全国革新懇(声明) 政府追従の最高裁判決に抗議し、辺野古新基地建設反対を貫く玉城デニー沖縄県知事に連帯を表明する

2023年9月8日

平和・民主・革新の日本をめざす全国の会 代表世話人会

 沖縄県名護市辺野古での新基地建設に関し、防衛省沖縄防衛局がおこなった設計変更申請を不承認とした沖縄県知事に対して国土交通大臣が行った「是正指示」の取り消しを求めて沖縄県が提訴していた裁判で、9月4日、最高裁は上告棄却を言い渡した。

 判決は、住民投票や数度の県知事選挙などを通じて繰り返し示された辺野古新基地建設に反対する沖縄県民の民意を顧みず、沖縄県の不承認理由の当否も検討もせず、さらに沖縄防衛局の行政不服審査請求の適格性に関する争点についても判断を回避した。そして、公有水面埋め立ての許認可が法定受託事務であることをもって国の「是正指示」は適法だとして、沖縄県の上告を棄却した。このような最高裁の判断は、法定受託事務であっても住民利益の観点から認められるべき地方自治体の自主性や自立性をふまえない極めて不当なものであり、強く抗議する。

 沖縄県が防衛局の設計変更申請を不承認とした理由は、①設計変更が仮に承認されても地盤改良などに9年あまりかかるとされ、技術的にも前例のない工事のため9年でできるかも不確実で、「普天間飛行場の危険の早期除去」につながらない、②軟弱地盤の深さは最大で水面下90メートルに及んでいるのに、地盤改良は70メートルまでしか行わない。未改良部分での必要な調査がされておらず安全への懸念が払しょくできない、③ジュゴンなどの希少生物をはじめ環境への影響が甚大である、などの点であった。

 これらの点について、国土交通省(国)も最高裁もまともに検討しておらず、指摘の問題は何ら改善されていない。

 2017年4月の埋め立て着工から2021年度までに支出された税金は総額で4312億円に上り、軟弱地盤対策も口実に引き上げられた総工費9300億円の46.3%に達している。他方で、2022年度までの埋め立て土量は想定の14%にとどまり、更なる難工事が予想されるもとで、工事費がさらに膨らむことが容易に想定される。

 完成のめどさえつかない埋め立て工事を継続、続行することは、巨額の税金と貴重な資源を浪費して、かけがえのない自然を壊すだけの結果にもなりかねない。裁判の結果にかかわらず国は、埋め立て工事全体を再点検し、沖縄県との協議を尽くして基地負担の軽減を早期に実現することに力を注ぐよう求める。

 最高裁判決を受けて沖縄県は、①設計変更を承認するか、②承認を拒否するか、③新規の理由にもとづいて不承認・撤回をするかの態度決定をする義務を負うことになり、沖縄県の判断の余地は残されている。最高裁判決によって設計変更不承認の理由が解消された訳でも、辺野古新基地建設反対の沖縄県民の民意が揺らいだ訳でもない。

 玉城デニー沖縄県知事は最高裁判決を「地方公共団体の主体的な判断を無にするもの」と批判し、辺野古新基地建設反対の立場を維持する姿勢を示している。沖縄県民の民意を体現し、国の不条理と立ち向かう玉城デニー沖縄県知事への連帯を表明し、全国各地で玉城デニー知事を支え、励ます世論と運動を強めていただくよう訴える。

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