全国革新懇第42回総会「報告と提案」

2023年5月20日

【総会スローガン】

戦争の準備を許さず、憲法をいかす社会をめざし、共闘と統一戦線運動の前進、発展に奮闘しよう

 

はじめに(総会の開催目的)

(1) 安倍、菅、岸田政権と続く憲法をふみにじる政治が、くらしと生業の持続性を損ない、戦争する国への暴走を強めています。

 岸田政権が2022年12月16日に閣議決定した「安保関連3文書」は、違憲の戦争法(安保法制)を実行段階に引き上げ、日米軍事同盟をテコに日本をアメリカの覇権争いに融合させ、2023年度からの5年間だけで総額43兆円規模、単年度の軍事費を対GDP比2%相当に倍増させる大軍拡を推し進め、戦争の危機を高めるものです。長距離ミサイルなどの他国攻撃可能な武器を保有し、再び他国を攻めない、戦争する国にならないとの歯止めとなっていた「専守防衛」を投げ捨てたと言わなければなりません。

 大軍拡の一方で、アベノミクスの失敗にも起因する物価高騰に苦しむ市民、業者などへの対策には背を向け、社会保障の抑制、切り捨てを続けています。

 この政治の暴走を止める力は、憲法を守り平和のうちに人間らしくくらしたいと願う市民の運動以外にありません。全国革新懇の「3つの共同目標」の実現をめざす取り組みと不離一体で、「戦争する国づくり」を許さない市民運動を大きくするために、革新懇の知恵と力を寄せあいましょう。その決意を本総会で新たにしましょう。

(2) 2022年7月8日、安倍元首相が銃殺されるという事件が起きました。これを契機に、政治、とりわけ自民党と統一協会(世界平和統一家庭連合)との長年の癒着が表面化し、改憲項目や選択的夫婦別姓をはじめとするジェンダー平等の重要政策に宗教右派の影響が及んでいることが明らかになりました。

 また、「政治とカネ」の問題が次々に表面化して閣僚が相次いで辞任に追い込まれるなど、政治の腐敗、劣化も極まっています。

 このような事態が相次ぐ背景には、安倍政権以降の自民党の驕りと憲法無視の強権政治、政治の私物化があり、右派勢力の政治的な影響力の高まりがあります。

 原発に依存しない社会への歩みを反転させたGX(グリーントランスフォーメーション)基本方針の決定と法案提出、経済安全保障法の強行や日本学術会議改定法案の提出策動など科学技術への軍事的政策の押しつけと軍需産業の育成、LGBTQ差別解消法の国会提出の先送りなど、国民の願いとは逆方向の政治が続いています。

 安倍、菅、岸田政権と続く政治のゆがみ、積弊の是正は、民主主義を市民の手にとりもどすためにも急がれる課題です。

 くらしと営業を守り、基本的人権の実現に向けた切実な要求の一致点での共闘を様々な分野で前進させ、政治転換をめざす統一戦線運動につなぐ革新懇運動の役割を再確認しましょう。「市民と野党の共闘」の再構築を草の根からめざししょう。

 そのためにも、各革新懇と賛同団体の取り組みの教訓を総会で交流し、学びあいましょう。

Ⅰ 前回総会以降の取り組みの経過

1 第26回参議院選挙の取り組みと結果

(1) 2021年10月の総選挙時から強まった「市民と野党の共闘」への分断攻撃は、2022年2月のロシアのウクライナ侵略も契機に安全保障分野に焦点を置いた反共攻撃をともなって熾烈になりました。

 このことも影響して、2022年7月の参議院選挙での野党共闘は、政策面も含めて不十分で部分的なものにとどまりました。その結果、自民、公明の与党が引き続き過半数を維持し、日本維新の会、国民民主党など改憲を主張する勢力が衆議院、参議院ともに3分の2議席をこえる国会状況となりました。

 この結果を受けて岸田首相は、「日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化」、「同盟国との連携強化」を打ち出すとともに、敵基地攻撃能力の保有を中心目的に「年末までに新たな国家安全保障戦略などを策定」して、防衛力を5年以内に抜本的に強化することや、自衛隊の明記など4項目での改憲の早期実現にむけた論議をリードすることなどを表明し、「黄金の3年間」を手に入れた高揚感を隠しませんでした。

(2) 革新懇は、参議院選挙を「軍事大国化への暴走をストップし、憲法9条をはじめとする改憲を許さない正念場のたたかい」と位置づけ、「平和と民主主義、立憲主義の実現をめざす政治勢力の前進」のための奮闘を呼びかけました(代表世話人会アピール・「日本の命運をかけた参院選に勝利しよう」)。

 各革新懇でも、集会(北海道、東京・西東京、京都・西京、兵庫など)や街頭宣伝(埼玉・越谷、兵庫・中はりま(準)、福岡・博多区など)が取り組まれ、市民運動、市民連合の行動に結集した取り組み(埼玉、千葉、新潟、岡山など)が行われました。

 なお、全国革新懇は、参院選挙の結果をふまえて、代表世話人会談話(「厳しい結果を乗りこえ、平和とくらし、民主主義を守るたたかいを強めよう」)を出しました。

 

2 潮目を変えた安倍国葬反対の運動、露見した統一協会と政治の根深い癒着

(1) 岸田首相が、安倍元首相銃撃事件を政治的に利用するため、「国葬」実施をまともな議論もなしに決定したことで情勢が大きく動きました。

 特定の個人の葬儀を国が行い国民全体の弔意を強制することの憲法上の問題や、銃撃事件を契機に表面化した統一協会と政治、とりわけ安倍元首相など自民党議員との根深い癒着への市民の怒りが、説明責任を果たそうとしない岸田政権への批判と重なり、内閣支持率が急落しました。

 国葬実施の閣議決定直後から開始された「国葬中止を求めるネット署名」(4種類合計で約40万筆を9月5日に内閣府に提出し「チェンジメーカー・アワード2022」大賞を受賞)や、国会周辺などでの抗議デモが繰り返し行われ、全国各地でもデモ、集会、宣伝などが取り組まれました。

 これらの市民の行動が世論を動かし、9月に入るとすべての世論調査で「国葬反対」が過半数を超え、9月27日の「国葬」実施後の調査でも「国葬実施をよかったと『思わない』が54%」(読売新聞、10月1日~2日)となりました。

 9月以降はすべての調査で内閣支持率が落ち始め、不支持率が上回るという状況が年を変わっても続きました。「潮目が変わった」と言われる世論の変化がおきました。

(2) 全国革新懇は、代表世話人会の「談話」(「立憲主義をふみにじる「国葬儀」の閣議決定に反対し、撤回・中止をもとめる」)を出して態度を明確にしました。

 また9月14日には、「民主主義、立憲主義をむしばむ統一協会と政治のゆ着を暴く」と題したシンポジウムを開催し、問題の根深さをいち早く訴えました。

 各革新懇も、声明の発表、内閣総理大臣への送付(北海道、栃木、群馬、東京・立川、愛知、奈良、大阪、大阪・寝屋川など)、弔意の強制反対での自治体申し入れ(青森、福島、滋賀、山口など)、集会、宣伝行動(栃木・北那須革新懇、東京・府中、愛知・豊田、大分、秋田、宮城・多賀城、千葉・船橋、愛知・蒲郡、香川、長崎、熊本など)が取り組まれました。また、広島などでは「国葬」参加費用の自治体支出を違法とする提訴も行われています。

