2015年6月20日
全国革新懇
はじめに
全国革新懇第35回総会は、日本の命運にかかわる歴史的大闘争のなかで迎えました。憲法を破壊し、日本を戦争する国にする「戦争法案」を総力あげてなんとしても阻止しようではありませんか。「戦争法案」反対の一点での国民的共同を発展させ、壮大な国民的運動で安倍暴走政治の野望を打砕きましょう。今総会をそのための意思統一と決起の場にすることをよびかけます。
戦後70年の日本は、ふたたび「戦争する国」になるのか、それとも憲法の花開く平和で豊かな日本へすすむのか、歴史的岐路にたっています。安倍内閣は、「戦争する国」、「企業が世界で一番活躍しやすい国」をめざして暴走し、特定秘密保護法の制定、武器輸出3原則の破棄、集団的自衛権の行使を容認する憲法違反の閣議決定まで強行しました。そしていま戦後最悪の法案=「戦争法案」を提出し、会期を大幅延長してでも強行成立しようと企てています。安倍首相は、「戦後レジームからの脱却」をかかげ、憲法に示された平和と民主主義の国のあり方を根本からくつがえす特異な政治路線を歩んでいます。しかし、安倍政権は、国民と激しい矛盾を生み出し、多くの分野でたたかいと共同が発展してきました。ここには、沖縄のたたかいが先駆的に示しているように、安倍暴走を阻止するとともに、新しい政治につながるエネルギーが満ちています。私たちのたたかいが安倍政権を大きく包囲し、追いつめつつある歴史的情勢を切りひらいてきたのです。
いまこそ、全国津々浦々で「戦争法案」阻止へ総力をあげて取り組みましょう。3つの共同目標をかかげて「国民が主人公の政治」を求める革新懇運動を飛躍させましょう。
1、歴史的情勢のもとでの革新懇運動と前総会以後の活動
○安倍暴走政治と真正面から対峙する全国革新懇――全国革新懇に結集する賛同団体と都道府県革新懇、800を超える地域・職場・青年革新懇は、憲法守れ、辺野古新基地建設反対、労働法制の破壊を許さない、TPP(環太平洋連携協定)反対、大阪「都」構想ストップなどの「一点共闘」の発展に力を尽くすとともに、安倍内閣の打倒をかかげ、さらに国民が主人公の新しい政治への道をきりひらくために全力をあげてきました。全国各地で革新懇は、「一点共闘」の前進の「要」となるとともに、政治を変える共同へ発展させる「架け橋」の役割を果たすために尽力してきました。この1年間の各分野での国民の運動・「一点共闘」の発展と政治の舞台での日本共産党の躍進は、国民が主人公の政治の実現と統一戦線の展望に新しい条件をきり開いています。
《統一戦線への展望を開く画期的意義持つ発展》
○原発、集団的自衛権、憲法、沖縄米軍基地、秘密保護法、TPP、消費税増税、社会保障、雇用・労働法制、農業・農協改革、大阪「都」構想、NHK・メディアへの圧力問題など各分野で「一点共闘」が発展しました。さらにこれらの運動が合流して「(安倍政権は)すべての問題に立ちはだかる障壁」と断じ、「解決のためにはまず政権を打倒する必要がある」とよびかけ、「安倍政権NO!☆0322大行動」を1万4千人の参加で開催しました。続いて「STOP安倍政権!6・13大集会」が開かれるなど、「安倍内閣打倒」を一致点とした共同へ各分野各世代の共闘が大きく結集する画期的な発展がありました。
改憲の企てに反対する共同も重層的に連携を強めながらひろがり、「解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会」、「戦争をさせない1000人委員会」、「戦争する国づくりストップ!憲法を守りいかす共同センター」が継続的な共闘組織として「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」を結成しました。またこれまで東京で開かれる5・3憲法集会は、超党派の市民団体や労組などが参加する「5・3憲法集会実行委員会」と平和フォーラムがそれぞれの集会を開いていましたが、ことしの5・3集会は、安倍暴走と対決してさまざまな課題に取り組む人びととともに大きく手をつなぎ、「平和といのちと人権を!5・3憲法集会~戦争・原発・貧困・差別を許さない~」を開催、3万人以上で大きく成功させました。
