタンディングなどで世論に訴え、政府、自治体への要請行動を強めた。そのような草の根からの取り組みが国会内での野党共闘を促し、入管法「改正」法案への立憲民主党と共産党の修正案提出や、国会最終盤での内閣不信任案の提出につながり、岸田政権を追いつめる力となり、「市民と野党の共闘」への期待をつなぐ動きとなった。

 国会会期末での解散も言われる状況であったが、先述したような不十分な国会審議と説明責任を果たそうとしない岸田政権への批判が強まったこともあり、総選挙は先に送られることとなった。

 大軍拡、大増税阻止などのたたかいは、これからも続くことになる。不十分な審議で強行された悪法の施行中止、撤回を求める運動を強めるとともに、戦争国家への暴走にストップをかける市民運動を大きくして一大争点に押し上げ、岸田自公政権への審判を下す総選挙にしていかなければならない。戦争か平和かの岐路に立つ今、革新懇の原点に立ち返った運動を強める決意である。

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