 大阪革新懇は「やめろ『国葬』・カジノ! 手をきれ統一協会!」の緊急シンポジウムを開催しています。さらに、統一協会問題での学習・講演会も各地(茨城、東京・東久留米、東京・足立、香川など)で開催され、地方議員に統一協会との関係を訪ねるアンケート(神奈川、愛知など)も取り組まれ、疑惑解明を求める議会請願(福井など)が行われました。

 

3 大軍拡と改憲への暴走を強める岸田政権

(1) 岸田政権は2022年末の12月16日、アメリカの軍事戦略に追従し、中国包囲を目的とする多国間の軍事連携の強化、他国攻撃可能な武器装備保有などを可能にする国家安全保障戦略等の「安保3文書」改定を閣議で決定しました。集団的自衛権行使を容認した2014年7月の閣議と比べても、開かれた論議の不十分さが際立ちました。なお、先立つ10月12日にはアメリカ・バイデン政権が、外交政策の基本方針などを盛り込んだ「国家安全保障戦略2022」を公表しています。

 閣議決定をふまえて提出された2023年度政府予算案は、総額が過去最高の114兆円余りで前年比8%増加し、その中でも軍事費が6兆8千億円余り、前年比26.3%増と突出しました。また、2022年度の剰余金などをかき集めた「防衛力強化資金」(4.6兆円)を別途設け、5年間43兆円の大軍拡財源を確保するとしています。その上で不足する軍事費財源(2024年度以降に措置するとしている増税(3.5兆円規模)と国債発行(1.6兆円規模))については、引き続きの政府での検討課題とされました。

(2) このような大軍拡予算、計画について、日本共産党を除く野党が「増税反対」は主張するものの軍拡は容認する姿勢を示し、日本維新の会は「安保3文書」は「踏み込みが足りない」と主張し、「(専守防衛での)必要最小限度」の制約の見直しや「核保有」論議まで持ち出す状況です。このこともあって、予算案の国会審議は極めて不十分で、軍拡予算の組み替え動議は日本共産党だけの提出となりました。

(3) 参議院選挙を受けた2022年秋の臨時国会では、統一協会問題や「国葬」強行問題が争点となり、「政治とカネ」の問題などでの閣僚の辞任が相次ぐ状況であったにもかかわらず、衆議院の憲法審査会は毎週開催されました。審査会では、改憲勢力が有事の際の衆議院議員の任期延長問題に焦点をあて、各党主張の「整理」が行われる状況となりました。

 このことも受けて2月の自民党大会で岸田首相は、改憲について「時代は憲法の早期改正を求めている」、「野党の力も借りながら、国会での議論を積極的に行う」とふみこみました。

 この課題でも日本維新の会は、スケジュールを明確にした改憲論議を主張し、自民党の一部や日本維新の会からは2024年通常国会での改憲発議の声も出始めています。

 しかし一方で憲法9条改憲をめぐっては、公明党が自民党案に反対の姿勢を示すなど、改憲を主張する勢力の足並みの乱れも見え始めています。

(4) 2023年1月23日に「大軍拡・大増税NO!連絡会」(「平和、いのち、くらしを壊す戦争準備の大軍拡・大増税NO!連絡会」)が結成され、国会請願署名などの取り組みが開始されました。署名は、総がかり行動実行委員会規模でも位置付けられ、節目での国会行動などが取り組まれました。

 全国革新懇は、1月の代表世話人会で「談話」(「平和、くらしを壊す『安保3文書』具体化はやめ、『平和の準備』を」)を確認し、国会請願署名などの取り組みを呼びかけました。

 各地でも宣伝行動や学習・講演会が旺盛に取り組まれています。県段階での「大軍拡・大増税NO!連絡会」の結成(千葉、山梨、広島など)、繰り返しのスタンディングや署名行動(岩手、東京・日野、神奈川・国公など)や、「安保3文書」の具体化の動きに対する取り組み(沖縄「ミサイル配備反対集会」、神奈川「磯子区・ノース・ドック部隊配備反対パレード」など)が行われています。

 

4 タガが外れたように悪政を連続強行する岸田政権

(1) 「安保3文書」に続き岸田内閣は、気候危機対策を口実に、原発の再稼働や建設後60年超過の稼働、新規の原発建設などを盛り込むGX(グリーントランスフォーメーション)基本方針も閣議で決定しました。原発に依存しない社会をめざすとしてきた政府方針の大転換も、市民の声を聴くこともなく進めました。

 デジタル化を口実に健康保険証を廃止してマイナンバーカード取得を事実上義務付ける健康保険法の改定、個人事業主などには事実上の消費税増税となるインボイス登録の強制もやめようとしません。

 学術会議会員の任命に事実上政府が関与する法改定は、国民と関係者の猛反対で今国会の提出を見送ったものの、その強硬姿勢は維持し、新型コロナの感染症法上の位置づけを総括や医療体制整備も行わないままに5類(インフルエンザ相当)に引き下げて対策費用を自己責任とするなど、強権化と公共性投げ捨ての姿勢をさらに強めています。

 また、コロナ感染対策を口実にした日銀引き受けの国債発行で財政を膨張させる「規律なき財政」状況のもとで、大軍拡のみならず、GX基本計画具体化でも、子育て支援でも安易な赤字国債依存の姿勢や、多額の予備費を確保して経済対策や軍事費に流用する「ルールなき財政運営」も岸田政権のもとでより強まってきました。

 このような暴走状況は、供給サイド偏重の経済政策に固執する自公政権の行き詰まりの表れとも言えます。

(2) ジェンダーギャップ指数が世界116位(2022年)と低迷する政治分野や賃金・昇格などの経済分野での男女格差の是正、選択的夫婦別姓制度の導入やLGBTQ差別禁止の法整備など、個人の尊厳を実現、前進させる人権課題への対応に、岸田政権は極めて冷淡です。同性婚の法制化に関する質問に対し、岸田首相は「社会が変わってしまう」とまで述べました。

 また、気候危機に関しても、2050年カーボンニュートラルは公言するものの、電源割合で31.8%を占める石炭火力からの撤退を明言せず、2020年以降15基の石炭火力発電所の稼働を具体化、予定するなど、温暖化ガス排出削減にも消極的です。

 さらに、原材料価格や円安による輸入価格の高騰のもとで経営難に陥っている酪農、畜産農家や中小零細事業者への有効な支援策も具体化せず、休廃業に追い込まれる事業者が続発しています。

 2023年5月のG7サミットを前に、日本を除く6カ国と欧州連合(EU)の駐日大使が連名で、LGBTQの人権を守る法整備を促す岸田文雄首相宛ての書簡が取りまとめられ、G7気候・エネルギー・環境大臣会合での「合意文書」取りまとめが日本の石炭火力発電依存姿勢で難航したことが明らかになっています。

(3) 以上のような暴走政治に反撃する様々な分野での共闘が、賛同団体や革新懇の奮闘で積み上げられてきています。

 気候危機問題での学習・講演会やアピール行動(神奈川・厚木、愛知、埼玉・越谷など)やマイナンバーカードの強制に反対する「ネット署名」も取り組まれました。感染症対策と医療の拡充を求めて民医連などが調査、行動をくりかえすとともに、大阪革新懇はシンポジウムを開催して共同を広げました。ジェンダー平等社会の実現をめざし学習講演会も各地(高知など)で開催されています。

 全商連は、インボイス制度の実施中止を求めるフリーランスなどとの共同の取り組みを広げました。農民連は、酪農、畜産農家の窮状を訴え、支援策の実施を迫る行動、集会をくり返し実施し、これまで手の届かなかった農民、事業者との共同も作り出しています。

 