各分野の「一点共闘」のなかで、これまで自民党の地盤となっていた「保守」の団体や個人との協力・共同がひろがりました。また多くの市民団体、青年がたたかいにすすんで参加し、新しい息吹を運動に吹き込みましたが、私たちも共同のあり方や運動スタイルの工夫など多くのことを学びました。このような「一点共闘」の発展のなかで個別要求の実現から出発し「安倍内閣打倒」が共通のスローガンとなったこと、また多くの市民団体、保守系の人びとと革新懇運動の主要な担い手である全労連や新婦人、全商連、民医連、農民連、共産党などとの共闘が当たり前になり「反共主義の壁」が大きく崩れつつあることは、日本の統一戦線運動の発展に画期的意義を持つものです。これらは新しい政治を実現する芽が確実に生まれ、政治変革の主体形成への胎動がはじまっていることを示しています。
《政治変革への胎動―“オール沖縄”のたたかい》
その先駆けが、保守・革新の違いを越え、辺野古新基地建設反対で団結を深める“オール沖縄”のたたかいです。激しいたたかいを勝ち抜いて再選した名護市長選、与党が過半数を獲得した名護市議選、圧勝した沖縄県知事選、全小選挙区4区で自民候補を打ち破って勝利した総選挙――沖縄県民は辺野古新基地建設反対の断固とした意思を明らかにしました。翁長知事を先頭にした沖縄県民の不屈のたたかいは、理不尽な仕打ちを加える安倍内閣に一歩も引かず、堂々と対峙し、国民世論を動かしつつあります。経済界、知識人・文化人が「辺野古基金」を設立しましたが、「基金」は3億円を超え、その7割が県外からで、沖縄と本土の連帯が大きく前進していることを示しています。
一連のたたかいで、全国革新懇と賛同団体は、かつてない規模の支援・連帯行動を展開、大きな役割を果たしました。全国革新懇は知事選を前にして、東京、大阪で「沖縄と連帯する夕べ」を開催、仲里利信元沖縄県議会議長を招き、“オール沖縄”を実感しつつ、沖縄連帯をひろげる先頭にたちました。ある参加者は「人生で忘れられない集会となるだろう」と感動を語っています。知事選ではかつてない規模のカンパに取り組み、全国革新懇事務室も安保破棄中央実行委員会とともに現地常駐体制をとり、各地域・職場革新懇からも沖縄にかけつけるというはじめての取り組みをしました。また総選挙では“オール沖縄”候補を支援し、全国革新懇の牧野富夫代表世話人が全4区の選挙事務所を激励にかけつけました。さらに総選挙後、安倍政権の理不尽な圧力とたたかう翁長知事を激励するために提起した激励ハガキは事務室に1日で57本もの問い合わせがあるなど反響をよび、3万7千枚をこえて翁長知事に届き(沖縄県知事公室)、大きく連帯の輪をひろげています。これらの取り組みを通じて、全国各地の地域・職場・青年革新懇が、早期に100カ所を超える沖縄連帯のつどいや学習会を開催し、草の根から沖縄との連帯を強め、本土の世論を深部から変える大きな役割を果たしたことは特筆されることです。
《理性と良識の勝利、共同の勝利―“改憲戦略”に痛打与えた大阪市住民投票》
大阪「都」構想の是非が問われた住民投票は、反対多数で決着しました。この大阪市民の理性と良識の勝利は、大阪市の解体を阻止し、市民のくらしと自治を守るとともに、橋下大阪市長をして「政界引退」を表明せざるをえなくし、安倍首相の“改憲戦略”にも痛打を与えました。このたたかいも、「一点共闘」の新しい地平を切りひらきました。首相官邸と“改憲タッグ”を組んだ橋下・維新の会との激しいたたかいとなりましたが、大阪市をなくすな、大阪市をよくしようの一点での幅広い共闘が市民団体、個人、労組、政党の間で実現、まさに「共同の勝利」でした。この「共同」のなかで、公明・自民・OSAKAみらい・共産の各会派間で大阪市政の今後の方向について、大型開発への批判、住民サービスの向上など大きな柱で認識が共有化されてきたことも重要なことです。全国革新懇は告示前に、大阪革新懇とともに、市内3カ所で街頭演説会を開き、小田川義和全労連議長、笠井貴美代新婦人会長、藤末衛全日本民医連会長、山下芳生日本共産党書記局長の各代表世話人や岡崎民人全商連事務局長(常任世話人)が弁士にたち、全国的意義を持つたたかいであることを先駆的に示しました。また大阪市解体反対の「一点共闘」で結集した保守系、文化人ら著名人と池田香代子、志位和夫両代表世話人ら11氏の連名ポスターを作成、1万2千部を街頭に貼り出しました。この取り組みでも、近畿各府県の革新懇をはじめ、愛知、岡山革新懇などからの人的支援を含め、全国的な物心両面の支援がひろがったことも画期的でした。
