2025年1月23日
平和・民主・革新の日本をめざす全国の会 事務室長 小田川義和
1月15日(現地時間)にイスラエルとイスラム組織ハマスがパレスチナ・ガザ地区での停戦に合意し、19日に双方が人質を解放し始めて合意は実行段階にはいった。一昨年の10月から1年3ヵ月余の間続いていたイスラエルによるガザ市民の無差別攻撃、殺戮、破壊による人道危機の進行が中断したことを歓迎する。
停戦の合意は、3段階に分かれていると報じられている。19日からの第一段階で戦闘は6週間停止され、その間に双方が人質を解放するとともにイスラエル軍はガザの人口密集地から撤収し、救援物資を運ぶトラックの通行が許可される。ハマスは19日午後に人質3人を、イスラエルは20日未明に人質90人を解放した。支援物資を積んだトラックもエジプト側からガザに入ったと伝えられ、停戦合意は動きはじめた。
第二段階の進め方は第一段階中に協議されるが、ハマスは兵士を含む人質全員を解放し、イスラエルはガザから完全撤退して恒久的な停戦に向かうこととされる。第三段階では、ガザの復興が開始される。双方が三段階の合意を誠実かつ着実に実行し、ガザ市民を再び戦火にさらさないことを最優先とするよう国際社会が注視し、声をあげなければならない。
急がれるのは人命第一の立場での人道支援の再開である。イスラエルに対し、策定した国連パレスチナ難民救済機関(UNRAWA)の同国内での活動停止の法律を中止し、人道支援活動の妨害をやめるよう求め続けなければならない。
この間、国際司法裁判所(ICJ)は、イスラエルの軍事行動を国連憲章と国際法に違反すると断罪し、占領と暴力の終結、ガザへの損害賠償をイスラエルの義務とする勧告的意見を出している。国際刑事裁判所(ICC)は、イスラエル首相らに戦争犯罪の罪で逮捕状を出した。国連総会も再三再四、停戦と人質解放を求め、イスラエルへの武器提供の禁止措置も含む決議を採択している。このような国連決議と国際法の履行を迫る国連機関の判断を受けいれることが、「平和の枠組み」を再生させることになる。
アメリカなどがイスラエルに加担し、拒否権を発動して国連を機能不全に追い込み、ICCに圧力をかけたことなどが、人道的被害を長引かせ、甚大化させたことを軽視してはならない。国連憲章と国際法を軽視する理不尽なふるまいを正す努力を尽くしてこなかった日本政府も非難されなければならない。これらの点での取り組みは、自衛の名での暴力を是認し、「力による問題解決」に頼る動きが強まる今、市民の世論と運動を大きくすべき課題である。
この間、全国各地で、人質の解放とジェノサイドの中止を求める行動が繰り返されたことに敬意を表し、恒久停戦と人道危機の打開を求める行動の継続を訴える。
イスラエルが入植によりパレスチナ人の土地を力づくで奪うことは、国連憲章でも許されない行為であり、その中止を求める。イスラエルとパレスチナが平和のうちに共存するための国際社会の働きかけと努力の必要性も改めて確認したい。