地域・職場・青年革新懇全国交流会 in 愛知 問題提起と報告

2017年11月18日

全国革新懇代表世話人会

はじめに

複雑な困難・制約はあったが、はじめて全国各地で野党統一候補を擁立して「市民と野党の共闘」でたたかうという歴史的な総選挙を経験して革新懇全国交流会は開かれる。安倍暴走政治を打ち破る新たな出発点として大きく成功させよう。本交流会では、①たたかいを前進させるうえで、総選挙結果の評価と新しい情勢の特徴について何をつかむことが重要なのか、②来るべき国政選挙、安倍9条改憲阻止をはじめとする当面のたたかいで「市民と野党の共闘」を草の根からいっそう発展させる教訓と課題について③そのなかで一貫して統一戦線を推進してきた革新懇と賛同団体はどういう役割を担うのか―などを大いに交流、議論しよう。

1)総選挙後の情勢の特徴と課題

〇総選挙の基本的評価
私たち国民のたたかいに安倍首相は追い込まれて、解散に踏み切った/希望の党旗揚げ、民進党の解体によって、野党共闘は大きな困難に直面したが、「市民と野党の共闘」破壊、「共産党を除く」改憲翼賛体制づくりの企てを打ち破った。この力は、とりわけこの2年間の全国各地で戦争法廃止を求め、野党の共闘を願い、たたかい、ひろげてきた「市民と野党の共闘」のたたかいの蓄積があった。北海道、新潟、熊本などのように2016年2月の野党合意以後の参院選などでの共闘の成功とその継続の努力が激変のなかで共闘を実現し、成果をあげることに結びついた。さらに共謀罪、沖縄、労働法制など日常的な要求にもとづく大衆運動での共闘の継続的な追求と共闘の深化が総選挙で共闘をつくりだす基礎的な条件をつくりだしたことが強調されなければならない。
立憲民主党、日本共産党、社民党は改選38議席から69議席に大きく前進し、立憲民主党は野党第1党に進出した。これは、憲法改悪を阻止するいたたかい、さらに「市民と野党の共闘」の発展を考えるときわめて大きな成果である/そのなかで野党共闘の破壊を打ち破り、民主主義を守るうえで大きな貢献をした共産党が議席を後退させたのは残念なことである/国民は安倍政治を支持したのでない。内閣不支持率は支持率を上回り、絶対得票率(自民比例)では17%にすぎず、小選挙区制による「虚構の議席」である/困難な条件でたたかわざるをえなかったが、「市民と野党の共闘」の力を発揮した北海道、新潟をはじめ野党勢力が勝利した選挙区などに示されるように、「野党は共闘」にこそ活路あり、を証明した。

〇改憲をめぐる重大な局面と矛盾

「市民と野党の共闘」破壊、「共産党を除く」改憲翼賛体制づくりの企ては、支配層の大きな戦略にそった動きであったとみられる。そのねらいは、「朝鮮有事」も想定した自衛隊の本格的な海外派兵態勢の確立、そのための9条改憲にあった。これを「市民と野党の共闘」がさしあたり阻止した、ということができる。それだけに改憲の動きを本格的に打破するためには、わたしたちの運動をいっそう発展させることが求められている。
総選挙公約の柱に9条改憲をかかげた改憲勢力が3分2以上を占めた。安倍首相は改憲に執念し、自民党改憲案を通常国会に示す考えを重ねて示している。憲法をめぐる状況は、戦後もっとも危険な局面にある/改憲勢力は深刻な矛盾を抱えている。改憲勢力が改憲案をまとめるのも平坦ではない。希望の党内部にも公然と9条改憲反対を唱える議員もいれば、公明党も慎重とされる。何よりも国民との矛盾がある。多くの世論調査では9条改憲を支持するのは少数である。もっとも調査によっては幅があり、しっかりとした圧倒的多数の安倍9条改憲反対の国民世論を形成することが急務である(共同通信世論調査「9条に自衛隊明記 反対52.6%、賛成38.3%」11/3付各紙)/かつてない「憲法を守る」たたかいの態勢を構築してきた。総がかり行動実行委員会を土台に、9条の会も大きく合流し、国民的な大運動をめざす「安倍9条改憲NO! 全国市民アクション」が生まれた。国会内外で「市民と野党の共闘」の力を発揮してたたかい抜くなら、国会発議を阻止し、憲法9条を守ることは可能だし、絶対に守らなければならない。
そのための中心的な課題として3000万署名を国民的な規模で取り組むことがきわめて重要である。革新懇と賛同団体は、その政策の力、組織の力、草の根の力を発揮して大きな役割を担おう。

