地域・職場・青年革新懇全国交流会in千葉 問題提起と報告

2015年10月31日

全国革新懇代表世話人会

≪今回の地域・職場・青年革新懇全国交流会の目的≫

戦争法案反対のたたかいは、歴史的な空前の国民運動となった。戦争法案は前代未聞の異常な「強行採決」をされたが、これに反対する国民は深い確信と希望をつかんだ。戦争法廃止、立憲主義、民主主義と平和を守れ、が共通の認識になっている。こうしたもとで開かれる地域・職場・青年革新懇全国交流会in千葉は、①情勢を語り、戦争法案反対のたたかいの経験を交流し、戦争法廃止、立憲主義と民主主義を取り戻す新たなたたかいの意思統一②「戦争法廃止の政府」をどうつくるのか、各分野・草の根での取り組みを交流する③これらの運動を支え、発展させてゆくために、各地の経験に学び、革新懇の運動と組織を大きく飛躍させる――この三つの目的を持って開催される。戦争法反対の巨大なうねりを土台に具体的な政府構想が提唱される新しい段階にふさわしい革新懇運動をつくりだしてゆく歴史的な交流会にしよう。

Ⅰ、戦争法反対のたたかいと革新懇~政治を動かす私たちの取り組み~

《戦争法案反対の空前のたたかいのひろがりと深まり》
○戦争法案反対のたたかいは、空前のひろがりを持った。憲法学者、日弁連、学者の会、「ママの会」、シールズ、文化人、芸能人、元内閣法制局長官、元最高裁長官など各界各層で戦争法案反対、立憲主義と民主主義を守れ、の声がひろがった。全国各地の地域にひろがり、世代を超え、主権者としてのひとり1人の自発的な運動参加が目立った。
○戦争法案反対のたたかいはまた深まりという点でも画期的だった。社会運動をすすめてきた諸潮流が大きく団結した。これまでの社会運動のなかで対立・分岐をした潮流も大きく共同し、「総がかり行動実行委」をつくったことは特筆される。この大きな土台ができたことによって、新しく自覚的自発的に声をあげた多くの人びとが次つぎに行動に参加、運動が急速に発展し、かつて経験したことのない新しい国民運動がつくられていった。
○国民の運動と政党が共鳴して、呼応して、たたかいの輪をひろげたことも特徴である。国民の声が野党共闘を強いものにした。
○かかげた要求は、「戦争法案」反対だけでなく、立憲主義、民主主義国と政治のあり方を根本から問いかけた運動となった。そして「安倍退陣」が共通のスローガンになった。
○こうした国民運動の発展は、戦争法案反対で突然、生まれたのではない。とくに3・11以後の原発反対の取り組み、“オール沖縄”のたたかい、TPP(環太平洋連携協定)反対の共同、秘密保護法反対闘争、労働法制改悪反対の取り組みなど、「一点共闘」の重層的発展の流れがある。どの分野でも、革新懇運動に結集する勢力は、誠実に役割を果たし、多くの分野で共通認識と信頼関係を発展させた。革新懇は、国政の基本課題の三目標での共同をめざしつつも、ひとつでも一致する要求があるならば、その一点での共同を発展させることを先駆的に追求してきた。この見地と経験が、今日の「一点共闘」の発展を生み出す力になった。
○一致する要求を真正面からかかげ、誠実に追求するなら、平和、民主主義を求める国民の間で超えられない「壁」はない。私たち国民の運動が政治に影響を与えてきた。「政治は変えられる」―この確信をいっそう広範な人々に伝え、ともに立ち上がるようによびかけていこう。

