全国革新懇第38回総会 「報告と提案」 安倍政治を終わらせるときがきた 

2018年5月19日

全国革新懇代表世話人会

 

はじめに(総会の任務) 

森友・加計問題にみられる政治の私物化、財務省の公文書の改ざん・セクハラ、防衛省の日報隠蔽、厚労省の裁量労働データねつ造、文科省の前川授業介入、また国民の声に背を向けた原発再稼働・輸出、沖縄辺野古新基地建設強行、くらし破壊、さらに核兵器禁止条約に反対し、北朝鮮問題で蚊帳の外におかれた日本外交の孤立・・・・・。安倍強権政治が内政でも外交でもゆきづまり、政権危機に陥っています。多くの国民が「安倍やめろ」の声をあげ、新しい市民運動のうねりが生まれています。いま安倍政治を終わらせ、新しい政治に転換をすることが現実の課題になっています。こうしたなかで開かれる全国総会は、激動の歴史的情勢にふさわしく「市民と野党の共闘」を発展させるとともに、それを広範な人々と協力し支える「確固とした展望を持った統一戦線運動の推進力」として革新懇運動を飛躍させる方向を示し、情勢と課題を明らかにするために開かれます。英知を結集し、第38回全国総会を 政治を変える新たなたたかいの高揚を切り拓く力になるものとして成功させましょう。

 

Ⅰ)、情勢の特徴と革新懇の活動

1、窮地に追い込まれる安倍内閣   民主主義と政治を国民に取り戻すとき

安倍政治を土台から揺るがすゆきづまり、破たんが際立っています。統治能力を失っているとさえいわれるほど政権末期的な事態に発展し、支持率も急落し、2割台という調査結果も生まれています(支持率26%不支持53.4% 日本テレビ4月15日、支持29%、不支持55.2% ANN4月23日)。

国民の怒りが沸騰する、深刻かつ異常な問題が次々に起きています。

安倍政権で繰り返された公文書改ざん、ねつ造、隠蔽は民主主義の根幹を崩す暴挙です。自衛隊のイラクや南スーダンでの日報を隠蔽したのは、自衛隊を戦闘地域=戦場に送り出したという、憲法にかかわる重大事実を国会、国民に隠したということです。国政の最高機関・国会の議論の前提が成り立たなくなり、主権者・国民をだます許されない行為です。森友・加計問題での公文書の隠蔽、改ざんは、政治を私物化し、友人には国有財産をタダ同然の安売りをしたことを隠すという二重に行政を歪めた許されない犯罪的行為です。個々の政策問題とは異質の重大問題であり、憲法をないがしろにする安倍強権政治を象徴する問題で、絶対にウヤムヤにできません。

安倍政権の時代遅れの人権感覚を明らかにしたのが財務次官のセクハラ暴言です。セクハラ暴言自体に加え、「セクハラ罪という罪はない」とうそぶき、擁護する麻生財務相、政府・与党の幹部などの言動が、怒りをひろげています。この暴言を続ける勢力は、日本会議勢力であり、かれらが憲法9条(戦争放棄)とともに24条(両性の平等)を敵視ししているのは、偶然ではありません。

北朝鮮問題をめぐって大激変があり、平和的解決に歴史的チャンスが生まれています。歴史的な南北首脳会談がおこなわれ(4月27日)、「完全な非核化で核のない朝鮮半島」「年内に朝鮮戦争の終結宣言し、平和体制構築」を明記した「板門店宣言」が発表されました。つづいて準備されている米朝首脳会談に期待がひろがっています。このとき「対話のための対話では意味がない」とだけ繰り返し、制裁一本やりをおしすすめてきた安倍外交は、“蚊帳の外”におかれ、まったく事態に対応できない姿を浮き彫りにしました。いま必要なのは、朝鮮半島の非核化、北東アジア地域の平和体制の構築を一体的に、また段階的にすすめることです。本来、朝鮮半島の平和がわが国の平和に直結する隣国として、また拉致問題をかかえる国として、さらに植民地支配の歴史を持つ特別な国であるだけに、いまこそ憲法9条を生かし、平和解決に貢献すべきです。この歴史的激変を生み出すうえで大きな役割を果たしたのは韓国です。その背景には、韓国のローソク革命があり、市民がその新しい政権をささえるという息吹があります。日韓市民運動の新しい連帯がはじまっていますが、朝鮮半島の非核化、北東アジア非核化の分野でも交流・連帯がいっそう期待されます。北朝鮮問題でも“蚊帳の外”におかれた日本外交の問題の根本には、侵略戦争正当化・対米追従という安倍政治の深刻な弊害があります。

一連の安倍内閣の異様な政治姿勢の根本には、憲法じゅうりん、民主主義、個人の尊厳の否定があり、沖縄県民の民意を無視した辺野古新基地建設の強行、生活保護の切り捨て、医療・介護破壊などくらしの問題などにも共通しています。安倍政権は財界中心の政治、アメリカいいなり政治というふたつの根本問題とともに、安倍首相が属する極右団体「日本会議」メンバーが内閣の大勢を占めるなどこれまでの自民政治とは違う、戦前政治の美化・回帰・時代錯誤、政治の私物化という異質な問題をかかえています。いま、“安倍内閣はただちに総辞職を”の声を大きく結集し、民主主義と政治を国民に取り戻すときです。