5 沖縄県知事選挙の取り組みと結果

(1) 2022年9月11日投開票で沖縄県知事選挙がたたかわれ、二期目をめざした玉城デニー知事が339,767票(得票率・50.84%)の得票を獲得して勝利しました。同時に行われた那覇市での県議会議員補欠選挙でのオール沖縄勢力の勝利とあわせ、辺野古埋め立て、基地建設をごり押しする政府に痛打を与える結果となりました。

 全国革新懇は沖縄革新懇、安保破棄中央実行委員会、沖縄県統一連と共同し、現地支援や選挙カンパなどに取りくみ、選挙にむけたアピールを発出して全国支援を訴えました。

 コロナ感染が続くもとでの取り組みでしたが、各革新懇からの支援行動参加者は延べ24人、寄せられたカンパは全国から306万円となりました。

(2) 辺野古の埋め立て工事区域に軟弱地盤のあることを理由に、沖縄県が沖縄防衛の設計変更を不承認とし、これの是正と承認を求める国土交通省の「裁決」の取り消しを県が求めた2つの裁判で福岡高等裁判所那覇支部は2023年3月にいずれも県の訴えを退けたことから、沖縄県は最高裁に上告しました。住民投票でも示された沖縄県民の辺野古新基地建設反対の総意を踏みにじる国の強権的な対応が続いています。

 「安保3文書」で自衛隊増強、長距離ミサイル配備の方針が明記されたことを受け、2023年3月30日に沖縄県議会は、「『抑止力』向上ではなく、外交と対話による平和構築を求める意見書」を可決し、政府に送付しました。基地負担が過重に押しつけられ、米中対立の矢面に立たされる沖縄県民の危機感の表れです。

 

6 統一地方選挙の取り組み

(1) 4年に一度の統一地方選挙は、250自治体の首長選挙、787自治体議会で行われました。

 9つの道府県知事選挙では、「3つの共同目標」実現の立場から自民・公明、維新が推す候補と対決する候補での選挙戦が取り組まれました。大阪府知事選挙では、大阪革新懇と共同して統一行動を設定し、近畿各府県革新懇からの行動参加がありました。また、「市民と野党の共闘」型の選挙となった北海道知事選挙や、革新懇が無所属候補を推薦してたたかった神奈川県知事選挙などでも、共闘前進の立場で奮闘しました。

 19自治体中12市区村で「市民と野党の共闘」型選挙となっている東京をはじめ、区長・区議、市長村長、市町村議会議員選挙という身近な選挙に各革新懇が奮闘しました。

(2) 4月9日投票で、9道府県知事選、41道府県議会選、6政令市長選、17政令議会選がたたかわれました。ダブル選挙となった大阪府知事、大阪市長選挙及び奈良県知事選挙で日本維新の会の候補が勝利し、野党共闘でたたかった北海道知事選挙では勝利することが出来ませんでした。

 道府県議会議員選では、自民党が改選前議席からは減らし大阪府・市で後退したものの24県で過半数を占め、公明党も微増となりました。日本維新の会は、大阪府・市議会で過半数を占めるとともに、13道県で新たに議席を獲得するなど議席を倍増させました。立憲民主党は北海道などで改選前議席を確保できず、日本共産党も議席を後退させ空白県が増えるという厳しい結果になりました。政令市議会議員選でも政党別では同傾向の結果となりました。

 9知事選挙の投票率は46%、道府県議会議員選も41%と過去最低を記録し、道府県議会での女性議員が前回(2019年)から79人増の316人となったものの、全議員比・14%と低い水準にとどまりました。

(3)4月23日投票でたたかわれた後半戦では、東京区議選挙で自民党、公明党、共産党が議席を後退させ、日本維新の会やれいわ、参政党などが議席を伸ばし、多党化の結果となりました。また、市議会議員選挙でも、日本維新の会が議席を増やし、公明党、共産党、社民党などが後退させる結果となりました。

 市議会議員選の当選者の2割を女性議員が占め、市長選や区長選でも女性首長が一定数誕生するなどの変化が生まれています。東京都杉並区、武蔵野市では、投票率が2から4P上昇し、女性議員が過半数を占め、自民党候補が多数落選しました。

 統一地方選挙全体を通じ、「堅調な結果」(自民党・茂木幹事長)、「(次期衆議院選挙にむけ)全選挙区に候補者擁立」(日本維新の会・馬場代表)、「期待に応える結果を出すことができず、悔しくて残念」(日本共産党・常任幹部会)などと各政党が総括しています。

(4) 23日投開票でたたかわれた国政補選(衆議院・千葉5区、和歌山1区、山口2区、4区、参議院・大分選挙区)では、衆議院山口2区、4区、参議院・大分選挙区で、自公政治の転換をめざす共闘が成立し、市民連合規模の取り組みも行われました。一方で、千葉5区では野党候補が乱立する状況となりました。

 選挙結果は、自民党が4勝(衆議院千葉5区、山口2区、4区、参議院・大分選挙区)し、日本維新の会が1勝(和歌山1区)となりました。参議院・大分選挙区では票差が300票差、衆議院山口2区では5000票差で共闘候補が敗れる結果となり、岸田政権への批判の高さを示す一方で、「本気の共闘」と「市民と野党の共闘」の力量アップの必要性を示す結果となりました。

 

7 全国交流会の開催

 2021年秋の総選挙や新型コロナウイルス感染拡大の影響から3年ぶりとなった「地域・職場・青年革新懇全国交流会in東京」を2022年11月19日、20日に開催し、32都道府県・345人(二日間のトータル)が参加しました。

 全体集会では、市民連合と全国市民アクションから来賓あいさつを受け、3人のミニ講演、12革新懇からの特別報告をおこないました。これらを受け、8分散会と3分科会(職場、青年、共闘)での論議をおこないました。

 これまでの全国交流会よりも少ない参加者でしたが討論は深まり、「市民と野党の共闘」で果たしている革新懇の役割や、直面する情勢のもとでの運動の方向を確認し合う集会となりました。

 なお、参加者からは「ブロック版交流会」開催の要望が出されました。

 

8 青年企画での取り組み

 2022年9月5日に、青年企画シンポジウム「要求と運動、これからを語り合おう」を開催しました。賛同団体だけでなく市民運動からの参加も得て開催し、相互理解を深め若者の交流の場の必要を共有しあいました。会場・YouTube視聴をあわせ55人が参加し、「革新懇がまさかこんなに若い人を呼んで運動交流の場をつくれるとは」との感想も寄せられました。その後、青年が語り合う企画は、新潟県でも開催されました。

 シンポジウムでの交流を引き継ぎ、2023年2月25日には、「反戦行進0225」(東京・渋谷)を共催し、大軍拡反対の取り組みとして成功させました。出発時点で750人であったデモ隊列が終着地では1000人に達し、沿道からの参加者の多い行動となりました。

 

9 革新懇づくりの経過と到達点 

(1) 革新懇の新規結成、再開など

 昨年5月以降の革新懇の新規結成は2革新懇です。2022年5月8日に神戸市の保育士が「神戸のよりよい保育をめざす会(保育革新懇)」を「労働条件を改善するには社会・政治を変える必要がある」との思いでつながり合い、結成しました。

 11月20日には、大阪府交野市で「交野青年革新懇」が結成されました。コロナ禍で結成が伸び伸びになりましたが、地域の要求運動に正面から取り組み、地域革新懇とも連携して活動しています。

 2022年7月18日、10年あまり休止していいた長崎県革新懇が取り組みを再開し、石木ダム建設反対や諫早湾排水門の開門、カジノ区域認定中止など地域課題での取り組みを強めています。