《「革新懇」が果たした役割》
○戦争法案反対のたたかいは、共同の力が発揮されたが、各界各団体、個人がそれぞれ自発的に役割を担ったからこそ実現できた。ともに声をあげたすべての団体、個人にこころからの連帯と敬意をあらためて表明する。これらの方々から、信頼関係の構築、1人ひとりの自発性を尊重した運動の形態など私たちも多くのことを学ぶことができた。
○革新懇の果たした役割を考える前提として、革新懇運動をどうとらえるか、が重要である。革新懇運動を、全労連、新婦人、全商連、民医連、農民連、民青同盟など賛同団体、日本共産党、都道府県革新懇、地域・職場・青年革新懇、会員個人の運動の総体、全体としてとらえることが大切である。この見地は、革新懇が国民的共同を発展させ、戦争法廃止の政府、さらに「国民が主人公」の政府を実現する統一戦線運動を担うため必要である。
○全労連など賛同団体は、憲法共同センターを「戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター」に改組・発展させた(革新懇は運営団体)。このことによって、憲法・戦争法問題での一点で革新懇に結集する勢力が力を合わせて自覚的に運動を推進する態勢を確立し、組織的全国的に世論と運動を強化するうえで大きな意義を持った。同時に、この力の結集が、「戦争をさせない1000人委」「解釈で憲法を壊すな!実行委」と共同する柱になった。また賛同団体は、女性、青年など各分野各地方で共同をよびかけ、次々とわき起こる新しい運動を歓迎し、それぞれを尊重し、協力し、経験と組織力を生かし自覚的に下支えの役割も担いながら、運動の輪をひろげる大きな役割を果たした。
○都道府県革新懇、地域・職場・青年革新懇は、多くの地方・地域で、共同をよびかけ、宣伝・署名、学習・講演会、集会、パレードなど行動を重ね、協議の場をつくり、多彩な共同の要、推進力となって全国各地の草の根から運動をすすめた。多くの革新懇と個人がSNSなどインターネットを活用した。「地域で革新懇は、実行委やセンターなど共同をひろげ、軸になってがんばった。革新懇がある地域とない地域でくっきり違いが出た」(神奈川革新懇代表世話人)、「(戦争法反対で)革新懇の提起した運動がこんなに大きな広がりを見せたことに、運動を担ってきたものとして感慨無量であり、革新懇の示す方向がまったく正しいものであったことをいまあらためて感じている」(名古屋・瑞穂区革新懇)などの声が寄せられている。
特徴として、①都道府県段階でも(岩手、埼玉、香川など)、地域でも(北海道・ていね、群馬・前橋、東京・日野、千葉・松戸、船橋、神奈川・小田原、愛知・瑞穂区、大阪・寝屋川など)、共同の「要」として、共同行動、実行委、センターなどをよびかけ、軸になって行動②1人ひとりの自発性を大切にし、ポスターなどアピール運動と地域での網の目行動(宮城・多賀城、神奈川・湯河原、奈良・西の京など)が目立った。大阪革新懇は、憲法学者・小林節講演会を開催、維新とのたたかいで結びついた保守の人たちとともに安倍NO、戦争法反対での共同を発展させた。大企業の職場・門前でも、戦争法反対行動をすすめた東京・西武革新懇、神奈川・京浜製鉄革新懇、京都・三菱重工・自動車革新懇などの活動も、「職場革新懇ならでは」の役割を発揮した。青年革新懇は、神奈川青年革新懇が事務局を努め大規模な若者デモをおこない、大阪・堺市Meeting Sakaiは戦争法廃止の一点共闘をSNSで呼びかける新しい青年グループを発足させるなど、青年の共同をひろげている。
全国革新懇(事務室)は総会以後、ほぼ3日に1回のテンポでFAXニュースを発行、8月30日の国会大包囲行動には地方の革新懇から多数参加し、翌日には国会内で戦争法案廃案のための革新懇交流会を開催した。

Ⅱ、戦争法廃止にむけたたたかいの展望~運動の基本方向について~

○戦争法廃止を目標として明確にかかげてたたかおう。国会論戦で明らかになった戦争法の危険性を徹底的にひろげよう。戦争法の具体化に反対し、発動を阻止するたたかいも廃止と結んでこそ力を発揮する。日本共産党の戦争法廃止の国民連合政府の提唱を私たちの願いに応えたものとして、心から歓迎する。1980~81年の結成以来、要求実現の取り組みを強めつつ、国民の願いにもとづいて政治を変える政府をめざしてたたかってきた全国の革新懇運動は、いままさにその実現へ第一歩を踏み出す歴史的な瞬間にある。戦争法を廃止するためには、衆参両院での多数派を占めなければならない。それだけでなく策動の根拠となる解釈改憲「集団的自衛権の行使容認」閣議決定を撤廃することが不可欠である。それは安倍政権を倒し、新しい政府を樹立しなければ実現できない。この政府実現のためには、野党の選挙協力が必要である。立憲主義を取り戻し、戦争法を廃止する野党選挙共闘と政府を要求する世論を圧倒的な多数派にひろげよう。
○戦争法反対のたたかいを通じて、戦争法を廃止する運動主体が大きく形成された。「総がかり行動実行委」、新しく立ち上がった広範な各界各層の運動と共同を大切にし、さらに巨大な国民運動を草の根からつくりだそう。国民運動と野党共闘の一体的な発展に力を尽くそう。
○戦争法を強行した安倍政権は深刻な矛盾を深めている。安倍政権は、内閣改造し、「新3本の矢」「1億総活躍社会」をかかげているが多くの国民から疑問と批判が出ている。またTPP大筋合意についても、「安保法案」についても「丁寧に説明」としながら、臨時国会開会を拒否している。戦争法自体の矛盾が顕在化するだけでなく、沖縄県民の民意を無視して強行されている辺野古新基地建設、強引にすすめられる原発再稼働、国会決議に違反したTPP大筋合意、消費税10%への増税など各分野で国民との対立を鋭くしている。
どの分野でも国民の意思に反する暴走であり、解釈改憲、戦争法強行で示した立憲主義否定と根はひとつである。各分野の国民のたたかい、「一点共闘」を発展させ、安倍政権を大きく包囲し、打倒しよう。
翁長知事の辺野古埋め立て承認撤回で新しい段階を迎えた辺野古新基地建設反対を「戦争法廃止」と一体のたたかいとして国民的な支援・連帯をいっそうひろげよう。原発事故から5年を迎えようとしているが、賠償打ち切りなど福島切り捨てを許さず、福島の実相を告発し、原発再稼働反対、原発ゼロへの国民的運動をさらにつよめよう。2016年3月の福島シンポジウム(主催:全国革新懇、福島県革新懇)を成功させよう。
○戦争法廃止の共同を大切にひろげ、宣伝、集会、パレードに取り組もう。力を合わせ、「戦争法廃止2000万署名」を必ず早期に達成しよう。そのため国会論戦で明らかにされた戦争法の危険を国民にひろげるため学習活動を強めよう。PKO南スーダンでの「武力行使」新任務など戦争法の具体化・発動を阻止しよう。戦争法廃止の野党選挙共闘、政府の実現をめざす申し入れ・対話・懇談を無数にひろげ、多彩な取り組みをすすめよう。
○安倍別働隊である「橋下維新」との激しいたたかいとなっている大阪知事・市長ダブル選挙で勝利することが、戦争法廃止の野党共闘をすすめてゆくためにも重要な焦点となっている。全国的な支援を強めよう。