2、「市民と野党の共闘」のたたかいが安倍内閣を末期状態に追いつめている 

(1)どの課題でも「市民と野党の共闘」が力を発揮し、安倍政治を追い詰めた

安倍暴走政治に反対し、市民連合と野党の政策合意を中心に、安倍9条改憲NOをはじめ、戦争法廃止、労働法制、原発、沖縄などで総がかり行動実行委を軸にして、重層的な取り組みをひろげてきました。また国会で森友・加計問題などを取り上げて安倍政権を追及してきた6野党共闘と連係しながら発展してきたことも特徴です。

国会での継続的な野党共闘の力が発揮したことも画期的です。森友・加計問題の追及のなかで生まれた6野党合同ヒヤリングは事実究明と世論喚起に貢献しました。また政策面でも、立憲民主、共産、自由、社民の野党4党が「全ての原発の運転を速やかに停止し廃止する」ことを掲げた「原発ゼロ基本法案」を提出したことも市民運動を大きく励ましました。「野党は共闘を」の市民の声が後押しするなかで、社民党大会での5野党党首が共闘を表明したことも大きな到達です。名護市長選でも、沖縄ではじめて立憲民主党を含めた5野党共闘がつくられました。いよいよ各野党には「政策対話と候補者調整」の協議を前進させることが強く求められています。

(2)“新しい市民運動”の新たな高揚

総がかり行動実行委を軸にしたこれまでの運動を土台に、全国市民アクションを結成して、「9条の会」とともに、安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一3000万署名運動をすすめたことは、大きな力となりました。波状的に国会前行動をくりかえし、全国各地の街頭で、地域・商店街で、農村で「安倍やめろ」の抗議行動が続きました。とくに国政私物化、安倍暴走政治への怒りが爆発、勤め帰りのサラリーマンや子供連れの家族が抗議行動に参加、Stand For Truth(SFT)など“新しい市民運動”の新たな高揚が生まれました。若いカップルなど自主的に多くの市民が集まり、5万人が参加した4月14日の国会正門前の大行動にみられる「新しい市民運動」の高揚は、その象徴です。さらに5・1メーデー、5・3憲法集会と新しい市民運動のエネルギーも結集して全国各地で大規模な統一行動、集会が取り組まれました。

今日の「市民と野党の共闘」のひろがりをみるうえで、昨年の総選挙時の危機を突破し、乗り越えてきたことが決定的でした。総選挙を前にして希望の党の旗揚げ、民進党の合流によって、野党共闘は大きな困難に直面しましたが、「市民と野党の共闘」の破壊、「共産党を除く」改憲翼賛体制づくりの企てを打ち破りました。この力の源泉には、とりわけこの2年間の全国各地で戦争法廃止を求め、野党の共闘を願い、たたかい、ひろげてきた「市民と野党の共闘」のたたかいの蓄積がありました。北海道、新潟、熊本などのように2016年2月の野党合意以後の参院選などでの共闘の成功とその継続の努力が激変のなかで共闘を実現し、成果をあげることに結びきました。さらに共謀罪、沖縄、労働法制など日常的な要求にもとづく大衆運動での共闘の継続的な追求と共闘の深化が総選挙で共闘をつくりだす基礎的な条件をつくりだしました。そのうえでの市民連合のイニシアチブをはじめ、各地で市民が野党統一候補の実現を求めて声をあげ、行動したことが決定的でした。また政党では、自らの公認67候補を降ろして野党統一候補の実現に尽力した共産党の決断は、「民主主義のためにあえて犠牲も致し方ないとした共産党全体に、一国民として、心からお礼を申し上げたい」(孫崎享元外務省情報局長)と歓迎されたように、記録されるべき貢献でした。

この結果、総選挙では立憲民主党、日本共産党、社民党は改選38議席から69議席に大きく前進し、立憲民主党が野党第1党に進出するなど、「市民と野党の共闘」の発展の足場を確保しました。

3、革新懇の活動、果たした役割  

(1)大きな威力を発揮

安倍暴走政治と対決し、「市民と野党の共闘」を守り、発展させるために多くの方々と協力して尽力し、積極的な役割を果たしている賛同団体、共産党、都道府県革新懇、草の根の革新懇、個人がそれぞれの条件のもとで活躍し、それらの力が合わさって革新懇運動の大きな威力を発揮しました。そのことは、昨年の革新懇全国交流会での「革新懇皆さんの活動が非常に大きな役割を果たしている」(市民連合・廣渡清吾さん)、「全国革新懇の皆さんがたいへん重要な役割を担ってきたことを十分知っている」(総がかり行動実行委員会・高田健さん)とのあいさつにも反映しています。

(2)革新懇運動の果たした役割の特徴

①≪情勢の新しい局面などで、たたかいの旗印、展望、課題を鮮明に示してきた≫

毎回の代表世話人会での議論でも、情勢の新しい局面でたたかいの課題などを明らかにすることを重視するとともに、共闘破壊の動きに対し「市民と野党の共闘」を守る取り組みのよびかけ、総選挙に起ちあがることをよびかけるアピール、名護市長選などで支援アピールなどを発表してきました。また総選挙直後に全国交流会を開催し、「市民と野党の共闘」の発展方向を打ち出すとともに、全国各地で望月衣塑子東京新聞記者、前川喜平前文科省次官などを招いた講演会を開催し、そこで共産党議員や賛同団体代表などと一緒に議論し、世論を啓発してきました。