《政治変革の共同への発展に新しい条件をつくった「自共対決」の鮮明化》
○暴走政治をすすめる安倍自公政権と国民の矛盾の激化、国民のたたかいの発展は、政治戦線にも反映しました。政治の舞台で、参院選挙に続き、総選挙、いっせい地方選挙で日本共産党が躍進したことは革新懇運動を発展させ、統一戦線の結成をめざすうえでも大きな意義を持つものです。自民党は、総選挙で多数議席を占めましたが、小選挙区制による虚構の多数であり、有権者の16%の「支持」でしかありません。また各種世論調査をみても、国民が「集団的自衛権」「原発」「消費税増税」「辺野古新基地建設」など安倍内閣がすすめるどの政策も支持していないことは明白です。また政治とカネの問題でみんなの党が解党し、橋下大阪市長の「政界引退表明」など維新の党が壊滅的危機を迎えるなど“第三極”がいよいよ解体局面に入り、政治の舞台で「自共対決」がいっそう浮き彫りになっています。このことによって国民にとって、日本の政治変革の対決の構図がわかりやすくなり、共同の輪をひろげてゆくうえで新しい可能性を生み出しています。
○一点共闘をいっそう前進させるとともに、政治を変える共同へ発展させることを重視した懇談・シンポジウムが各地で開かれました。全国革新懇が昨年4月に開催した「『一点共闘』と政治を変える共同の発展をめざす懇談会」を受け、大阪、京都、埼玉、岐阜などの各府県革新懇をはじめ、京都・伏見、山科など地域革新懇などでも懇談会が開催され、共同の探求がひろがっていることも大切な前進です。
○憲法への攻撃をはじめとする安倍内閣の暴走は、国民のくらし、地域、教育・文化などあらゆる分野に攻撃を加えており、地域を疲弊させています。それだけに地域・職場で活動し、あらゆる問題をとりあげることのできる革新懇は、国政の焦点の課題を追求するとともに、身近で切実な要求をとりあげてきました。コミュニティバスについての学習会(金沢北部革新懇)、介護シンポジウム(奈良市革新懇)、戸籍業務外部委託中止要求(足立革新懇)、リニア中央新幹線学習会(山梨、神奈川)などに取り組んでいます。
○この1年間、運動の発展と結んで、革新懇は組織的にも前進をとげました。昨年の総会以後、13革新懇(地域12、青年1)が結成され、668地域、141職場、26青年革新懇の計835(11地域6青年革新懇準備会を含む)と最高の峰になりました。「全国革新懇ニュース」は前総会比637部増(6月20日現在)の29431部で、目標とした3万部達成をめざしてがんばっていますが、これも最高の到達になっています。
地域革新懇は、「米軍Xバンド基地反対のたたかいをすすめるために革新懇が必要となった」(京都・京丹後革新懇)、「原発反対でのひろがった共同をさらに政治を変える共同に発展させるために革新懇が必要と考えた」(福島・信夫革新懇)と結成されています。また「全国革新懇ニュース」の新規読者は、「翁長知事激励ハガキ運動で革新懇を知って興味をもった。ニュースを購読したい」(東京)、「これからは統一戦線について知ることが大切だと思い、申し込んだ」(鹿児島)などと語っています。大阪革新懇は、「大阪都構想反対」の一点で結びついた多くの著名な方がたにも気軽にすすめ、多くの読者をふやしています。革新懇の組織建設が、運動の発展と結びついて前進していることが大きな特徴です。
第2回となる青年革新懇全国交流会を5月、愛知で開催しました。18都道府県から202人が参加し、青年革新懇が、安倍暴走政治のもとで苦しむ青年自身がつながる場となり、さまざまな体験の交流、討論、学習を通じ、社会の主人公としての成長の場となる魅力が語られました。「革新懇運動の意義をあらためて実感させられた2日間だった」「まず中心になる人に集まってもらい革新懇づくりをはじめたい」などの感想が寄せられ、青年革新懇運動に新しい活力を生み出しています。
