全国革新懇第41回総会「報告と提案」

2022年5月21日

【総会スローガン】

戦争につながるあらゆる策動に反対し、憲法が輝く民主的で尊厳ある社会をめざし、共闘と統一戦線運動の前進、発展に奮闘しよう

 

はじめに - 取り組み経過と情勢をふまえて重視する課題 -

(1) 戦争か平和かの重大な岐路で開かれる本総会では、侵略戦争に反対し、平和の国際秩序構築の先頭に立つ日本をめざす決意と役割を再確認します。

 2月24日のロシアによるウクライナ侵略は、国内外に強い衝撃を与えました。

 国内では、この機に日米軍事同盟を世界規模に拡大し、違憲の戦争法(安保法制)を深化させる軍事大国化への動きや改憲策動など危険な動きが強まっています。

 国際社会では、国連憲章と国際法のルールにもとづいて侵略戦争を止め、戦争犯罪に厳格に対処する努力が積み重ねられています。

 このような戦争か平和かの選択が問われるもとで迎える7月参院選は、日本の命運のかかる選挙です。私たちは革懇新運動の原点に立ち戻り、「改憲翼賛体制」の阻止と政治転換の基盤強化を目標に、「市民と野党の共闘」勢力の前進と「3つの共同目標」を支持する政治勢力の躍進を重視して取り組みます。

 

(2) 日本経済の民主化を追求してきた革新懇運動の経験をいかし、新自由主義からの転換、憲法に依拠した経済民主化の取り組みと共闘づくりに奮闘します。

 コロナ禍で新自由主義政策の破綻が露見しましたが、感染拡大から2年を経過しても経済政策は転換されず、医療、福祉、公衆衛生などの疲弊と混乱はより深まり、格差と貧困の拡大、深刻化も極まっています。

 岸田首相は、掲げる経済政策「新しい資本主義」の具体化を異次元の金融緩和など「アベノミクス」の継続、強化とし、市民の「虎の子」である預貯金を資産投資に誘導するとしています。

 2021年年末から急拡大したコロナ感染第6波でも、医療体制も施策も対応できずに自宅療養者を急増させ、医療にたどり着けない感染者が多数生じ、漫然と出された「まん延防止重点措置」によって、飲食店や宿泊に関わる業者と労働者が打撃を受けました。

 ウクライナ侵攻に対するロシアへの経済制裁の反動が、コロナパンデミックの経済への悪影響と異次元の金融緩和に起因する急激な円安が加わり、物価急騰やエネルギー、食糧危機を招いています。

 格差の是正と貧困解消のため、公的役割の発揮をはじめとして憲法25条の求める国民の生存権保障を具体化する政治の実現にむけた取り組みを強めます。

 

(3) 気候変動危機の克服やジェンダー不平等の解消を求める運動など、人間の未来や個人の尊厳に深くかかわる課題での共同参加と独自の取り組みの活性化をめざします。

 気候変動危機を回避することは人類死活の問題で、直ちに対応が求められる課題です。その中心は、化石燃料に依存するエネルギー政策、産業構造から自然エネルギーに軸を置く経済への転換です。その点で気候危機の克服は、経済民主化の中心的な課題です。

 ジェンダーギャップ指数が改善しない根底には、賃金の男女間格差や政治への女性参加の少なさなどがあり、より大本には「日本的家族観」にこだわる保守層の頑強な抵抗があります。ジェンダー不平等の是正はするどい政治的課題であり、日本社会の民主化と憲法実現の課題に位置づけ、個人の尊厳を大切にする社会の実現をめざします。

 

(4) 革新懇が今日の情勢に見合った役割を果たすうえで「革新懇づくり」は急務です。

 昨年の総会で革新懇は、「市民と野党の共闘」の前進、発展の状況をふまえて「三つの任務(「要求と政治の架け橋として諸課題での共闘の前進をめざす」、「『市民と野党の共闘』の支え手として奮闘する」、「『3つの共同目標』にもとづく革新統一戦線の担い手の役割を果たす」)」を確認し、それを果たすためにも三つの力(政策の力、組織の力、草の根の力)を高めていくことを確認しました。