②≪38年にわたって統一戦線運動を推進し、培ってきた共闘のカナメ、架け橋の役割を果たしてきた≫

総がかり行動実行委、市民連合、市民アクション、新しい市民運動と各分野各地で重層的に結びつき、共同してたたかい、安倍政権を土台から揺るがし、追い詰めてきました。また賛同団体が、労働、女性、業者、農民、医療、青年など各分野で要求実現と共同の発展に貢献し、国民的な大きな流れをつくりだす貢献をしました。これらのたたかいを通して、革新懇は、共闘のカナメ、架け橋の役割を担ってきました。

③≪「地域こそ主戦場」―全国各地で組織され、運動をすすめる草の根の革新懇≫

地域革新懇は、草の根で住民の運動と結びつき、地域要求の実現をすすめるとともに、戦争法廃止など国政の焦点での国民的な運動の高揚をつくりだすうえで特筆すべき役割を果たしてきました。この力が「市民と野党の共闘」での選挙闘争や3000万署名でも地域共闘をすすめる大きな推進力となっています。

④≪総選挙での革新懇の取り組み≫

安倍暴走政治を許さないため、多くの方がたと協力し、大衆運動として世論と運動を高めるために尽力するとともに、「政治を変える」ため、国政選挙、地方首長選挙に積極的に取り組みました。戦争法反対のたたかいを土台に、野党統一候補が全国的に生まれる新しい政治条件に対応して、党派選挙でもある国政選挙でも、どの党の公認候補であれ、市民と野党の統一候補であるなら、積極的に支援することを明らかにし、市民団体と協力・連携し、政策協定と野党統一候補の実現を求め、選挙本番では実際の選挙活動に踏み込みました。この革新懇の選挙闘争方針の発展は、「市民と野党の共闘」を支え、各地で選挙勝利に貢献しました。

希望の党立ち揚げ、民進党合流という思わぬ事態に各地の革新懇は果敢に立ち上がり、多くの市民と協力し「市民と野党の共闘」候補擁立のために大奮闘しました。東京革新懇は連日のようにFAXニュースを発行し、共闘を求める各地域の動き伝え、激励しました。渋谷革新懇が一翼を担った「しぶやなかの市民連合」は野党統一候補の実現のために申し入れをはじめ「長妻よ、リベラルに戻れ」街頭宣伝をするなどし、長妻昭氏を統一候補として実現、勝利に大きく貢献しました。川崎・田園宮前革新懇は、「神奈川18区の市民の会」を支え、「野党は共闘」と語っていた候補予定者が希望の党に移行するなどした突然の事態に機敏に対処、市民の会の61人の代表全員の同意を得て、共産党候補を「市民と野党の共闘」候補として擁立してたたかいました。また大阪では「野党統一候補の実現をめざす大阪アピール」運動(賛同人634人)など、地方地域の条件に応じた取り組みをすすめました。総選挙後に開かれた神奈川革新懇の総会では、共産党衆院議員と立憲民主党の衆院議員があいさつ、さらに立憲民主党衆院議員の代理として秘書3人が参加するなど、様変わりでしたが、多くの都道府県革新懇総会に共産党、立憲民主党などの代表が参加するようになっています(東京、兵庫など)。総選挙で、「市民と野党の共闘」候補のために奮闘した地域で多くの変化が生まれており、兵庫・川西革新懇の結成総会に立憲民主衆院議員が参加しています。総選挙の取り組みを通して、「革新懇があるところとないところの違いがハッキリしている」(神奈川、大阪、広島)という評価も聞かれます。

(3)安倍9条改憲NO! 辺野古新基地建設阻止のたたかい

≪3000万人署名の推進≫

3000万署名をはじめ安倍9条改憲を許さないたたかいでは、総がかり行動実行委・市民アクションの運動を軸に取り組みがひろがっています。全国でも、地方・地域でも、憲法共同センター(全国革新懇は運営委員会団体)はその主柱のひとつとして大きな役割を発揮しています。そのなかで賛同団体と日本共産党、都道府県革新懇、地域・職場・青年革新懇など総体としての革新懇運動は大きな貢献しました。全労連、新婦人、全商連、農民連、民医連、民青同盟などは各分野各地でも中心的な役割を担っています。

革新懇組織も、都道府県革新懇が3000万署名推進のための学習交流会を開催(千葉、静岡、香川、熊本県革新懇など)、地域での市民アクション・市民共闘の結成をよびかけ、街頭署名、交流会、ニュース発行、ローラー作戦など署名を推進するためにがんばりました(宮城・多賀城、大阪・交野、寝屋川革新懇など)。「マイナス6℃のなか15人で街頭署名」(北海道・ていねの会)、「今年ほどお花見をした年はない。お花見会場で毎日署名」(愛知・岡崎革新懇)、「戦争法反対から北那須一帯の駅頭や街頭を次つぎに毎週3,4回スタンディング」(栃木・北那須革新懇)、「伊東ゆかり・中尾ミエ・園まり3人娘コンサート会場前で行動。8人が40分で過去最高114人から署名」(埼玉・越谷革新懇)――楽しく創意をこらした署名行動は「革新懇ここにあり」の姿を示しました。