○「全国革新懇ニュース」には、沖縄問題では、仲里利信(元沖縄県議会議長)、菅原文太(俳優)、三上智恵(映画監督)、NHK問題で池田恵理子(元NHKディレクター)、「朝日攻撃」問題で青木理(ジャーナリスト)、さらに憲法問題や歴史認識などをめぐり、保守系人士とも懇談、伊東光晴(経済学者)、丹羽宇一郎(前中国大使)、中島岳志(政治学者)、小林節(憲法学者)、共闘問題で内田聖子(アジア太平洋資料センター事務局長)、また文化人では高橋克彦(作家)、鵜山仁(演出家)、海老名香葉子(エッセイスト)の各氏らが登場し、社会や政治の現状についての意見を寄せていただきました。紙面全体として、情勢や国民のたたかいの課題をみすえつつ、幅広い対話をすすめ、共感をひろげてきました。
2、新しい情勢と革新懇運動の課題、方針
《戦争法案を阻止し、憲法を守るたたかいに総力をあげよう》
戦争法案は、全国革新懇アピール「歴史的な大闘争で『戦争立法』を必ず阻止しましょう」(4月27日付)が指摘しているように、憲法を破壊し、日本を海外で戦争する国に変える希代の悪法です。「存立危機事態」や「国際平和共同対処事態」など6つの「事態」を並べ立てていますが、核心は、日本が武力攻撃を受けていないにもかかわらず、アメリカが戦争をはじめれば、世界のどこであれ、どんな戦争であれ、いつでも自衛隊に軍事支援させる体制をつくるということです。そもそも立憲主義を否定し、憲法を踏みにじった法案であり国会に提出すべきものでありません。衆院憲法審査会では、与党推薦の参考人を含む3人の憲法学者全員が戦争法案を違憲と断言しました。また国会論戦をはじめ議論されるにしたがい危険な内容が明らかになり、世論調査でも反対・慎重が増え、とくに今国会での成立に反対が多数派になっています。にもかかわらず、答弁に窮しまともな審議もしないまま、会期を大幅延長し、ゴリ押しして今国会で成立させようとすることは、議会制民主主義を踏みにじるという点でも、絶対に許されない暴挙です。
・学習会、宣伝・署名、集会・パレードを無数にくりひろげましょう。そのさい地域の賛同団体をはじめ多くの市民団体、労組と協力しましょう。革新懇の憲法ポスターを普及し、「戦争立法許さない」「憲法を守り生かそう」ノボリを活用しましょう。
・あらゆる地域、すべての分野で「戦争法案反対」の共同をひろげ、保守系の方がたも含め、圧倒的多数派を形成しましょう。地方議会への請願、地元選出国会議員への要請・抗議・激励をしましょう。国会にかけつけましょう。
・革新懇独自の行動とともに、「憲法共同センター」のなかで積極的役割を果たし、「9条の会」と連携しましょう。
《辺野古新基地建設阻止へ沖縄と連帯して国民的な運動を》
翁長知事が、安倍首相・菅官房長官との会談、訪米しての米政府・議会関係者らとの会談で、沖縄の歴史にも言及しながら辺野古新基地建設に反対する県民の強い意思を伝え、撤回を求めたことによって、県民の団結はいっそう強まり、国民の関心も急速に高まっています。5・17県民大会に3万5千人が参加して成功させるなどたたかいは、新しい局面をきりひらきつつあり、いよいよ正念場を迎えます。沖縄と本土の連帯をいっそう強め、国民世論を動かし、安倍暴走政治を大きく包囲することがカギです。沖縄と本土との連帯をすすめます。すべての革新懇が①全国各地で網の目のように学習会や連帯のつどいを開催しましょう②翁長知事激励ハガキ運動をひろげるとともに、辺野古基金、名護共同センター、沖縄革新懇へ支援カンパを届け、辺野古現地への代表派遣に継続的に取り組みましょう。
《一点共闘を発展させるとともに政治を変える共同・統一戦線への発展を》
・各分野、各地での「一点共闘」の発展に力を尽くすとともに、「政治を変える共同」の発展を探求するシンポジウム、懇談会を多彩に開催しましょう。
・保守系団体も含め、これまで交流のなかった業界、経済団体、市民団体、労組とも懇談しましょう。兵庫・姫路革新懇は「一致点」を性急に求めず、ゆるやかな懇談からはじめています。この経験に学び、ひろげることが大切です。