 8月27日には、茨城・水戸革新懇が再開しました。3回の準備会を開き、県都での革新懇の役割発揮をめざして再スタートしました。

 熊本県・八代革新懇は再建に向けて講演とつどいを開き、総会にむけた準備を始めました。
兵庫県・中はりま革新懇準備会は2023年9月の結成総会を予定し、今年に入って25人(4月6日時点)の「全国革新懇ニュース」読者を広げています。

(2) 「全国革新懇ニュース」の現状等

 インタビュー記事をはじめ、毎号多彩な方々に登場いただく「全国革新懇ニュース」には、この1年、エッセイストの小島慶子さん、キャスターでジャーナリストの安藤優子さん、評論家の荻上チキさん、学習院大学大学院教授の青井未帆さん、法政大学前総長の田中優子さん、経済学者の大島賢一さん、日本女医会会長の前田佳子さん、社会学者の上野千鶴子さんなどに登場いただき、それぞれの分野からの発言、提言をいただきました。また、代表世話人にも時々の情勢に見合った提言、寄稿をいただきました。

 このような特徴をいかした購読者拡大をと、2022年3月に作成した「購読申し込みリーフレット」も活用してきました。

 しかし2023年5月15日時点で、2022年5月21日からの増紙は390部、減紙が1001部となり611部の減になりました。

 この1年間の状況を他の年と比較すると、2016年~2019年の4年間との比較では増紙数は520部のマイナス、減紙数が350部のプラスです。2021年と比較しても、増紙がマイナス74部、減紙が237部増です。新型コロナウイルス拡大の影響を考慮しても、減紙が「加速度」的に増加し、増紙(拡大)の取り組みが停滞しています。

 減紙の要因としては、高齢化や病気、死亡の増加、職場革新懇の解散、賛同団体の地方組織での購読中止などで、増紙の困難さはコロナウイルス感染の長期化も影響していますが、より基本的には運動の停滞が結果に反映している状況です。

(3) SNSの活用・拡充、宣伝物と出版物の発行

 2022年5月の全国革新懇第41回総会は、会場参加とオンライン併用で開催しました。オンラインで130人・会場が視聴し、オンラインでの発言もありました。

 オンラインでの都道府県革新懇事務室(局)長会議は、参院選に向けた動き取り組みの交流を6月に開催し、8月には参院選結果を踏まえた秋のたたかいを論議しました。

 11月に開催した「地域・職場・青年革新懇全国交流会in東京」の全体会動画は699回の視聴がありました。2023年2月に開催したシンポジウム、「戦争準備の大軍拡はやめろ! 平和をつくりくらしを守る政治へ!」の配信動画の視聴は2490回を数えています。

 オンラインでの情報発信、交流が定着してきました。

 岡山革新懇も参加する「おかやまいっぽん」は、参院選への関心を高め、投票する人を増やそうと6月にオンラインで「選挙公報を読む会」を開きました。大阪革新懇と東大阪革新懇が1月に共催したシンポジウム「今、問われる政治の役割in大阪」はYouTubeで同時配信しました。

(4) 宣伝資材、出版物の発行

 「全国革新懇第41回総会記録集」は2022年6月に発行し、1731部普及しました。「地域・職場・青年革新懇全国交流会in東京記録集」は23年1月に発行し、1638部普及しました。

 福島では4団体(福島県革新懇、福島自治体問題研究所、ふくしま復興共同センター、福島県学習協会)が共同して、原発問題連続学習会のブックレットを発行しました。山梨革新懇は「山梨革新懇結成40周年 1980年~2020年のあゆみ」を発行しました。

 自由と自治・進歩と革新をめざす堺市民の会(堺市民懇)は、会の紹介と入会をすすめるパンフレットを作成しました。

 「大軍拡・大増税反対」の声を広げようと、革新・愛知の会は横断幕を、東京革新懇はタグとシールを作製しました。

 

 

Ⅱ 情勢の特徴

1 運動と関連する国際情勢

(1) 2022年2月に国際法や国連憲章に反して開始されたロシアのウクライナ侵略戦争は、1年を経過しても収まらず、長期化の様相を呈しています。

 この間、国連総会、国連人権委員会などで、即時停戦やロシア軍の撤退を求める決議が5回行われましたが、いずれも中国などが反対する状況が続いています。アメリカやNATO各国は、武器供与などでのウクライナ支援を強め、ロシアと対抗しています。

 2022年5月には北欧のフィンランドとスウェーデンがNATOへの加盟を申請し、フィンランドは2023年4月4日に正式加盟しました。

 対中国との関係でも、2021年9月に発足したAukus(オーストラリア、イギリス、アメリカの軍事同盟)と日本が提唱したとされるQuad(クアッド、日米豪印戦略対話)、日米、韓米の軍事同盟が相互に連携を強めながら、「自由で開かれたインド・太平洋」を口実にした「軍事ブロック化」の動きを強めています。岸田首相は、2022年6月29日のNATO首脳会議に出席し、軍事的連携の強化をアピールしました。

 一方で、2023年3月21日には中国とロシアの首脳会談が開かれ、両国の連携を強めています。

 1991年のソビエト崩壊後、アメリカの一国覇権主義のもとにあった国際社会は、ヨーロッパでの軍事的緊張の高まり、世界的規模での中国とアメリカが覇権を争う時代に移り、「新たな冷戦」(ポスト冷戦)が指摘される事態です。その情勢のもとでの国際社会との向き合い方が改めて問われていますが、岸田政権はアメリカ追従一辺倒の外交姿勢に終始しています。

(2) 新型コロナウイルス感染拡大で収縮していた経済の復興に、ロシアのウクライナ侵略も契機としたエネルギー、原材料価格の高騰が重なり、欧米各国はいずれも急激な物価高騰、インフレに直面しました。このインフレ鎮静化のために、アメリカ・FRBなど各国の中央銀行が相次いで政策金利を引き上げ、一人日本銀行だけが金融緩和策を維持する状況になっています。

 急激な金利上昇によって、アメリカやスイスなどで銀行が破綻し、金融不安が広がる一方で、円安が常態化しはじめています。コロナ対策を口実に行われた財政と金融の緩和で生じた金余り状態が反転し、基軸通貨のドル不足が市場で起きる懸念など経済不安が高まっています。これらの国際状況が、外需頼みの日本経済に及ぼす負の影響が懸念される状況です。

 政府が公表した2022年の貿易収支(輸出額から輸入額を引いた額)は19兆9718億円の赤字で、比較可能な1979年以降で最大となり、円安の国内経済への悪影響が顕在化してきました。

(3) 3月16日に、12年ぶりとなる日韓首脳会談が東京で行われました。会談は、元徴用工への賠償を日本企業に求めた2018年の韓国大法院判決をめぐる韓国側の新しい動きもふまえて行われ、岸田首相が韓国の財団が肩代わりするとした「解決策」を評価し、「シャトル外交」再開で合意しました。

 しかし、植民地支配の問題などをめぐり、岸田首相は1998年10月の日韓共同宣言を確認したにとどめ、自らの言葉での謝罪もなく、韓国国内からの強い反発を受けています。

 「現下の戦略環境の中で、日韓関係の強化は急務」と表明したように、「日米韓の安全保障協力の推進」が狙いの首脳会談であり、経済安全保障に関する日韓の協議体を立ち上げることでも合意しています。このような軍事的な思惑での日韓関係「改善」の脆さが懸念されます。

(4) 2022年年末以降、自民党議員の台湾訪問が相次ぎました。「台湾有事は日本有事」と述べた安倍元首相の路線の継承をアピールすることが目的と指摘される危険な動きです。