≪辺野古新基地建設を許さない≫

革新懇運動は、非核・非同盟・中立の平和な日本をめざす革新懇の存在意義にかかわる課題として、一貫して基地のない平和でゆたかな沖縄を追求し、沖縄県民のたたかいに連帯・支援する取り組みをすすめてきました。秋田県革新懇が仲里利信衆院議員を招いて開いた沖縄連帯集会には、共産党、社民党、民進党代表が参加し、沖縄連帯の輪をひろげました。各地で安保破棄実行委や平和委などと力を合わせた取り組みも数多く、岡山では「オール沖縄に連帯する岡山県連絡会」、鳥取では「沖縄と連帯するとっとりの会」、島根では「沖縄と連帯する島根の会」を結成。神奈川では「沖縄と連帯と交流のつどい」を開催しました。京都・伏見革新懇、神奈川・茅ヶ崎革新懇など多くの地域で沖縄連帯集会がひらかれ、支援の輪のすそ野をひろげました。こうした行動の積み重ねのうえに名護市長選現地支援も積極的に取り組まれ、現地で革新懇交流のつどいが、各地革新懇や賛同団体からかけつけた約70人で開催されたのをはじめ、連日、宣伝・対話で大きく貢献しました。

(4)地域の要求、関心事をとりあげて

地域の疲弊がすさまじくすすみ、暮らし、医療・介護、教育、営業、交通…さまざまな要求が渦巻いています。地域住民の切実な願いを実現すること自体に、革新懇運動は大きな価値を見出しています。同時に、多くの要求は根本的には自民党の悪政とぶつかるものであり、政治を変革してゆくことと結んで取り組んでいるのが、革新懇運動です。山梨・道志村革新懇は、ニュース『新しい道志を考える会』を毎月発行し、村の670世帯の3割近い170世帯(人)の読者に配布しています。活動では、村政について語り、福祉・医療の学習会、特別養護老人ホーム建設で村長との懇談、村議選挙をよびかけ実に20年ぶりの選挙を実現させるなど、「村を動かす存在」になっています。香川・高松市では5つの校区革新懇が結成され、「場外舟券場反対、市民プール存続を求める運動」(紫雲革新懇)、「学童保育所設置、街路灯設置、鳥糞公害対策」(太田革新懇)、「宗教家、医師などと懇談」(木太町革新懇)、「図書館建設運動」(山田革新懇)、「子ども医療費充実を求める運動」(栗林革新懇)など活発に取り組み、多くの市民、団体と結びつきをひろげています。これがまた香川での「市民と野党の共闘」の発展の力にも結びついています。

自治体首長との定期的な懇談も多くの革新懇でおこなわれ、(神奈川・小田原革新懇 群馬・太田革新懇など)、福岡・福津革新懇などでは、総会に市長が参加し、あいさつを受けています。

(5)地域・職場・青年革新懇づくりと「全国革新懇ニュース」の普及

昨年の総会後、15地域革新懇が新しく結成され、草の根で活動する革新懇は、地域688、職場141、青年25の854革新懇となりました。47都道府県革新懇、10地域、5青年の15革新懇準備会とあわせて、全体で916革新懇となりました。新結成や活動を再開したところでは、共通して、「いまの情勢のもとで革新懇が必要」という認識が土台になり、意識的に追求されていることです。

「全国革新懇ニュース」はこの6月号で創刊400号を迎えます。「全国革新懇ニュース」は、「毎号、楽しみにしています」「励まされます」「職場に掲示しています」と多くの共感をひろげてきました。この間、一貫して「市民と野党の共闘」を探求し、対話と共同をひろげてきました。多くの分野の方々とインタビューで懇談するだけでなく、内田樹神戸女学院名誉教授、仲里利信前“オール沖縄“衆院議員、小林節慶応大名誉教授、望月衣塑子東京新聞記者、前川喜平前文科省次官などの例にみられるように、登場者が各地の革新懇の講演会に参加し、交流を深めているのも特徴です。また反原連、総がかり行動実行委、市民連合などの中心的な方たちとも紙面に登場していただいたことも契機となり、各地の革新懇の学習会に招かれて講演、交流を重ねています。

「全国革新懇ニュース」は、多くの革新懇のみなさんのご努力によって、30401部、前年総会比+38部で(5月14日現在)、過去最高の部数になっています。しかし、2016年総会時に3万部を突破したものの、一方で避けられない減紙もあり、一進一退の状況を打破できず、今日の情勢にふさわしい規模での普及には成功していません。この8年間で3倍化した香川県革新懇(177部→524部)をはじめ、千葉県革新懇(昨年総会比+79部)、革新・愛知の会(+50部)など読者を増やしている多くのところでは、①「市民と野党の共闘」のなかでひろがった新しい結びつきで普及②地域革新懇を結成、再開することと結んで普及③地域要求、関心事の取り組みで結びついた方たちに普及④事務室(局)の意識的追求―などが共通した特徴になっています。

 

)、新しい情勢のもとでのたたかいの方向と革新懇の役割

1、たたかいの方向

(1)安倍内閣をやめさせることが中心の課題になっている

安倍内閣をやめさせ、ウソのない当たり前の政治を取り戻すのは、圧倒的な国民の切実な願いです。

その実現の力は、「市民と野党の共闘」にあります。安倍内閣こそ政治を私物化し、平和、民主主義、くらしのあらゆる分野で国民の願いに立ちはだかる元凶になっています。革新懇運動は、国政の重要な課題で安倍暴走政治と対決し、安倍政治を終わらせるとともに、そのあとに新しい政権、新しい政治の実現を追求します。