・安倍政権打倒をかかげて共同した「3・22」大行動、「STOP安倍政権!6・13大集会」の流れを大きく発展させるとともに、地方政治、国政で安倍暴走に対抗する共同を求める声をひろげましょう。
《国政の焦点と要求を結んで国民のたたかいの諸課題》
いま安倍暴走と対決する焦点になっている課題を重視してとりあげ、一致点での共同を大切にし、要求実現に力を尽くしましょう。
☆労働法制の破壊許すな、まともな人間らしいくらしの土台としての雇用を守れ 非正規雇用、長時間労働、低賃金、ブラック企業・バイトの横行・・・多くの労働者は、劣悪な労働条件のもとで心身とも疲れ果てて働いています。ところが安倍政権は、労働基準法と労働者派遣法の大改悪を強行し、いっそう劣悪な雇用環境をつくりだそうとしています。安倍政権・財界のねらう労働法制の改悪は、戦後日本の働くルールを土台から破壊し、「残業代ゼロ」「正社員ゼロ」など「企業が世界で一番活躍しやすい国」をめざすものです。まともな雇用の保障は、人間が人間らしく生きていく土台です。労働法制の大改悪に反対し、国民世論をひろげ、正規雇用が当たり前の社会にしましょう。
弁護士会などのよびかけを軸に中央でも地方でも全労連と連合が労働法制改悪反対集会の舞台に並んで上がるなど二つのナショナルセンター結成以来の画期的共同が始まっています。労働戦線の共同の動きが注目されます。
☆原発再稼働反対・原発ゼロ、東日本大震災からの復旧・復興を ・福島第一原発では、いまだに高い放射能のため原子炉に近づくことさえできず、汚染水のコントロールもできていません。福島の震災関連死者数は1905人で、津波や地震で命を落とした直接死の1604人を上回っています(5月24日現在)。原発事故収束宣言の撤回、国と東電の責任で元の生活を取り戻す完全賠償を求め、原発再稼働反対、原発なくせのたたかいを強めます。150回を超えて続けられている官邸前行動に呼応して全国各地で広範な市民団体との共同をさらにひろげ、集会、パレード、学習会、いっせい行動などを粘り強く発展させましょう。
・東日本大震災では、いまだに22万もの人びとが苦しい避難生活を余儀なくされています。福島では県内外避難者数が11万8千人にものぼっています。多くの被災者が経済的にも精神的にも追いつめられています。生活再建最優先の復旧・復興を強く要求します。引き続く支援をすすめましょう。また日本全体での大地震対策の強化を追求します。
・福島を忘れない、現地交流運動をすすめましょう。福島では第一原発からの距離、放射線量、賠償などで県民が分断され、被災者の切り捨て策がすすんでいます。各地の革新懇がすすめてきた現地視察や交流などを通じて、福島原発事故の実態を知り広げる活動を強め、福島県民への連帯・激励・支援をすすめていきましょう。民青同盟や全日本民医連などがすすめてきた経験に学び、若い人の現地交流を重視しましょう。
☆消費増税反対、医療・介護・社会保障の破壊反対、「貧困と格差」をなくせ 国民生活と日本経済に打撃を与える消費税増税に強く反対します。
安倍政権は、医療・介護・年金・生活保護・障害者施策などあらゆる分野で、給付削減と負担増を求めています。各分野の運動をひろげ、共同して安倍政権のくらしの破壊を阻止しましょう。安倍政権がことし強行した医療保険制度改悪は、国保の財政運営を市町村から道府県に移行させて保険料負担増・徴収強化、国庫補助削減をすすめるなど、国民皆保険を揺るがす大改悪です。すでに「お金がなく受診遅れ」で56人が死亡(2014年、全日本民医連調べ)など深刻な事態が進行しています。いつでも、どこでも、だれもが安心してかかれる医療制度を守り、充実を求める圧倒的な国民の声を結集しましょう。国民のくらしと日本経済を大破綻の淵に立たせている「アベノミクス」をやめさせ、国民の仕事と所得を増やす、本格的な景気回復を実現する経済政策に切りかえましょう。
☆TPP、農協解体、農業・農家を切り捨てる農政改革反対