 2022年9月29日は日中国交回復50年目の日でしたが、日中関係が冷え込んでいるもとで相互の友好を促進する新たな動きはほとんどありませんでした。軍事的対立のみが前面に押し出される状況です。このような中で、日本経団連が記念レセプションを開催し、日本貿易の4分の1を占める中国との経済関係の「新たな構築」を呼びかけたことは注目されます。

 また、2023年3月30日、日本共産党は政府に、日中両国の間にさまざまな緊張や対立を外交努力によって平和と友好の関係を確かなものにするよう求める提言を申し入れました。

 

2 「安保3文書」の決定、軍拡予算の成立で加速する「軍事優先」の政治

(1) 2022年12月16日に政府が決定した「安保3文書」は、「専守防衛」にかかわる過去の政府答弁を一内閣の閣議決定で変更するものです。しかし、岸田首相は「(「安保3文書」は)憲法、国際法の枠内」、「専守防衛の政府答弁を変えるものではない」などと強弁し、ウソとごまかしを繰り返しています。

 2021年4月のバイデン・菅会談を契機に、敵基地攻撃能力の保有やGDP比2%相当の軍事費確保に向けた動きを日本政府が強めたように、アメリカの世界戦略、とりわけ対中国戦略に日本が深く組み込まれていくことは明らかです。

 そのことは、2023年1月の日米首脳会談や「日米2+2合意」でも示されており、特にアメリカの統合防空ミサイル防衛(IAMD)の一翼に日本のミサイルシステムが組み込まれ、日本が攻撃されていなくても他国を攻撃せざるを得なくなる「仕組み」が作られようとしていることは極めて重大です。

(2) 「防衛3文書」の決定を受け、その具体化がはじまり、加速しています。沖縄県名護市・辺野古沖への新基地建設や、鹿児島県・馬毛島へのFLCP(米空母艦載機陸上離発着訓練)などの施設建設はもとより、南西諸島の島々への自衛隊配備とミサイル配備が進められています。3月16日には、駐屯が始まった石垣島に弾薬等が搬入され、市民の反発を買いました。

 また、全国各地にミサイル保管用の弾薬庫の建設や、全国の自衛隊施設を核兵器攻撃にも耐えられる構造とする「強靭化」計画、地下施設建設なども具体化されはじめています。

 さらに、陸海空3自衛隊を統合する統合本部の設置、米太平洋軍の指揮命令権の在日米軍横田基地への移譲、横浜ノース・ドックへの米軍小型揚陸艇部隊の配置、沖縄海兵隊の「離島対応部隊」への再編など、対中国との「戦争」、「台湾有事」を想定した動きを日米ともに表面化させています。

 日米の軍事訓練も過熱し、鹿児島県・徳之島での離島奪還訓練に日米の揚陸艦などが参加し、合同訓練を行いました。その訓練に参加した米軍艦船が、大阪港に寄港し、広島湾で自衛隊と合同訓練を行うなど訓練の全国化、民間施設利用も公然化しています。

 また、沖縄県が住民避難の机上訓練を実施したように、くらしにも戦争の影が忍び寄っています。戦時態勢づくりといえる「有事の日常化」への警戒と批判を強める必要性は言うまでもありません。

(3) 6兆8000億円余りの軍事費を盛り込んだ2023年度予算が成立し、4兆円規模の「防衛力整備基金」創設の法案や自衛隊法改定法案は国会に提出されました。しかし、それで5年間43兆円の軍事費などが確保できたわけではありません。

 単年度1兆円規模の増税や、建設国債の発行などはこれからの議論です。何よりも、長期にわたって年間10兆円を超える軍事費を確保し続けることで生じる他の予算、とりわけ社会保障費や教育費などの抑制に国民的な合意が成立しているわけではありません。

 世論調査では、43兆円もの税金を軍事費に使うことに、「賛成41%、反対50%」となっており、軍事費確保のためも1兆円規模の増税には68%が反対しています(いずれも4月朝日新聞世論調査)。他の世論調査でも軍拡への懸念は高まっています。すでに1000兆円を大きく超え、GDPの2倍を超える規模に達している国債に軍事費財源を頼ることの無謀さも言うまでもありません。大軍拡路線の変更を迫る条件はここに存在し、大軍拡の財源問題は政治の選択に関わる重要な争点となり続ける状況です。

(4) 政府が行った「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」では、自衛隊に関心がある理由として最も多かったのは「大規模災害など各種事態への対応」(53.1%)で「日本の平和と独立を守っている組織だから」(28.9%)を大きく引き離し、市民の世論と「防衛3文書」とはかい離しています。また、2021年3月末時点で自衛隊には1万4645人の欠員があり、新規装備の導入による定員不足の深刻さも指摘され、少子化が進行するもとで軍拡の人的制約が早晩顕在化しかねない状況です。

 また、「安保関連3文書」後の自衛隊は、憲法が否定する「戦力」そのものとも言え、その自衛隊を憲法上明記する改憲の危険性は従来以上のもので、この点での矛盾の深刻化も避けられません。

 一部には、軍事産業の育成を経済政策として軍拡を歓迎する声もありますが、技術の蓄積もなく、すそ野が限られ汎用性の低い軍事産業に、日本経済をけん引する力などないことは明らかです。

 自民党と公明党は、「殺傷能力のある武器の輸出」解禁に向けた協議を開始し、同士国の軍隊の装備品を支援する新たな枠組み(OSA・政府安全保障能力強化支援)が2023年4月から始動するなど平和国家の看板を自ら投げ捨てようとしています。

(5) 「安保3文書」は、武力対武力の抑止力を強調するものの、紛争の未然の防止や対話と外交による紛争の解決という「平和の準備」に全く触れず、偏っています。この点でも、憲法の理念をないがしろにしています。

 食料自給率が4割を切り、エネルギー自給率も1割という現状は、日本が戦争当時者となり経済制裁の対象になることの危険性を端的に示しています。

 戦争を選択した戦前の失敗を繰り返さず、「戦争させない」確かな世論を作り出す取り組みが求められる情勢です。戦争の準備を進めることの危険性や非現実性を事実と道理に即して繰り返し訴え、憲法をいかした「平和の準備」や東アジアでの「平和の枠組み」づくりを、の世論と運動を草の根から積み上げていくことが求められています。

 

 

3 コロナ禍で露見した格差と貧困、国内産業の疲弊への対策のない岸田政権

(1) WHOのコロナパンデミック宣言から3年が経過し、2023年5月5日には「国際公衆衛生上の緊急事態」の収量をWHOが宣言しました。

 2023年3月までの世界の累計感染者数は7億5940万人を超え、死者は686万6400人余りにのぼっています(データを提供していたアメリカのジョンズ・ホプキンス大学は3月10日で停止)。国内では、感染法上の位置づけが変更された5月8日時点で、3381万9138人が感染し、死者も7万4715人に達しています。

 日本では、2022年までにコロナ感染対策に77兆円の税金が使われました。世界では、2021年11月の段階で1900兆円をこえていました。そのような巨額な歳出が、感染対策や疲弊した経済を底支えした面と同時に、富裕層の資産蓄積を急増させました。

 世界上位1%の富裕層が過去2年間で新たに獲得した資産は、残る99%が獲得した資産のほぼ2倍に上ることを、国際NGOのオックスファムが発表しています。日本でも、ジニ係数の拡大や、低所得層、とりわけ一人親世帯の貧困化や、教育格差の拡大などが指摘されています。100万ドル以上の投資可能な資産を有する「富裕層人口」で、東京は世界第2位であることをイギリスのコンサルタント会社が指摘する状況もあります。