 力を発揮して任務を実践する「革新懇づくり」を強めます。すべての自治体・行政区(さらに校区)での革新懇づくりを目標に、計画を持って取り組みます。「全国革新懇ニュース」と会員の拡大、諸課題での交流会・学習会の開催など「組織の力」を高めるために、一丸となった取り組みを進めます。

 

 

1 この1年間の取り組みの特徴点

 2021年5月15日の第40回全国革新懇総会では、①総選挙勝利と「市民と野党の共闘」の発展のために革新懇が積極的な役割を発揮すること、②政治を転換して切実な要求が実現できる社会をめざすこと、を運動の基調として確認し、1年間、その実践を積み重ねてきました。

 

(1) 第49回総選挙及び一連の地方選挙での取り組みと教訓

① 2021年7月の東京都議会議員選挙を、「市民と野党の共闘」を前進・発展させ、総選挙での政権交代に道を開くたたかいと意義づけ、コロナ無策の一方でオリンピック・パラリンピックの強行開催を画策する菅内閣、小池都政への審判の場として全国からの支援をよびかけました。

 総選挙情勢と取り組みを交流するため、ブロック単位の都道府県革新懇事務室(局)長会議(6月、7月)と全国の事務室(局)長会議(9月)をオンラインで開催し、賛同団体懇談会(9月)も行いました。

② 東京都議会議員選挙では、1人区だけでなく複数区(2人区、3人区)での共闘が共産党、立憲民主党などの間で成立し、12選挙区で勝利につなげて「市民と野党の共闘」の新たな到達点を築きました。

 続く8月の横浜市長選挙は、カジノ(IR)建設を最大の争点にたたかわれ、「市民と野党の共闘」で市長を誕生させました。

 2021年4月に行われた三つの国政補欠選挙で自公候補が全敗し、コロナ感染拡大下でのオリンピック・パラリンピックの開催強行への国民批判等に加え、こうした重要な地方選挙戦での結果が、菅首相を退陣に追い込み、総選挙直前に自民党総裁選挙が行われるという異例の事態を生み出しました。

③ 9月8日に、市民連合と4野党(立憲、共産、社民、れいわ)が、1)戦争する国づくり、改憲策動阻止、2)新自由主義政策の転換など6本の柱・20項目の総選挙「共通政策」に合意しました。9月30日には、立憲民主党と共産党の党首が、1)自公政権の打倒、2)「共通政策」の実現への協力と共産党の閣外からの協力、3)小選挙区での候補者一本化と勝利への協力、で合意しました。

 全国革新懇もこれを歓迎してアピールを出すとともに、情報提供・激励・交流などを通じてたたかう共闘づくりを促進しました。また、代表世話人が選挙区の激励(東京4区と20区、千葉6区、沖縄、愛知、香川1区と四国比例区)に入りました。

④ 各地の革新懇でも、共通政策の学習会や独自要求を含めた政策づくりが進められました。福島では汚染水問題を争点化し、少なくない地方で米価下落への対応などが争点となりました。また、市民連合などの共闘組織づくりに積極的にかかわり(愛知、奈良、神奈川、東京など)、候補者の一本化に向けた取り組み(千葉、岩手、香川、高知、山梨、新潟・大江山、香川・小豆、長野など)も多様に広がりました。

 選挙戦本番でも、独自の宣伝物の作成(福岡、愛知、大阪革新懇など)や、合同宣伝(北海道、新潟、兵庫、滋賀、神奈川、東京・文京、兵庫・中はりま準備会、兵庫・尼崎革新懇など)、集会(埼玉革新懇を含むオール埼玉実行委)、県民のつどい(群馬革新懇)などの取り組みが報告されています。

⑤ 賛同団体も、共通政策を軸に「医療・介護要求」(全日本民医連)、「改憲阻止、国保や社会保険制度の改善、インボイス導入阻止」(全商連)、「米危機突破、食料支援の実現」(農民連)など、要求実現と総選挙を結んだ取り組みを行いました。全労連は12地方組織が統一候補の支援を決定し、農民連でも9県連・26選挙区で政策協定・推薦をするなど、っこれまでを一歩前に出た取り組みが行われました。新婦人は要求と政治・政党についての「おしゃべり」活動を全国で広げました。