佐川前国税庁官、昭恵夫人らの証人喚問、財務省、自衛隊の隠蔽・改ざん文書の全面公開と責任の所在を明確にするなど、森友・加計問題、自衛隊日報問題などの全容の徹底究明と内閣総辞職を求めます。

(2)安倍9条改憲阻止、戦争法廃止のたたかいを軸に各分野のたたかい

3000万署名の到達を土台に、自衛隊を米軍と一緒に世界中で戦争させることに道を拓く安倍9条改憲反対の声をいっそうひろげます。自衛隊の米軍と一体化した共同演習、「米艦防護」など戦争法の適用・発動に反対し、安保法制=戦争法廃止の世論をひろげます。そもそも公文書を隠蔽・改ざんする安倍政権には憲法改憲を語る資格がありません。世論調査でも、自民改憲4項目について反対が多数派で、安倍首相のもとでの改憲について反対が61%賛成38%(共同通信4月25日)、安倍9条改憲案については反対53%、賛成39%(朝日5月2日付)です。3000万署名は、全国で1350万人を突破(4月末)して大きく発展していますが、さしあたり5月末まで全力で取り組み、引き続き安倍政権の総辞職と改憲策動を葬り去るまで署名をひろげましょう。

(3)各分野の運動の課題と要求

〇原発再稼働反対・原発ゼロ、東日本大震災、熊本・大分地震からの復旧・復興を

・東日本大震災から8年目を迎えても、まだ復興は大きな課題をかかえています。政府は避難指示区域の解除を次つぎに急ぎ、補償打ち切りをすすめるなど、「終わり」にしようとしています。避難指示区域等のあった12市町村のうち10市町村で帰還困難区域を除いて帰還宣言が出されたことをもって、避難者数が激減した(5万人)などと発表していますが、避難先で自宅購入、復興・公的住宅入居、自主避難などを除外しているからです。いまだに10万人以上が故郷に帰還できていないとみられています。福島原発事故をめぐって国と東電の責任を認める判決が続いています。国と東電の責任を明確にした完全賠償を求めます。全国各地でたたかわれている福島原発訴訟を支援します。福島第一原発では、いまだに高い放射能のため溶けた燃料の実態もつかめず、汚染水のコントロールもできていません。福島の震災関連死者数は2227人で、津波や地震で命を落とした直接死の1605人を上回っています。原発再稼働反対、原発なくせのたたかいを強めます。

・熊本地震ではいまも38000人もが「みなし仮設」などでの避難生活を強いられています。公的支援を拡充し、住まいの再建を急ぐことが焦眉の課題になっています。地震のたびに、被災者支援の深刻な遅れが繰り返されており、地震国として抜本的な法整備、対策を求めます。

・毎週金曜日の官邸前行動に呼応して全国各地で広範な市民団体との共同をさらにひろげ、集会、パレード、学習会、いっせい行動などを粘り強く発展させましょう。各地の革新懇がすすめてきた現地視察や交流などを通じて、福島原発事故の実態を知り広げる活動を強め、福島県民への連帯・激励・支援をすすめていきましょう。4野党が共同提出した原発ゼロ法案の実現を求め、がんばりましょう。

〇TPP11反対し、食の安全、日本の農業を守る

・安倍政権はアメリカ離脱後も、残る11カ国で交渉を続けてきましたが、TPP11はTPPの危険はそのままであり、批准に強く反対します。トランプ米政権のもとで日本の農業は「TPP以上の」圧力が加えられます。日米FTA(自由貿易協定)を拒否する運動をすすめます。安倍政権は、農業を大企業のもうけの対象にする「農政改悪」に踏み出していますが、市場原理一辺倒の「農政改革」は、日本の農業と農村地域を破壊し、食料自給率のさらなる低下をまねくものです。「安倍農政を評価しない」71.6%(日本農業新聞モニター調査)声が多数です。安倍政権がすすめるJA解体攻撃に強く反対し、食の安全、日本の農業を守ります。

〇暮らし・消費税増税・医療・介護・地域

・子どもが保育園に入れず、学生は高い授業料・ブラックバイトに苦しみ、社会保険料を払えない人が医療を受けられず、介護を受けられない老人がたくさんいる――こんな社会は異常です。社会保障費削減路線をストップさせ、年金制度の改悪反対・抜本的改善、社会保障の充実、誰もが安心してかかることができる医療提供体制を強く求めます。

・消費税は最悪の大衆課税であり、10%への増税は、国民生活を破壊するとともに日本経済に大きな打撃を与えるもので、強く反対します。大企業優遇をやめ、応能負担にもとづく税制を求めます。中小企業を大切にしてこそ、地域社会が成り立ち、日本経済の健全な発展につながります。住民と地元中小業者が主人公となる循環型地域経済の実現をめざします。

・貧困ラインが下がっているもとで強行される生活扶助削減に反対し、国民が権利として使いやすい生活保護制度への抜本的改善を求めます。

〇労働法制改革反対、すべての労働者に人間としての尊厳あるくらしを

まともな人間らしいくらしの土台としての雇用を守ることは、国民共通の課題です。労働者の尊厳あるくらし、働き方の実現をめざします。そのため8時間働いて普通に暮らせる賃金・働くルールの確立――賃金・最賃大幅引き上げ、長時間労働是正、同一労働同一賃金などを要求します。「残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)」(高プロ)は、長時間労働、過労死の温床になる危険な制度であり、「働き方改革一括法案」の廃案を求めます。