2)「市民と野党の共闘」の教訓と課題

〇困難を克服して切り拓いた条件

民進党の解体、希望の党への合流という背信、「市民と野党の共闘」を破壊する逆流を共闘を求める市民と野党が声をあげ、力を合わせて打ち破った。全国各地で「野党共闘」を求める無数の動きがおきた。市民連合は見解を出し、「共闘の再生」をよびかけた。全国革新懇はアピールを発表し、可能な共闘の追求を訴えた。限られた時間の制約のもとでも、野党間の候補一本化、市民と立憲民主党、日本共産党、社民党の各候補との共闘など多様多彩なバージョンの「市民共闘」候補を生み出した/多くの民進議員が希望の党の「踏み絵」を拒否し、共感をひろげた。この背景には「市民と野党の共闘」の蓄積がある/いち早い共産党、社民党の選挙協力合意は大きな励ましとなった。立憲勢力の前進のために自党の候補を降ろした共産党の英断は高く評価されている。社民党は野党共闘を結び付ける立場から各地で貢献した/「市民と野党の共闘」は鍛えられた。「市民と野党の共闘」は国民の間に根付いている。

〇本気の共闘への課題と留意点

安倍政治を終わらせ、戦争法廃止、憲法9条を守り生かすためには、政権を変えなければならない。この目標に向かって「市民と野党の共闘」を本格的に発展させることがいよいよ求められている。そのためには、第一に、憲法改悪阻止、戦争法廃止、辺野古新基地建設反対など現実の課題での国民的運動、市民のたたかいを発展させることである/第二に、「市民連合」が立憲民主党、日本共産党、社民党と合意した7項目の基本政策を土台に、政策の拡充を追求することである。さらに国民に魅力ある、新しい日本の姿(政権構想)を示すことである/第三に、全国各地で「市民と野党の共闘」をひろげ、市民共闘・市民連合をつくり、信頼関係を深め、相互支援と連携の強化をはかることである/この数年来のたたかいを通して、互いにリスペクトしてたたかい、議論するなら、「越えられない壁はない」ことを確信する。
大いに交流・議論を―改憲勢力である希望の党の評価を明確にしつつ個々の事例の柔軟な対応、安倍政治の肯定が比較的多いとされる青年層をいかに結集するか、選挙で棄権する多数の市民へ届くたたかいの構築など―

3)革新懇運動が果たした役割と課題

〇総選挙をたたかった革新懇運動

「市民と野党の共闘」がうまれたもとで革新懇ははじめて総選挙に本格的に取り組んだ。全国革新懇は総選挙にあたり、アピールを発表し、突然生まれた困難を克服し、日々激変する動きのなかで「可能な共闘」の追求をよびかた/各地で革新懇は、「市民連合」をはじめ、広範な市民団体、声をあげた方々と連携・協力して、奮闘した。さまざまな状況に応じて市民と野党の共同候補が生まれた。この取り組みを通して多くの市民団体や政党関係者と新しい絆が生まれた。共闘を求める懇談会、申し入れ、ハガキ運動、街頭宣伝(新潟革新懇)、地域で選挙を担う「市民共闘」の結成へ、よびかけ人を組織し、下支えした(愛知・港区革新懇、兵庫・西宮革新懇など)、日常の住民要求活動が信頼され「市民連合」の軸におされて奮闘した(新潟・三条革新懇)、「革新懇のない地域は誰と相談して『市民連合』づくりをすすめればいいのか、と市民団体から聞かれる」(千葉県革新懇)なども革新懇の取り組みの一例である。

〇革新懇運動の先駆性

そもそも革新懇運動は、社会党・共産党という政党間の共闘が1980年の「社公合意」によって、大きな障害に直面したもとで、政党合意待ちにならず、国民自身が共産党とともにみずからの課題として「統一戦線」を求める運動として立ち上げたものである。思想・信条の違いを超えて、一致点での共闘を追求し、営々と草の根で努力を続けた。近年、ひろがった「一点共闘」の「要」、政治を変える統一戦線への「かけ橋」の役割を担うべく奮闘し、今日の「市民と野党の共闘」に結実していった。革新懇の誕生は統一戦線運動の画期であり、「市民と野党の共闘」の先駆けだった。
今日、わたしたちは、従来の壁をこえた、共闘をひろげている。不一致点や過去の運動についての見解の相違もある団体などとも相違点を脇に置いて共闘をすすめていることが重要である。同時に、共闘を深めていくうえで、それ自体、ある意味ではひとつの「壁」にもなりうるものであり、よく考慮してすすめてゆくことも求められている。