 格差拡大が顕在化した時に、原材料価格が高騰し、食糧危機が広がり、コロナパンデミックでの「ワクチン格差」に加えた貧困や失業の深刻化が、途上国での政治不安や紛争に転嫁する危険を高めています。

 コロナパンデミックが宣言されたときに意識された新自由主義の行き過ぎは、国内外ともに、3年経っても是正の方向に動いてはいません。

(2) 自民党は、統一地方選挙を前に、給食費無償化や児童手当の所得制限撤廃などを言い出し、少子化対策の財源を社会保険料引き上げでまかなうとも言い出しました。選挙目当てのばら撒き政策と自己責任を強要する政策が混在する動きです。

 見過ごせないことは、少子化対策も口実に出産や故郷へのUターンを奨学金免除事由とすることや、児童手当所得制限撤廃より新婚世帯への住居支援の主張が出始めていることです。個人の基本的人権実現のための公的責任の履行や、子どもの育成や教育は社会的責任とする理念を否定し、家族主義を押し付けようとする宗教右派の主張と新自由主義の自己責任論がないまぜになった政策を維持、強化する動きです。

 このような自民党の頑迷な政策姿勢が、格差の世襲や教育の格差、雇用の格差を固定化し、非婚率を高め、社会の持続可能性を損なうまでの事態となっていますが、そのことへの反省は岸田政権にはありません。

 個人の尊厳を基礎に多様性ある社会を実現するとともに、憲法25条なども手掛かりに公的責任の再確認、公共サービスの再生をめざす取り組みを表裏一体で進めることは、新自由主義との決別に向かう取り組みの課題です。

(3) 物価急騰のもとで、政府のみならず日本経団連も持続的な賃上げ、ベースアップを言わざるを得なくなり、大企業正社員を中心に2023年春闘では久方ぶりの賃上げ回答が報じられています。

 しかし、中小零細企業の労働者や非正規雇用労働者、公的な対策が必要なケア労働者の賃上げは置きざりにされたままです。

 国民春闘共闘委員会の集計(4月20日、第5回)では、944組合への回答で加重平均6456円(2.42%)の回答引き出しで、前年を377円(0.34P)上回っています。また、非正規雇用労働者への回答では、時給30.8円で前年を7.6円上回っています。

 労働者、労働組合は賃上げ改善を求めて奮闘していますが、物価の上昇が続く中、2023年2月の実質賃金は前年比で2.6%減少し、11か月連続のマイナスとなっている現状からすれば、なお不十分な到達点です。

 先進国で唯一低下し続ける日本の実質賃金を変転させ、物価上昇を上回る賃上げ、低賃金構造解消は国民的な運動課題です。

(4) 岸田首相が掲げる新しい資本主義は、預貯金を投資に誘い込む「資産倍増プラン」を人への投資の柱とし、AIなどの特定科学技術の振興を国家戦略と位置づけ、脱炭素社会の名目で150兆円規模の投資とその呼び水として国債発行を行い、武器輸出をも産業政策に位置づける内容です。

 当初掲げた資産課税強化などの「富の再配分」施策は消え去り、企業の儲け先確保の成長戦略や、雇用流動化などの企業のコストカットを後押しする内容が並んでいます。経済政策でも安倍政権の悪政を引き継いでいることは明らかです。

 グローバル化のもとで、所得低下と雇用破壊による内需の縮小、産業空洞化と国内投資の停滞、農業など第一次産業の疲弊、中小企業と大企業の格差の拡大など、停滞する経済の改善は「新しい資本主義」には期待できません。

 最低賃金1500円の実現や消費税率引き下げなど、一人一人の懐に届き、内需を拡大する政策を実現する政治への転換を求める共同の取り組みの発展が求められています。

 

4 「市民と野党の共闘」の状況と再活性化をめざして

(1) 4月の統一地方選挙でも、「市民と野党の共闘」型の首長選挙のたたかいが、北海道知事選挙や東京のいくつかの区長選挙で取り組まれ、「オール与党」政治、維新政治の転換をめざすたたかいも行われました。市民参加で政治の転換をめざして地方、地域でも粘り強く取り組まれています。

 また、4月23日に実施された衆参両院の補欠選挙(衆議院4選挙区、参議院1選挙区)では、参議院・大分選挙区補選、衆議院・山口2区、4区補選で共闘選挙が取り組まれました。岸田政権の暴走政治にストップをかけ、戦争準備の政治を許さないとの一致点を確認して野党の共闘を求める市民の運動は続いており、努力が積み上げられ、共闘の新たな構築が追求されています。

(2) 岸田政権が進める「戦争する国づくり」や敵基地攻撃能力の保持、整備や原発政策、憲法審査会への対応などでの国会内での野党の共闘は必ずしも順調ではありません。それらの課題での市民運動の高揚が求められています。

 市民連合は、通常国会にあたって「憲法・専守防衛を基本とし、敵基地攻撃能力保有を認めず、防衛費の拡大と 防衛増税に反対すること」など14項目の要請書を野党各党に提出し、野党共闘の再生を求めました。また、地方・地域段階での市民連合による街頭宣伝や国政報告会、懇談会の開催などの努力は積み重ねられています。さらに、結成の原点もふまえた「現況における安全保障政策についての市民連合の基本的な考え方」の論議も開始しています。また、統一地方選挙の結果もふまえ、「小選挙区制で勝負を制するには、野党共闘は十分条件でないにしても必要条件」との立場から「市民と立憲野党の共闘を、説得力と訴求力のあるかたちでつく」る努力を呼びかける声明を出しています。

(3) 岸田政権の支持率が不支持を下回る状況が昨年秋以降続いてきました。個別の政策課題の多くが、世論の批判を浴びています。にもかかわらず、野党への期待が高まらず、自民党支持も低下せず、市民の「あきらめ感」すら指摘される状況です。

 この状況を打破するためにも、世論を動かす運動が必要です。その点での、最もの課題は、戦争準備のための大軍拡・大増税を許さない運動と世論を草の根から高めていくことです。  

 再び戦争をしない、この国のかたちを変えさせない、アメリカと一体での他国攻撃には加わらない、との世論づくりは、改憲策動をはね返すたたかいと一体のものです。

 「市民と野党の共闘」の経緯からしても、戦争準備につき進む政治との対決点を明確にし、その点での要求、政策の一致点での運動を全国・草の根に広げ、世論を高めることが共闘分断の攻撃をはね返す力となる情勢です。

 

Ⅲ 今後1年間の取り組みと課題

1 取り組みの基本方向

(1) 革新懇は、「3つの共同目標(①経済の国民本位への転換、②憲法をいかした自由、人権、民主主義の発展、③日米安保条約の廃棄)」をめざすともに、一致する要求課題での共同を追求し、社会の進歩のために力をつくしてきました。

 戦争か平和かの岐路に立ち、くらしと経済がかつてない困難に直面している今、アメリカへの従属と大企業の利益を優先する政治からの転換は、切実な要求実現の課題です。

「3つの共同目標」を正面に掲げ、いのちとくらしを守る共同の取り組みのなかで、革新懇としての役割発揮を重視します。

(2) 賛同団体、各地の革新懇と連携し、切実な要求課題での共闘の前進、発展と、「要求と政治をつなぐ取り組み」の前進をめざします。

 都道府県革新懇の活動交流や情勢等の共有化を図るため、適宜の時期にオンライン活用も含め、事務室(局)長会議や賛同団体会議を開催します。

 また、ブロック別の運動交流会の開催を検討します。

 情勢に応じた課題ごとの講演会、シンポジウムなどを適宜開催します。

 