〇教育・カジノ・大学軍事研究

・道徳の教科化、銃剣術の中学武道取り入れ、教育勅語の教材容認、「君が代・日の丸」の保育所・幼稚園への強制など教育の反動化に強く反対します。文科省による前川前文科事務次官の授業にかかわる教育介入を厳しく抗議し、真相究明し、謝罪と反省を求めます。教育内容と教育現場への干渉・介入に反対し、子どもの豊かな成長をめざし、教育と学校、教職員を支える共同をひろげましょう。

・詰め込みではなく公的保育所の増設による待機児童の解消、深刻な「子どもの貧困」を解決するために教育費無償化の前進、就学援助の拡充、「世界一高い」大学学費の引き下げと奨学金制度の改革などをすすめましょう。母子家庭、低所得家庭への多面的な援助の拡充を求めます。

・政府がカジノ実施法案を閣議決定し、押し通そうとしていることにつよく抗議し、反対します。ギャンブル依存症を深刻化させ、反社会的勢力の介入、マネーロンダリング、青少年への悪影響など弊害は明らかです。共同をひろげ、カジノ実施法を許さない世論を高めます。

・大学が予算削減・財政難で苦境に追い込まれているもとで、防衛省や米軍からの資金提供による軍事研究の動きがすすんでいます。大学の軍事研究に反対するとともに、政府・防衛省・米軍の介入をゆるさず、市民との共同もひろげ、大学の自治、学問の自由を守ります。

〇ジェンダー、性的マイノリティー

・安倍政治の「女性活躍」政策のもとで日本のジェンダー平等度は世界144カ国中114位に続けて後退、女性の生きにくさ、貧困がいっそうひろがっています。自立できる賃金や選択的夫婦別姓、家族従業者の人権を認めない所得税法第56条の廃止、女性の政治参加を阻む小選挙区制の廃止と議会への平等参加などを求めます。

・性的マイノリティーへの差別と偏見に反対し、権利を守ります。財務事務次官のセクハラ事件の徹底究明を求め、セクハラを許さない啓発と運動をすすめます。

(4)天皇の「代替わり」を憲法の原則にそって、国民合意で

来年、天皇の「退位」、皇太子の「即位」――天皇の「代替わり」がおこなわれます。関連儀式については、憲法の原則――国民主権と政教分離の原則を守っておこなわれることを要求します。そのため国会で議論を尽くし、できるかぎりの各党の合意をえて、国民の合意をえるように努力するべきです。

(5)辺野古新基地建設を許さず、沖縄県知事選で必ず勝利しよう

・政府は沖縄県民の民意を踏みにじり、辺野古新基地建設を強行しています。名護市長選は大変残念な結果でしたが、「辺野古に新しい基地はいらない」という民意は明確です。さまざまな複雑な条件は生まれていますが、建白書を守り、翁長知事を支えて、辺野古新基地建設を許さないというオール沖縄は揺らいでいません。工事に必須とされる設計変更の県知事承認が得られないことに加えて、活断層の存在、海底地盤の軟弱性の問題など基地建設に立ちはだかる根本的な問題も次々明らかになっています。

海兵隊オスプレイの名護市安部での墜落、伊江島、石垣での不時着をはじめ、小学校校庭や保育園の屋根への米軍機の部品落下、各地での不時着など米軍事故が多発しています。普天間第二小学校校庭への部品落下事故では、翁長知事はすべての米軍機の総点検とその間の飛行停止を求めましたが、米軍は事故原因も明らかにしないまま、飛行を再開させています。重大なのは、この米軍の横暴を政府が容認していることです。相次ぐ基地被害は、海兵隊基地の県内移設では危険はなくならないこと、普天間基地の即時撤去が必要であることを示しています。米軍基地の重圧、苦しみを断つためには、アメリカいいなりの政治を変えることが重要になっています。

・辺野古新基地建設を、日本の平和のためにも、民主主義のためにも、絶対に許してはなりません。沖縄のたたかいは、安倍政治、日米軍事同盟優先政治との対決のもっとも鋭い焦点です。オール沖縄の力と全国の連帯・支援を結集して、今秋の沖縄県知事選に必ず勝利しましょう。新しい局面での沖縄のたたかい、連帯・支援の大きな方向を打ち出す「6・3沖縄連帯のつどい」(主催:全国革新懇、沖縄革新懇、共催:安保破棄中央実行委員会、沖縄県統一連)に全国から代表を派遣するとともに、この取り組みと結びつけて全国各地で学習会、映画会、「連帯のつどい」など連帯・支援の輪をひろげましょう。

(6)北朝鮮の核・ミサイル問題の平和的解決へ

南北首脳会談が開かれ、米朝首脳会談が準備される歴史的チャンスを生かしましょう。朝鮮半島の非核化と平和体制の構築を一体的、段階的にすすめる、そのために日本政府が従来の制裁一本やり、軍事優先政策を根本的に転換し、平和的解決に貢献するように声をあげましょう。さらに日韓市民の連帯を強め、北東アジアの非核化、平和地帯の実現へ世論をひろげましょう。