安倍政権は、TPP参加への暴走に加え、農業を大企業のもうけの対象にする「農政改悪」に踏み出しています。TPPを前提にした市場原理一辺倒の「農政改革」は、コメ交付金を半減・廃止することをはじめ、農地政策、農協・農業委員会制度などを総見直しし、日本の農業と農村地域を破壊し、食料自給率のさらなる低下をまねくものです。国会決議に違反し、譲歩を重ねているTPP交渉からの撤退を求めます。
☆中小企業を大切にしてこそ地域社会が成り立ち、日本経済の健全な発展に 8%への消費増税から1年―-、景気の悪循環、格差拡大が、中小業者を苦しめています。「地域社会と住民生活に貢献」(中小企業憲章)する中小企業を大切にしてこそ、日本経済の健全な発展があります。この立場から、中小企業予算の増額を要求し、大企業の単価たたきに反対するとともに、リフォーム助成、まちづくりと商店街振興、再生可能エネルギーの活用などを通じ、中小業者と住民が共同して地域から経済と国民生活を発展させる取り組みをすすめましょう。
☆教育の統制に反対、すべての子どもにゆきとどいた教育を
安倍政権のもとで、とりわけ深刻なのが、子育て・教育をめぐる状況です。文部科学省は学習指導要領を改定し、「道徳教育」の教科化、統制をすすめています。教育を戦争する国づくりの道具にすることは許せません。歴史歪曲、憲法敵視の教科書を採択しない運動をひろげましょう。格差がすすむもと、すべての子どもにゆきとどいた教育をすすめるため、就学援助制度の拡充、奨学金制度の改善、国の責任で小・中・高すべてで30人以下学級を実現することを求めます。教育と学校、教職員を支える共同をひろげましょう。
《地域にねざしたたたかいを》
・悪政が続くもと、人々が暮らす地域に矛盾が集中し、要求が渦巻いています。買い物難民、「孤独死」、保育所待機児童・・・教育、医療・介護、まちづくりなどどれも切実で解決が求められる課題です。待ったなしのこれらの課題を解決してゆくために、世論と運動をひろげ、ひとつひとつの要求を実際に実現していく取り組みが大切です。また地方政治を変革してゆくことと結び、運動を発展させていくことが求められています。この間、全国革新懇は、地域こそ政治をトータルに変える原点だということを強調してきました。それはまた「国民が主人公」の政治をつくってゆくうえでもきわめて重要な力になります。原発、消費税、TPPなど国政の中心問題も地域に根ざしてたたかってこそ、国民的な多数世論がつくれます。地域革新懇が果たす役割は、決定的です。
《地方政治の変革へ条件のあるところは首長選挙にも積極的に》
・神奈川・小田原市革新懇など市長との懇談を定期化し、要求実現しているすすんだ例が各地で生まれています。また多くの地域革新懇で自治体施策の分析・提言の活動に取り組んでいます。神奈川・茅ヶ崎革新懇総会に民主党県議をはじめ自民党市議から共産党市議、無党派市議5人が参加、公明市議からもメッセージがよせられるなど議会と交流をすすめている革新懇もあります。最近の結成総会では、市長が参加してあいさつ(滋賀・米原市革新懇)、市長からメッセージと議長が参加してあいさつ(山梨・笛吹市革新懇)、市長・議長がメッセージ(香川・三豊革新懇)など、自治体との関係を強めています。地域の疲弊から住民を守り、要求の実現、地方政治の変革のため首長、自治体当局とも対話・連携をつよめましょう。
・堺市長選や沖縄知事選など、態様や条件は違いますが、保守とも共同した新しい「一点共闘」型の首長選挙を経験してきました。ことしのいっせい地方選挙でも、開発優先市政・維新政治持ち込みに反対して前自民党府議の無所属候補を自主的に支援した大阪・寝屋川市長選挙など、多様な経験を重ねています。こうした経験に学び、地域の要求と共同を土台に、それぞれの条件に応じて首長選挙に対応することが求められます。
《安保廃棄の国民多数派へ独自の追求は革新懇運動ならではの大切な役割》
・日米両政府は、米軍オスプレイを普天間基地(24機)に続き、横田に10機配備する方針を打ち出しました。その直後、ハワイでオスプレイの墜落事故が起き、国民に衝撃を与えています。「戦争する国」づくりのため、自衛隊の海外派兵体制とともに在日米軍基地の再編・強化がすすんでいます。普天間に並ぶ住宅密集地でもある、首都の基地に危険なオスプレイを配備するなどまともな独立国家が許容するものでありません。全国各地で「基地強化反対」「住民の安全を守れ」の一致点で、自治体、住民の広範な共同をひろげ、取り組みをすすめましょう。