2 国政選挙での取り組み

(1) 「戦争する国づくり」への暴走を食い止めるため、「市民と野党の共闘」の再構築を追求し、悪政推進の改憲翼賛体制を阻止するために奮闘します。

(2) 選挙区割りの変更もふまえた小選挙区単位での「市民連合」結成、再編をめざし、その活動を支えるため共闘の一翼を担って奮闘します。

(3) 市民と野党の統一候補が実現した選挙区ではその候補者の勝利をめざします。同時に、「3つの共同目標」を支持する政治勢力の躍進にむけた取り組みを強めます。

(4) 地方自治体の首長選挙での「市民と野党の共闘」前進の経験にも学び、都道府県革新懇、地域革新懇とともに首長選挙での野党共闘の実現に挑戦し、統一戦線運動を地域、草の根から広げます。

 

3 革新懇の要求とめざす社会

(1) 憲法をまもり、いかす立憲主義を取り戻し、自由と人権、民主主義の発展をめざします。

 軍拡予算確保のための「財源確保法案」に反対し、安保法制(戦争法)、秘密保護法、共謀罪、土地利用規制法などの憲法違反の法律の廃止、集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回、「安保3文書」の撤回を求めます。

 「森友問題」「加計問題」「桜を見る会」の問題など、一連の国政私物化疑惑の徹底的究明、内閣人事局の廃止、日本学術会議の任命拒否の撤回を求め、日本学術会議法改悪に反対し、強権政治からの転換をめざします。

 憲法9条改憲を阻止し、改憲発議につながる一切の動きに反対します。

(2) 国連憲章、国際法に反するロシアの侵略戦争の中止、ウクライナからの撤退を求めます。国連憲章にもとづく国際平和秩序の構築、東アジアの平和協力の枠組みづくりを追求します。

(3) 対米従属の軍事同盟から抜け出し、自主・自立の平和外交への転換を求めます。

 沖縄県民の民意に背く辺野古新基地建設の中止、普天間基地の無条件返還を求め、馬毛島への基地建設、南西諸島などへのミサイル配備に反対します。

 日米地位協定の抜本的改正を要求します。米軍への「思いやり予算」の中止、高額で他国攻撃可能な武器の「爆買い」と大軍拡、大増税に反対します。

 核兵器禁止条約の早急な署名・批准を求めます。

  •  新自由主義から転換を求め、くらしをまもる政治をめざします。

 政府の責任による医療・介護・障害者福祉・保育などケアワークの人びとの待遇改善を求めます。社会保障削減・抑制をやめさせ、拡充への抜本的な転換を図ります。「マイナンバー健康保険証」の強制に反対します。

 8時間働けばくらせる人間らしい雇用のルールの整備を求めます。労働法制の規制緩和路線の抜本的な転換、最低賃金を全国一律・時給1500円への引き上げを求めます。

 地方経済の立て直しの柱に中小企業と農林水産業の振興を位置づけるよう求めます。

 中小企業「淘汰(とうた)」の政策、歯止めなき自由化路線を見直し、農業への所得・価格保障の拡充、食糧危機を克服する農政への転換をめざします。

 大学等の学費負担の軽減と給付制奨学金の大幅な拡充、高校までの少人数学級の速やかな実現、授業料負担免除など教育費の負担軽減を求めます。

 消費税を緊急に5%への減税、インボイス制度の10月実施の延期を求めます。コロナ禍でも資産を増やした富裕層、大企業に応分の負担を求める税制改革、大企業の内部留保への課税を求めます。

  •  原発の再稼働、新増設に反対し、原発に依存しない脱炭素社会へをめざします。

 地球規模の環境破壊を止めるため、大型石炭火力の建設計画の中止、既存施設の計画的停止・廃止、再生可能エネルギーへの転換によるカーボンゼロ社会の実現を求めます。

 福島第一原発の汚染処理水の海洋放出に反対し、原発被災者への支援強化を改めて要求します。

 地震大国・日本にふさわしい災害対策を求めます。

(6) ジェンダー平等社会の実現、女性の権利を国際基準への引き上げ、多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する社会をめざします。

 雇用の場における男女差別の撤廃、選択的夫婦別姓制度の実現、同性婚の法的整備、LGBTQ差別禁止法の制定を要求します。

 あらゆる政策・意思決定の場におけるジェンダー平等を求め、政治分野における男女共同参画法(パリテ法)の実効性ある改善を求めます。

(7) 外国人労働者への差別をなくし、労働者としての権利保障を求めるとともに、外国人入国者の人権保護を徹底させ、出入国管理の人道的改善をめざします。「入管法」の改悪に反対します。

 外国人実習制度の廃止を求めます。

 

Ⅳ 運動を支える革新懇づくり

1 「市民と野党の共闘」の取り組みからも明らかな革新懇の重要性

 「市民と野党の共闘」の強化・発展に危機感をもった支配勢力などからの分断攻撃が強まり困難な局面も生まれています。そのせめぎあいのなかで、「確固とした展望をもった統一戦線運動の推進力」である革新懇の役割が重要になっています。

 その点を再確認し、「革新懇づくり」の取り組みを進めます。

 

2 「三つの任務」を再確認して「三つの力」を高める

 「三つの任務(「要求と政治の架け橋として諸課題での共闘の前進をめざす」、「『市民と野党の共闘』の支え手として奮闘する」、「『3つの共同目標』にもとづく革新統一戦線の担い手の役割を果たす」)」の実践に力を寄せ合います。

 「三つの任務」を果たす革新懇運動の「三つの力(政策の力、組織の力、草の根の力)」の発揮をあらためてよびかけます。「三つの力」を十全に発揮するためにも、運動に参加する人々をリスペクトし、ハラスメントのない運動づくりをめざします。

 

3 革新懇運動における賛同団体の役割

(1) 革新懇は、全労連、新婦人、全商連、民医連、農民連、民青同盟など賛同団体と日本共産党、都道府県革新懇、地域・職場・青年革新懇、そして個人会員のそれぞれの運動が力を発揮し、総体の力を高め、運動を前進させてきました。

 その経緯もふまえ、賛同団体には以下の役割を期待します。

① それぞれの団体が大きくなり、各分野で影響力を高め、統一戦線運動の発展への貢献です。各分野で要求の一致点での共同をひろげるとともに、それぞれの領域で新しい社会実現に向けた政策を提起し、その実現のためにも国政革新をめざす共闘、統一戦線運動の必要性を訴えます。

 ② 革新懇運動の意義を各団体のなかにひろげ、革新懇ニュースも活用した「要求と政治を語る場」を意図的に作り出すとともに、地域などの革新懇運動や事務室(局)体制を支え、地域革新懇の結成にかかわるなど、革新懇づくりへの奮闘です。

 

4 都道府県革新懇の取り組みと態勢の強化

(1) 現在、47都道府県革新懇とそれに結集する地域革新懇は自治体数比36%で、衆院の小選挙区にも対応する組織状況にはなっていません。「市民と野党の共闘」を各地域で支え、統一戦線運動を地域に根付かせていくため、進んだ都道府県、地域の経験に学び、交流を深め職場や地域に密着した革新懇づくりに挑戦します。