Ⅲ、情勢と国民運動の発展に応える革新懇へ~運動と組織を飛躍させよう~

○いま日本の統一戦線運動は、国民運動の発展を土台に具体的な野党選挙共闘と政府構想が提起される新しい段階、歴史的な地平を切り開いて前進しており、革新懇運動と組織の飛躍が求められている。
○革新懇が果たすべき役割はいよいよ重要である。「一点共闘」を重層的に発展する「要」、政治を変える共同への「架け橋」の役割を新しい政治情勢のもとで果たそう。草の根で各議員と政党、保守を含む広範な団体、個人と積極的に対話・懇談しよう。戦争法廃止の野党選挙共闘を求め、野党共闘が実現した選挙区では、沖縄の経験にも学び、候補の所属党派にこだわらず全力支援しよう。
○革新懇は生活向上、民主主義、平和の三つの共同目標にもとづく「国民が主人公の政府」をめざしている。戦争法廃止の政府は、「一点共闘」型の政府であるが、主権者・国民が政治を動かし政府を樹立するという日本の歴史上、かつてない画期的な出来事になる。国民の声と運動によって誕生するこの「立憲主義」政府は、他の国政課題についても、国民多数の世論を尊重し、安倍暴走の歯止めにもなりうるだろう。この国民的経験を通じ、当面の生活向上、民主主義、平和の緊急課題で一致する政府、さらに「国民が主人公の政府」へ大きくすすむ新たな条件が生まれるだろう。
○地域・職場・青年革新懇は、草の根の多彩で切実な要求を実現するとともに、国政の焦点課題を系統的に取り上げてきた。そして「団体、政党、個人」の総合的な力を発揮できる恒常的共同組織が革新懇である。安倍政治の矛盾が集中し、多くの要求が渦巻く地域こそ、新しい政治をつくる主戦場である。地域住民の暮らしに根差した取り組みを大いに交流し、共通の財産にしょう。
○新しい情勢のもとで、激しいたたかいがおこなわれるが、このなかでいっそう幅広い人々との対話・懇談がいよいよ大切である。ここでも革新懇が培ってきた「経験と力」を大いに発揮しよう。「楽しくなければ革新懇でない」スタイルを大切にし、一致点を大切にし、みんなが力を発揮できる楽しい活動を貫こう。
○新しい国民運動の発展と「戦争法廃止」の政府をつくる運動を担う革新懇の組織づくりの飛躍が求められている。2013年の前回全国交流会時と比べ、22地域5青年革新懇が増え、661地域141職場22青年の計824革新懇(他に9地域5青年革新懇準備会を加えると838革新懇)と前進した。「全国革新懇ニュース」は約500部増の2万9393部となっている。しかし情勢と国民運動の発展に応える組織づくりという点では、十分でない。
すべての自治体・行政区に網の目のように革新懇をつくることに本気で取り組もう。「なんでも取り組める」革新懇の特性を生かし、計画を持って結成し、安倍暴走と対決する地域の砦をつくろう。そのために軸になる人を配置し、事務局体制を確立しよう。意識的計画的な努力をしてきた神奈川革新懇などの経験から学ぼう。 大企業職場をはじめ多数の職場革新懇を非正規労働者や管理職を含め、組合の違いを超えてつくろう。青年・学生の立ち上がりに確信を持ち、大胆に青年革新懇をつくろう。早期にすべての県で青年革新懇を結成しよう。
革新懇運動の理解をひろげ、最も確かな力になる「全国革新懇ニュース」3万部を突破し、2016年の35周年を革新懇運動の躍進のなかで迎えよう。

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