・「戦争法案」の企ても根源に日米軍事同盟の地球規模での侵略的強化があります。「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」改定は、アジア太平洋地域にとどまらず、世界規模で自衛隊による米軍支援を取り決めました。沖縄基地問題はもちろん、TPPもその背景にあるのは、日米軍事同盟です。各分野で「一点共闘」で悪政に反対して声をあげはじめた多くの人も、日米安保条約の問題に目を向け始めています。日米軍事同盟からの脱却は、「3つの共同目標」の要であり、国民が主人公の政府をつくるための最も重要な根本課題です。安保条約をなくしたあとに切りひらかれる、憲法が花開く平和で豊かな日本の展望を大いに語り、安保解消の世論をひろめることに革新懇運動ならではの役割があります。
3、壮大な展望を担う革新懇づくり
《いまなぜ革新懇づくりか》
各分野での「一点共闘」の重層的な前進、「安倍内閣打倒」を旗印とした共同の発展、また政治の舞台での日本共産党の躍進と「自共対決」の鮮明化は、「国民が主人公」の政治をつくるための新しい条件を生み出しています。いま安倍暴走政治とたたかいながら「新しい政治」を求め、行動し、探求している多くの人たちに、3目標にもとづく共同と国民が主人公の政府を――という展望を示し、議論し、合意の輪をひろげてゆく、この「架け橋」を担うのが革新懇です。政治を変える共同をつくっていくうえで大切なことは、意識的な努力、独自の追求が必要だということです。これを追求する組織的保障となるのが網の目のように組織された革新懇です。革新懇運動の発展のためには、賛同団体の奮闘と発展とともに、地域・職場・青年革新懇を中心とした革新懇組織自体の発展が不可欠です。その総体の力量を発展させることです。全国各地の革新懇組織の努力によって前進し、最高の現勢で総会を迎えています。しかし「情勢の展開と国民運動の各分野での発展からみると、まだまだ十分といえないのも明らかです」(第34回総会「報告と提案」)という状況は脱していません。いま安倍暴走政治と激突し、新しい展望を切りひらくために求められているのは、「飛躍」です。
ことし秋に2年ぶりに開催する地域・職場・青年革新懇全国交流会(2015年10月31日~11月1日、千葉県)にむけ、革新懇運動と組織づくりを発展させ、その経験と教訓を持ち寄って、大きく成功させ、さらに飛躍することをよびかけます。
《都道府県革新懇の強化・発展を》
・革新懇運動を発展させてゆくうえで、重要な役割を担うのが、都道府県革新懇です。「一点共闘」の発展、さまざまな分野での対話・懇談・共同、地方政治の変革、草の根での革新懇組織づくり・・・都道府県革新懇の役割は、新しい条件のもと、いっそう大きくなっています。ブロック会議など交流もすすめ、都道府県革新懇と全国革新懇が力を合わせて前進できるようにします。
《すべての地方自治体、行政区に革新懇を》
・すべての自治体、行政区に革新懇をつくることに本腰を入れて取り組みましょう。地域こそ政治をトータルに変える原点です。多様な要求が渦巻く地域こそ「何でも取り組める」革新懇の活躍の場です。全国1800自治体に対応する地域革新懇が生まれることが日本を変えてゆく根本的な力になります。
・多様で身近な革新懇づくりをすすめましょう。校区単位、町内会革新懇をすすめ、「住民の顔が思い浮かぶ」革新懇づくりをすすめましょう。また政令市単位の革新懇が果たす独自の役割も大切です。
《職場、青年革新懇の発展を》
