10月1日に石破自公政権が発足した。石破首相はその前日に、10月15日公示、27日投票で総選挙を行うと表明する「ルール違反」を侵す異例の動きをおこなった。

　今回の首相交代は、統一協会との癒着や裏金疑惑など自民党の組織的な問題で、その全容解明にも再発防止にも後ろ向きな対応に終始した岸田政権が、市民の批判と世論に追いつめられた挙句に退陣したことによっている。

　それだけに新政権に求められるのは、政治をカネで歪める企業団体献金の禁止や、カネで選挙を歪める構造を是正する決意であり、それを国会の場で明確にすることであった。また、新たに露見した統一協会と自民党との組織的な関係の解明も緊急の課題であった。

　しかし石破首相は、それらの問題解明のための国会審議を拒否し、首相交代の「ご祝儀相場」をあてに、かつて自らも批判した「大義なき解散総選挙」に打って出ようとしている。有権者に、政権の判断材料を提供もせず、党利党略で総選挙を行おうとすることは民主主義を形骸化させるもので、厳しく指弾しなければならない。

　9月に行われた自民党総裁選挙では、9人の立候補者全員が憲法9条への自衛隊明記などの改憲を競い合い、他国攻撃を可能にするための大軍拡や原発依存のエネルギー政策、アベノミクスの継承など、岸田政権の政策継承を明確にした。加えて石破氏は、アジア版NATOの創設や「核共有」に言及するなど、憲法破壊をさらに進め、米国追従の軍事同盟を強化する姿勢を露骨にした。また、大地震に加え、豪雨被害に襲われた能登半島の被災地、被災者支援のための補正予算を先送りして総選挙を行おうとしている。

　これらの点で石破政権は、市民のいのち、くらしと平和にとって、岸田政権以上に危険だと言わざるを得ない。また、総裁選挙で石破氏は選択的夫婦別姓を掲げながら、他の候補者からの反発をうけると「党内論議を経て」と結論先送りに転ずる言行不一致の姿勢も示した。

　この間、立憲民主党でも野田新代表が選出された。野田氏は、安保法制の廃止や原発ゼロ社会の実現を今の課題とせず、改憲反対を明確に主張しないなど、保守層を意識した「現実的な政策路線」への傾斜の姿勢をとり、「共産党とは政権を共にしない」とも明言した。安保法制の廃止を求めて始まった「市民と野党の共闘」の原点やその後の発展に背を向けるものと言わざるを得ない。

　いきづまりが明白な自民党政治への迎合ではなく、戦争する国づくりや新自由主義一辺倒の政治からの転換をめざし、「市民と野党の共闘」の新しい枠組みをつくり出すために、知恵と力を寄せ合うことを呼びかける。

　沖縄における「オール沖縄」の統一候補勝利など条件が整ったところでの奮闘も確認したい。

　今回の総選挙を「自民党政治にさよなら」を告げる絶好のチャンスとしなければならない。

　「金権腐敗政治からの転換」、「『失われた30年』の経済政策の転換」、「戦争する国づくり、大軍拡の政治からの転換」、ジェンダー不平等など人権後進国からの転換」などの切実な要求での共闘を広げ、要求実現の障害、自民党政治に「さよなら」をの声と運動を大きく広げよう。

　総選挙では、自民党政治を大本からかえる革新懇の「3つの共同目標」を高くかかげ、それを支持する勢力の飛躍のために各革新懇、賛同団体とその構成員の力を寄せ合おう。運動で希望をつくり出すために力を出し合おう。