⑥ 総選挙の結果は、1)自民党は公示前から15議席減らしたものの絶対安定多数を獲得、2)自公の議席は3分の2を下回ったが、日本維新の会を加えれば超過、3)立憲民主党は小選挙区では増やしたが、比例で伸びず公示前から14議席減、4)共産党も議席を減少、となり「共闘勢力」が後退しました。

 これらの要因として、マスコミが自民党総裁選を大々的に取り上げ、岸田首相が総選挙での政策争点を明確にせず、政権側が日米安保条約など野党間での基本姿勢の違いをことさら強調し、労働組合の連合が共闘分断に加担したことなどが挙げられます。

⑦ 私たちは、自公のみならず一部野党やマスコミも加担した共闘分断の攻撃をはね返すまでのたたかいとはならなかったことを深く総括するとともに、こうした中でも、「共闘勢力」が候補者を一本化した59選挙区で当選し、自民党の重鎮や有力政治家を落選させ、33選挙区で自民党候補を僅差まで追い上げました。この点は「市民と野党の共闘」の基本的な「効果」としての共有が必要です。

 総選挙後の改憲策動の強まりなどの政治状況を見ても、今の選挙制度のもとで、戦争する国づくりを阻止し、新自由主義政策転換の政治を実現するには、市民参加の共闘を大きく、強くし、野党の統一したたたかいを求める以外に道はなく、その共闘を強くするためにも軸である「3つの共同目標」を支持する勢力前進の重要性を確認します。

 

(2) 総選挙後もねばり強く追求される「市民と野党の共闘」

① 総選挙の結果を受けて立憲民主党の党首交代があり、国民民主党が改憲論議に前のめりとなり2022年度の政府予算案にも賛成するという変質が生じ、「市民と野党の共闘」が揺らぐ事態となりました。

 また、労働組合の連合が「支援政党を明示しない」との参議院選挙方針を決め、自民党が連合との政策懇談会を進めるという変化も起きました。

 そのような中、総選挙で野党統一を実現し、勝利した地域をはじめとして、「市民と野党の共闘」の継続強化を確認し、政策実現のための共闘を強める地域、草の根からの取り組みがねばり強く積み上げられてきました。

② 3月、立憲民主党の党首が、共産党、社民党、れいわに対して、参議院選挙1人区での候補者調整を申し入れました。市民連合は、同月「参議院選挙での政策調整と候補者一本化」などを求める要望を5党(立憲、国民、共産、社民、れいわ)2会派(沖縄の風、碧水会)に行いました。

 5月9日、市民連合は3党(立憲、共産、社民)2会派に参院選に向けた要望を行いそれぞれの政党が基本的に確認しました。また同日、立憲と共産はⅰ)総選挙時の合意(共産党は限定的な閣外からの協力)は横に置き、ⅱ)(市民連合の政策要望の)枠組みを確認した上で、勝利する確率の高い選挙区を優先して候補者調整を行うこと、を確認しました。

③ 様ざまな困難や障害をのりこえ、国政選挙の1人区で与野党対決の構図を作り出して勝利するため、信州市民連合(長野)が立憲、共産、社民の3党と政策協定を結んで参院選での共闘を進めているように、一致した要求政策の実現をめざす取り組みが追求され続けています。

 

(3) 改憲策動を許さない取り組みに奮闘

① 昨年の通常国会で、改憲手続きにかかわる「国民投票法」改正法が強行されました。CM規制について「3年以内の措置」を付則に盛り込んだものの、法の成立で改憲発議のハードルが下がる状況となり、自民党などの改憲策動が激しくなりました。

 10月の総選挙の結果、改憲を「改革課題」だとする日本維新の会が議席を増やし、国民民主党が改憲姿勢を強め、自民党も憲法改正実現本部に改組して草の根からの改憲論議盛り上げをはかっています。