(7)核兵器廃絶

日本政府が核兵器禁止条約に署名することを要求します。ヒロシマ・ナガサキの被爆者が、すべての国に核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことを呼びかける「ヒバクシャ国際署名」をすすめ、原水爆禁止世界大会の成功に取り組みましょう。

(8)地域で多彩な要求をすすめ、共同をひろげる

地域住民の切実な要求、関心事の実現のために力を尽くします。地域振興をはじめ、教育、医療・介護など共通する問題に取り組むため、市民団体との共同、革新懇間の交流もすすめましょう。自治体当局とも懇談をすすめましょう。同時に地域要求の障害となっている地方政治を変え、国政を変えてゆくことに努めます。

(9)「本気の共闘」を求め、参院選挙(国政選挙)の勝利のために全力をあげて取り組みましょう。

・新潟県知事選(5月24日告示、6月10日投開票)の勝利を「市民と野党の共闘」の力で実現しましょう。

・全国革新懇の国政選挙についてのふたつの基本的立場=①「市民と野党の共闘」を発展させ、政権構想を持ち、相互支援する「本気の共闘」による野党統一候補の擁立を追求し、公認候補であれ、無所属候補であれ、野党統一候補を勝利させる②「3つの共同目標」を支持、推進する政治勢力、「市民と野党の共闘」の発展に尽力する政治勢力を躍進させる――に基づいて、それぞれの条件に応じて積極的に取り組みましょう。

(10)安保廃棄の多数派、3つの共同目標の合意形成を

被爆国政府でありながら核兵器廃絶に踏み出せないのも、米軍の事件事故にもまともにアメリカにものをいえないのも、トランプ大統領いいなりに武器購入して防衛費を膨張させるのも、その根底に日本をアメリカの従属国家とする日米安保条約があります。この安保条約をなくすことを含めた「3つの共同目標」は、日本の政治を「国民が主人公」の政治にかえてゆく根本的な展望を示すものです。北朝鮮をめぐる問題が平和的解決に向け劇的に動きだすなら、日本をめぐる安全保障問題の状況も大きく変化し、安保廃棄の多数派の形成に接近する新しい条件を切り拓くでしょう。「市民と野党の共闘」の一致点を大切にしながら、安保廃棄の多数派の形成を追求してゆくことは、革新懇運動が担わなければならない歴史的な役割です。

2、革新懇の役割と組織づくり

(1)革新懇の役割 「市民と野党の共闘」を守り、発展させてゆく

≪三つの力とふたつの任務≫

革新懇運動は、「確固とした展望をもった統一戦線運動の推進力」としての役割の発揮が期待されています。革新懇の三つの力―①政策の力(「3つの共同目標」をかかげて、どんな問題でも、日本の将来についても政策的展望をもっています)②組織の力(団体、政党、個人が結集する大きな組織力をもっています)③草の根の力(地域革新懇をはじめ900をこえる大きな組織力、共同の力を草の根にもっています)は、「市民と野党の共闘」を支え、発展させてゆくうえでも、大きな役割を果たします。

革新懇運動は、①現実の国政の焦点をはじめ、各分野、地域要求の実現に全力を尽くしながら、一致する課題での共闘を守り、「市民と野党の共闘」を発展させるとともに、②さらに「3つの共同目標」の合意をひろげることを独自に追求することを、ふたつの任務としています。この「三つの力」を持ち、「ふたつの任務」を追求するからこそ革新懇が統一戦線運動の推進力の役割を担えるのです。

≪革新懇運動とは何か 賛同団体の役割≫

・革新懇運動をどうとらえるか、が重要です。革新懇運動を、全労連、新婦人、全商連、民医連、農民連、民青同盟など賛同団体、日本共産党、都道府県革新懇、地域・職場・青年革新懇、会員個人の運動の総体、全体としてとらえることが大切です。こうしてこそ、革新懇が国民のたたかいのなかで果たしている役割をしっかりつかむことができます。この見地は、革新懇が国民的共同を発展させ、安倍政治をおわらせ、戦争法廃止の政府、さらに「国民が主人公」の政府を実現する統一戦線運動を担うため大切になっています。

・賛同団体の役割として以下のような役割が期待されます。

①各団体が大きくなり、各分野で統一戦線を求める影響力を高める。

②一点共闘、「市民と野党の共闘」、野党共闘の選挙闘争のなかで積極的な役割を果たす。

③革新懇運動の意義を団体のなかにひろげ、構成員の革新懇運動への参加、事務局体制、財政、地域革新懇結成などに積極的に参加する。

(2)すべての自治体に革新懇をつくり、本気で「全国革新懇ニュース」5万部をめざそう

≪都道府県革新懇 事務室(局)体制の拡充 専任化の追求≫

革新懇運動を今日の情勢にふさわしく発展させてゆくうえで都道府県革新懇の果たす役割は重要です。都道府県の政治動向、地方政治分析、選挙闘争への参画、各分野の運動全体を視野に入れた議論と活動をすすめるとともに「市民と野党の共闘」の発展、地域・職場・青年革新懇の活動交流、賛同団体との懇談などを担います。「団体、政党、個人」が結集する革新懇の力が発揮できるように代表世話人会での充実した議論、事務室体制の拡充と事務室(局)長の専任化を追求しましょう。