○いま多くの職場では、雇用の不安定化、長時間過密労働、成果主義・低賃金のもとで労働者がバラバラにされています。それだけに人間らしい働き方とくらしを求める強い要求が生まれています。また憲法や戦争法案、社会保障破壊など社会と政治の激動が反映し、労働者の政治への関心も高くなっています。こうしたなかで職場の1人ひとりの多彩な要求を大切にし、労組の違いをこえて、また管理職も対象にひろがる魅力を持つ職場革新懇の役割はいっそう大きくなっています。国政の焦点や身近な要求をとりあげながら「楽しくないと革新懇でない」という精神を大切に取り組みましょう。大阪職場革新懇連絡会が関係労組の協力をえて開催した「職場のブラック化を考える」シンポジウム、岡山国公革新懇の連続したシンポジウムや合宿など、労組や地域と力を合わせた取り組みは、教訓的です。
全国交流会での職場革新懇交流会を重視し、職場革新懇の活動に役立つ場として成功するように取り組みます。
○青年革新懇は現在、結成で20、準備会で6の地域でつくられています。昨年7月に結成した、京都青年革新懇HOME―はんなりで共同代表を務める若手弁護士は、「若者に憲法をもっと身近に感じてもらいたい。自分にできることは、と考えたのが青年革新懇をつくることだった」と結成の思いを語っています。愛知でひらかれた青年革新懇全国交流会は、平和、沖縄、はたらき方、ブラックバイト、奨学金ローンの問題など青年をとりまく様ざまな課題をとりあげ、青年の深刻な実態とこれからの運動の道筋を学びました。愛知の青年、県革新懇の奮闘と、多彩な講師・助言者に支えられ、これからの青年革新懇の発展の展望を示す交流会になりました。暴走政治に青年は黙っていません。秘密保護法や原発反対で声をあげた青年が、沖縄のたたかいに連帯し、「安倍政権ノー」と声をあげるなど共闘を発展させています。青年のなかで政治を変える要求と条件が広がっているなか、幅広い青年の共同を発展させる青年革新懇の役割は重要です。全国交流会の成功を力に、すべての都道府県で青年革新懇の結成、発展をめざします。
《賛同団体・政党の力の発揮を》
・「政党、団体、個人」の力が結集されてこそ革新懇の力が発揮され、革新懇運動も組織づくりもすすみます。革新懇を構成する団体が、みずからの要求の実現、よりよい社会を求めて運動と共同をひろげ、組織をつよめることは、それ自体が革新懇の活動を前進させることにつながります。同時に革新懇の運動と組織づくりに積極的に貢献しましょう。労働組合、市民団体などがその構成員のなかで統一戦線と革新懇運動についての理解をひろげ、それぞれの団体の性格や条件に応じて、革新懇運動でいっそう積極的な役割を担うことが期待されます。神奈川県革新懇がおこなっている賛同団体との懇談などの努力も貴重です。 ・新しく革新懇が誕生・再開したところでは、革新懇学習会をよびかけるなど、日本共産党が政党としての役割を発揮しているところも少なくありません。こうした努力をいっそうひろげましょう。
《「全国革新懇ニュース」の普及を》
・秋に開かれる地域・職場・青年革新懇全国交流会への参加へ向けて「全国革新懇ニュース」3万部を早期に突破し、来年5月の全国革新懇35周年を迎えてさらに飛躍させましょう。
・革新懇会員の一人ひとりが「全国革新懇ニュース」を購読しましょう。革新懇の結成のさい購読をよびかけている経験をいっそうひろめましょう。
・北海道・ていね、東京・立川、三重・鈴鹿、大阪・交野などの地域革新懇は、国政の課題と地域の要求をとりあげて持続的に活発な取り組みをすすめるなかで意識的に「全国革新懇ニュース」の普及を追求しています。この経験に学びましょう。
・革新懇が関係する賛同団体と力を合わせ、役員や構成員に普及する例が生まれています(大阪国公革新懇)。賛同団体のなかで購読者を増やしましょう。
《インターネットの活用》
・ウェブサイトやSNSなど、インターネットを活用した情報活動は重要性を増しています。ホームページの充実、フェイスブックの本格的な運営にとりくみます。
《35周年を革新懇運動の新たな飛躍のなかで迎えましょう》
・全国革新懇35周年記念誌を刊行します。
・1981年5月26日、全国革新懇が結成されました。2016年は全国革新懇結成35周年です。歴史的情勢と国民のたたかいの発展のもと、安倍暴走と対決し、日本の進歩に尽くした先達たちの苦闘と業績に学びつつ「国民が主人公」の政府の実現にむけて、新たな気概をもって前進しましょう。
以上