 未結成の地域や休止状態の地域革新懇を把握し、新結成や準備会発足、活動再開の可能性を追求するため、次の取り組みをよびかけます。

  • 地域・職場・青年革新懇づくりの目標を持ちます。
  • 「全国革新懇ニュース」普及について議論し、目標と計画をつくります。

 ③ 各地で地域・職場・青年革新懇、賛同団体の交流会・学習会を計画します。

(2) 都道府県革新懇は、都道府県内の地方政治分析や選挙闘争への参画、各分野の運動全体を視野に入れた活動をすすめます。

① 革新懇の役割をさらに探求する運動交流会・シンポ、地域・職場・青年革新懇の活動交流、賛同団体、市民運動との懇談会などを開催します。

② 「団体、政党、個人」が結集する革新懇の力が発揮できるように代表世話人会の充実、事務室(局)体制の拡充と事務室(局)長の専任化を追求します。世話人などの役員、事務室(局)員などに女性や現役世代、若者が参加し、多彩な構成となるよう努めます。

③ ジェンダー平等、気候危機打開など次世代の切実な要求に応え、若い世代に魅力ある革新懇運動を追求します。

④ 身近なニュースを伝える「都道府県革新懇ニュース」は、対話と共同、革新懇運動への理解をひろげるうえでも、大きな役割を果たしています。ニュース発行に取り組みます。

(3) 困難を抱える革新懇の事務室(局)体制整備、強化を全国革新懇としても位置付け、問題解決への支援を強めます。

 

5 地域に「網の目」の革新懇を、すべての自治体・行政区さらに校区に革新懇を

(1) 革新懇を各地に「網の目」でつくることは、自公政治を転換し、野党連合政権をつくり、地方自治を前進させる組織的な土台です。「地域の草の根運動の主役」と位置づける地域革新懇の結成、維持、強化を重視します。

(2) 地域には営業、医療・介護、教育、子育て、交通、住宅、環境など多岐にわたる分野で、切実な要求の実現を求める住民の声が渦巻き、運動が生まれ、政治を変える力が蓄積されています。この点に目を向けた取り組みを強めます。

  • 地域要求と国政課題を2つの柱にしてとりくみます。
  • 一つひとつの企画で新しい結びつきを探求します。

③多様な共同行動、共同組織との協力・連携をめざし、すべての自治体・行政区さらには校区単位での地域革新懇の結成を引き続き追求します。

 当面、小選挙区単位の革新懇(革新懇連絡会)の結成、整備を進めます。

 

6 職場革新懇運動の再活性化をめざして

(1) 職場革新懇は、労働組合の違いをこえ、非組合員も管理職も、正規も非正規も、現職も退職者も誰でも参加できることを特徴に結成を進めてきました。

 どこの職場でも厳しさが増し、政治的な論議が難しくなっている現状を打開していく上で「職場に政治の風を吹かせる」職場革新懇を再評価する時期にきています。

(2) 継続的な取り組みをおこなっている職場革新懇の経験に学びます。

 大阪損保革新懇は学習会や講演会を定期的に行い、政策ニュースを作成し、社前配布などを行っています。国公かながわ革新懇や愛知民間職場革新懇でも学習講演会を開催し繋がりを深めています。あいおい損保革新懇はオンライン会議も活用して署名行動などの取り組みを組織し、西武革新懇は沿線でのピースアクションを続けています。三菱神船革新懇は子ども食堂を毎月開催し、従業員のOB会・交流会に参加して現役労働者との接点づくりに努力しています。

 これらの活動経験も参考に、退職者が中心で消滅するところも少なくない職場革新懇の現状の前向きな打開に努力します。

(3) 同時に、現役労働者にどう接近するかを含め、世代継承の課題に向き合うためにも、賛同団体とも連携しながら職場革新懇運動のあり方について論議を進めます。

 職場革新懇の現状についての実態調査を検討します。

 

7 すべての都道府県で青年革新懇の結成を

(1) 現在、28の青年革新懇が活動しており、6つの準備会が結成をめざしています。

 近年の結成は、青年の働き方やくらしの現状を話し合う中で結成につながっているのが特徴です。2022年11月の大阪・交野青年革新懇は、地域の学校統廃合や市民バス廃止の中止を求める青年がつながって結成されました。

(2) 青年革新懇独自の取り組みで活動を継続しているのも特徴です。香川・高松市山田地域青年革新懇は地域革新懇とも共同して学生向けの食糧支援活動にも取り組み、神奈川・虹色@ピースフレンズは「フツ―に生きさせろパレード」を、京都・HOME-はんなりは「戦跡さんぽ」を、神戸・チームアンカーは憲法学習会に取りくみました。また、京都、大阪・交野、神戸の青年革新懇は合同の学習交流会などを行い、交流を深めました。

(3) 青年革新懇の活動を継続・発展させるためにも、定例会議の重視と「全国革新懇ニュース」の配達・集金、仲間を増やすこと、青年の要求にかみ合った企画を持つことなど、青年の自主性を尊重した運営上の工夫を大切にします。

 都道府県革新懇や地域革新懇での支援の強化、賛同団体の協力も得て、すべての都道府県で青年革新懇の結成を目指します。

 

8 革新懇づくりの「核」、「全国革新懇ニュース」の拡大、発信力の強化に向けて

(1) 「全国革新懇ニュース」の普及について年内の3万部回復を達成し、5万部の峰への本格的に挑戦します。

 読者の減少を止め、増部に転ずるためにも、会議の未開催、配達・集金の乱れなど活動の停滞を解消し、目標を確認し、組織的な拡大運動を呼びかけます。

 ニュースの拡大への賛同団体の協力を呼びかけます。

(2) 増紙(拡大)と、革新懇(困難県、職場革新懇、地域革新懇)づくりを一体で進めます。要求課題での取り組み(講演会、学習会、シンポジウムなど)を具体化し、つながりを広げてニュース拡大につなげます。

 革新懇づくり促進期間の設定などの運動化を検討し、「革新懇とは」(リーフレット)を作成します。

(3) 都道府県革新懇と連携し、代表世話人などによる講演会の全国的な開催を検討します。

(4) 全国革新懇として、SNSの活用など「発信力」強化につとめます。

 

 

 

おわりに                                               

(1) 2021年秋の総選挙、2022年夏の参議院選挙、そして2023年春の統一地方選挙と国政補選を経て、政治の場での右傾化が加速し、自公政治への批判の受け皿としてより右翼的かつ新自由主義的な潮流に焦点が当たってきたかのように見えます。

 その結果の背景にはそれらの選挙での投票率の低迷にみられるように、政治へのあきらめの広がりが一つ要因として考えられます。同時に、「市民と野党の共闘」が自公政治に変わる存在として十分に受け入れられていないことの反映でもあります。

 そのような中で統一地方選挙では、市民の政治的関心に訴えて投票率がアップした自治体議員選挙で女性議員が躍進し、新たな政治の担い手として期待を集めていることは次への希望です。

(2) 4月の国政補選後、情勢は総選挙含みとなっています。次の総会までの総選挙の実施は不可避との立場で、たたかいの準備を進める必要があります。

 次の総選挙の争点は明白です。戦争する国づくりへの暴走にストップをかけ、改憲発議を許さないことであり、新自由主義構造改革と物価高騰で傷ついたくらしと生業を立て直す政治の実現であり、一人一人を大切にする多様性ある社会をめざすことです。待ったなしの人類的課題である気候危機問題への早急な対応も政治の課題です。それらの課題の解決を、自公や悪政推進の勢力に期待することも委ねることもあり得ません。

 現行の選挙制度の下での政治の転換の条件は、政党、市民運動それぞれが力を高め、「市民と野党の共闘」を強く、大きくしていく以外にはありません。

 条件を上げるためにも、日常的な取り組みを強め、革新懇運動を広げ、希望を形に変える道筋を私たちの手でつけていきましょう。

 

以 上

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