全国革新懇が声明 「第217回通常国会の閉会にあたって ― 参院選で勝利し、動き始めた変化をさらに前にすすめよう ― 」

2025年6月23日

平和・民主・革新の日本をめざす全国の会 代表世話人会

 6月22日に、第217回通常国会が閉会した。この国会は、昨年秋の総選挙で政権与党が過半数を割りこみ、自民党、公明党だけでは予算も法案も成立しないという新しい政治情勢のもとで開かれた。

 そのことから、安倍政権以降より深刻になったアメリカ追従、大企業中心政治の転換に期待が高まっていた。また、自民党の議席後退の一因である「裏金問題」の徹底究明や、その温床である企業・団体献金の禁止、国連女性差別撤廃委員会から4度目の勧告を受けた選択的夫婦別姓の実現などの要求前進への期待も大きかった。さらに、異次元の金融緩和などの「アベノミクス」に起因する物価高や、食料自給率を顧みない輸入頼みの農政によって引き起こされた米価の急騰などからくらしを守る施策の具体化が求められていた。

 2025年予算案の審議が中心であった前半国会では、日本維新の会や国民民主党が窮地に陥っていた石破政権に助力し、年度内の成立が可能な時期に予算案が衆議院を通過した。日本維新の会は、教育費無償化と医療費4兆円削減などで与党と合意し、修正された25年度予算案に賛成した。国民民主党は、課税最低限度額の引き上げについては合意には至らなかったものの、総選挙公約を投げ捨てて企業・団体献金禁止に抵抗する自民党に「助け舟」を出す合意を3月末に行った。

 しかし、参議院段階での予算案審議の中で、高額療養費の負担上限額引き上げに対するがん患者団体や世論の反発もあって、25年8月からの引き上げを凍結する予算案の再修正が行われるという現憲法下では初の事態となり、変化した国会状況と世論が連携して与党に譲歩を迫る動きが現実化した。

 通常国会の後半では、「安保3文書」でも強調されていた「能動的サイバー攻撃防御法案」や、日本学術会議を政府のコントロール下に置き軍事研究を研究者に押し付ける「日本学術会議『法人化』法案」など戦争準備の法案が大きな争点となった。

 また、議員立法で企業・団体献金禁止法案、選択的夫婦別姓実現法案、ガソリン税暫定税率廃止法案などが提出されて審議が行われ、国会最終盤には「水俣病被害者救済新法案」が超党派の議連から提出された。物価対策をめぐって、消費税率引き下げとそれに伴う財源問題も大きな争点となった。

 大軍拡予算やそれと一体の戦争準備法案への対応では野党の足並みはそろわず、軍拡反対の立場での追及は一部の野党にとどまり、政府提出の法案が相次いで強行成立させられた。

 選択的夫婦別姓法案は約30年ぶりに国会審議が行われ、姓を個人の人格権と認めず、家父長的家制度に固執する勢力の主張の不合理性があらわになったが、提出法案の一本化ができず、参議院では政権与党が過半数を占めている国会状況もあって採決には至らなかった。また、市民の関心が高い「再審法改正法案」や「空襲被害者等救済法案」の論議は議連では進んだものの、自民党の一部や政府の反対で法案の取りまとめは行われなかった。

 政府提出の法案だけでなく野党協議や超党派議連の論議を経た法案が、国民の目に見える国会で審議される状況は、与党過半数割れの国会状況を如実に反映している。それらの法案の成立を含め、目前に迫った参院選で自民党、公明党を少数に追い込むことで、政治の変化をさらに前に進めることができることを確信できる国会状況であった。

 6月19日、立憲民主党と日本共産党の党首が、目前の参院選で市民連合の政策要望もふまえて、与党過半数割れをめざして連携することで一致した。「市民と野党の共闘」の新たな発展と「3つの共同目標」での共闘の前進で7月20日投票の参院選に勝利し、自民党政治にさよならを告げる流れを確かなものにしよう。

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