秋の都道府県革新懇事務室(局)長学習交流会(第二回箱根会議)を重視し、成功させます。

≪地域に網の目のように革新懇を すべての自治体・行政区(さらに校区革新懇を)≫

地域こそ安倍政治と対決し、政治を変える主戦場です。地域の統一戦線運動のカナメ、架け橋として、「市民と野党の共闘」を支え、地域の要求を実現し、地域から政治を変える地域革新懇を1900余すべての自治体・行政区に網の目のように結成しましょう。さらに横浜市や香川・高松市などで取り組まれている校区革新懇など、いっそう地域に密着した革新懇つくりをすすめましょう。国政の焦点とともに地域の多彩な要求・関心事に応え、地域に根を張った豊かな多数派を形成しましょう。すすんだところでは、①事務室(局)長の専任化と事務室(局)体制の確立②会議の定例化③企画・行動(要求と関心事)の具体化④ニュース発行―が共通しています。

≪職場革新懇運動の可能性を追求し、活動をひろげ、引き継いでいきましょう≫

職場革新懇運動は、労働組合の違いを超え、非組合員も管理職も、正規も非正規も、現職も退職者も、誰でも参加できる、大きな可能性を秘めた分野です。

この間、安倍9条改憲阻止など政治課題では、東京の4職場革新懇(あいおい損保、西武鉄道、全日空、地下鉄)の数次にわたる合同街頭宣伝などが各地でとりくまれました。産業や行政機構のあり方をめぐっては、幅広い業界人との共同で損害保険代理店の権利保障へ行政を動かした大阪損保革新懇、交流を重ねながら行政への提言を続ける5府県(東京、神奈川、愛知、大阪、岡山)の国公革新懇などの活動が注目されました。

安倍「働き方改革」をストップさせ、労働者の尊厳ある働き方を実現するために、職場の実態を明らかにしながら働く人たちの共同を広げる職場革新懇の役割は、いよいよ大きくなっています。同時に、この運動を次の世代に引き継ぐ努力が欠かせません。

≪すべての都道府県に青年革新懇を≫

青年革新懇は現在、結成で25、準備会で4つの地域でつくられています。

昨年の総選挙では、神奈川青年革新懇が「憲法を守る候補者を応援する」声明を発表し、青年革新懇として選挙戦をたたかいました。選挙では、同じ神奈川県内で活動する青年革新懇UNIEQ(ユニーク)が、「安倍政権の働き方改革反対 立憲野党を応援する緊急街宣」を主催し、立憲民主党、民進党、共産党、社民党の候補者、国会議員が決意表明しました。

革新懇全国交流会の青年分科会では、市民と野党の共闘で総選挙をたたかってきた4人の青年パネラーがディスカッションをおこないました。「選挙戦で憲法を守りたいとがんばる仲間と出会えた、私たちの共闘の発展はこれから」、「若者が保守化しているのではなく、将来の不安から政治の現状維持を選択している。その不安に向き合い、私たちも対話力を身に付けることが大事」など、展望と教訓が語られました。

県革新懇の主催で、「青年革新懇全国交流会報告会」、「若者のつどい」などが開かれ、青年革新懇づくりを探求している地域もあります。すべての都道府県で、青年革新懇づくりを展望し、具体的な計画、準備に踏み出しましょう。

≪5万部の「全国革新懇ニュース」を(さしあたり数千部規模の前進を)≫

幅広い有識者と懇談・交流し、「市民と野党の共闘」を一貫して追求してきた「全国革新懇ニュース」は、革新懇運動を知っていただき、ひろげる最良のツールです。「全国革新懇ニュース」をさしあたり秋のたたかいにむけ数千規模での前進を勝ち取りましょう。

「『全国革新懇ニュース』購読よびかけリーフ」やニュースの購読の手引き「革新懇を結成されたみなさまへ」を活用しましょう。

「新しい市民運動」が生まれて以後の全国革新懇インタビュー記事を収録した『インタビュー集 時代を拓くあなたへ―』(全国革新懇編、新日本出版社)を普及しましょう。

≪全国交流会 ブロック会議≫

・全国革新懇は、地域・職場・青年革新懇全国交流会やブロック別の交流会、事務室長会議を開催し、また各地での自主的な交流(香川県革新懇と高知県革新懇の交流会)などを通じて、経験を交流し、学び合い、運動をすすめてきました。各地の条件に応じて、交流をすすめ、励まし合いながら革新懇運動を発展させましょう。

・2019年秋に神戸市で開催する地域・職場・青年革新懇全国交流会を成功させましょう。

≪情報発信、ホームページ≫

・FAXニュース、メール情報(ニュース)の転送・交流に努めます。

・全国革新懇のホームページを見やすく、使いやすくするために全面的にリニューアルし、フェイスブックとの連携もはかりました。デザインを一新し、古い記事を整理、ページを訪れた人に必要な情報を即座に引き出してもらえるようにしました。「全国革新懇とは?」と知りたいと思ったとき、一般的に拠り所とされるのはホームページです。リンクもひろげ、いっそう役立つホームページに改善し、革新懇の活動の一助となるように多くの情報を機敏に発信していきます。

私たちはいま、「市民と野党の共闘」が現実の政治を動かす、ワクワクとする歴史的な情勢で活動しています。長い間、苦しい時も乗り越えながらたたかいぬいてきた多くの人から、その喜びの声を聞きます。一貫して統一戦線運動をすすめてきた革新懇がいよいよその力を発揮するときです。多くの団体、市民の方がたと力を合わせて、国民が主人公の政治へ――さらに前へ、がんばりましょう。

 

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