〇革新懇運動の力を発揮しよう

革新懇は、「国民が主人公」の政府をつくることを展望し、安保条約廃棄を含む平和、民主主義、生活向上の「3つの共同目標」かかげ(政策の力)、政党・団体・個人が結集し(組織力)、草の根に組織を持つ(草の根の力)、「統一戦線運動の確固とした推進力」である。 たたかいの将来の展望を示しているだけでなく、現実の「市民と野党の共闘」を下支えもするブレない軸になっている/戦争法は、日米軍事同盟のグローバル化を立法化したものであり、日本の政治の根幹にかかわる問題である。それだけに日米支配勢力の攻撃は激しく、これを打ち破ることなしに共闘の発展はなく、ここにも革新懇運動が担うべき役割がある。

〇市民運動から学び、協力し、ともにすすもう

この間、新しく生まれた市民運動は、主権者の自発的な運動として選挙をたたかうようになった。わたしたち「敷布団」も、1人ひとりの自発性を大切にする・国民目線で宣伝を重視する・熱心さ・専門性・SNSの活用などなど、学ぶ点が多々ある。各地でさまざまな運動を通じて、連携・交流を深め、ともにすすもう。

情勢と運動の発展にふさわしい革新懇運動、革新懇づくりを

政権構想を持ち、相互支援する「本気の共闘」へ、統一戦線運動の新しい段階をむかえている。それを担いうる革新懇へ飛躍することが求められている/賛同団体の力それ自体を大きく強化することが必要だ。そしてその力を革新懇運動、「市民と野党の共闘」で発揮することが大切である/革新懇は、47都道府県革新懇をはじめ、草の根に847革新懇(681地域・141職場・25青年)が結成され、「全国革新懇ニュース」は30264部と過去最高水準に到達している。さらに大きく発展させよう/地域こそ政治を変える主戦場である。国政の焦点とともに地域の多彩な要求・関心事に応え、地域に根を張った豊かな多数派を形成しよう。全国すべての自治体・行政区に革新懇をつくろう。さらに学校区や町内会単位の地域革新懇をつくろう。すすんだところでは、①事務局長の専任化と事務局体制の確立②会議の定例化③企画・行動(要求と関心事)の具体化④ニュース発行―が共通している。地域の要求・関心事を取り上げ、また国政の焦点を追求するなかで、「市民権」をひろげ、地域革新懇をすべての自治体につくろうとしている香川県革新懇や川崎市革新懇の取り組みは教訓的である。また革新懇と賛同団体、共産党機関との定期協議など協力・援助を定着させることも重要である。小選挙区単位での革新懇の交流をすすめよう/広大な空白に存在し、政治を考える貴重な役割を果たす職場革新懇、青年革新懇をひろげよう/幅広い有識者と懇談・交流し、「市民と野党の共闘」を一貫して追求してきた「全国革新懇ニュース」は、革新懇運動を知っていただき、ひろげる最良のツールであり、5万部へ本格的前進をはじめよう。

4)当面する行動のよびかけ

〇安倍9条改憲を必ず阻止しよう。日本の命運がかかったたたかいであり国会発議を許さない歴史的大闘争を巻きおこそう。

「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」がよびかける3000万署名をすすめよう。すべての革新懇組織が目標をもって取り組もう。4月25日までに1500万人の署名集約を目標としてすすめよう。憲法共同センターの取り組みを強め、9条の会、市民団体と力をあわせてたたかおう。
〇市民連合が野党と合意した7項目の政策課題をはじめ、核兵器廃絶国際署名など、平和、民主主義、くらしの課題でたたかいのなかで、「市民と野党の共闘」を草の根からひろげ、安倍暴走政治を大きく包囲しよう。
〇名護市長選挙(1月28日告示、2月4日投票)に勝利しよう。全国各地で沖縄連帯・支援の輪をひろげよう。自らのたたかいとして沖縄現地に代表を、カンパを送ろう。全国革新懇も独自の常駐体制を構築し、沖縄革新懇、統一連とともにたたかう。
〇次期国政選挙を視野に、すべての自治体・行政区に革新懇をつくる目標とも結んで、「市民と野党の共闘」の発展をめざし、戦争法廃止をはじめとする運動をつうじて交流のある個人、市民団体・グループ、労組、民主団体、政党などとさまざまな形態で懇談をすすめよう。

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