 岸田首相も、施政方針演説などで国会での改憲論議の促進を求め、自民党大会でも参議院選挙の争点の一つに位置付けるなど、一気呵成の動きです。

② この背景には「9条を改正して、自衛隊を明記すること」に賛成47%、反対32%(朝日新聞・2021年10月20日)といった世論の変化もあるとの判断から、「9条改憲NO!市民アクション」が「憲法改悪を許さない全国署名」を開始し、これに応えた革新懇での取り組みが全国各地に広がっています。

 全国革新懇も参加する「憲法共同センター」は、夏の参議院選挙までに全体で1000万人以上の集約を目標に取り組みを進めています。

③ 2022年の通常国会では、憲法審査会の「定例開催」が強行され、衆議院では2月10日から毎週開催となり、3月24日からは参議院の憲法審査会も開かれました。

 衆議院の憲法審査会は、緊急時の国会オンライン開催が現行憲法(第56条)のもとでも可能とする「取りまとめ」を行った後、緊急時における議員任期の延長や法的効果を持つ内閣の政令制定権などの論議へ移っています。「取りまとめ」が多数決で行われたこともあり、改憲発議の危険はさらに高まってきました。

 このような動きに対し、草の根から9条改悪反対の声を上げていこうと、憲法宣伝1000回を突破した岩手・花巻革新懇、核兵器廃止、改憲反対の署名とともに300回を超える宣伝行動を続けてきた川崎市中原、多摩、宮前田園の各区革新懇も参加する「中原しょめい隊」や宮城・多賀城革新懇や埼玉・越谷革新懇などが定例宣伝を行っています。 

④ 2021年4月の日米首脳会談で、日米安保条約が「インド太平洋地域、そして世界全体の平和と安全の礎」と再定義され、日本の防衛力強化や台湾有事の際の共同対処にもふみこむ合意がされました。

 これらをうけて、日米豪印の「クワッド」での軍事連携、ミサイル配備など南西諸島の「軍事要塞化」、日米共同の軍事行動訓練の激化等が始まっています。「日本は『盾』、米国は『矛』という時代は終わった」(文藝春秋4月号)という声が自衛隊関係者から公然と出るなど、米中覇権争いの前面に日本が立つ動きを看過することはできず、「非同盟・中立の日本」を掲げる全国革新懇ならではの取り組みが求められています。

⑤ 岸田政権は、外交・防衛の基本方針である「国家安全保障戦略」について、敵基地攻撃能力保有とその装備確保のための軍事費対GDP比2%への増額などの論議を始め、年内に「防衛三文書」改定を行う動きです。

 これと並行し自民党は、敵基地攻撃能力を反撃能力と言い換え、ミサイル基地だけではなく指揮統制機能等も攻撃対象とし、さらに必要最小限度の自衛力も情勢等に応じて変わることや軍事費の倍増を求め、武器輸出の歯止めを外す提言を政府に行いました。

憲法9条を蹂躙し、政府が自衛隊の存在を根拠づけてきた専守防衛すら投げ捨てる大軍拡を具体化させないたたかいが必要です。

⑥ 昨年の通常国会では、基地周辺や離島の不動産所有、利用状況を監視し、軍事目的での規制を可能にする土地利用規制法が成立し、2022年6月の基本方針等の策定、9月実施に向けた検討を政府が進めています。

 この動きに対し、住民監視を許さず、私権制限に反対する立場から、安保破棄中央実行委員会などと共同し、パンフレットの作成や地方議会での意見書採択の呼びかけ、政府交渉などを行いました。

 また全国革新懇は、2020年の日本学術会議会員6名の任命拒否は、憲法が保障する学問の自由への攻撃だとし、撤回を求める署名をよびかけ、政府要請なども行ってきました。署名は、666団体・個人から9万841人分が寄せられ、政府に提出しました。

 

(4) 切実な要求にもとづく共闘を不断に追求

① 「軍事費を削って医療、福祉、教育の拡充を」の一致点で大運動実行委員会や憲法共同センターなど8団体と共同して、国会内集会などに取り組みました。

 鹿児島県西之表市・馬毛島での夜間離発着訓練場建設に反対するため、総がかり行動実行委員会とも連携し、院内集会を開催しました。鹿児島県革新懇も県知事に「馬毛島への米空母艦載機発着訓練基地建設に反対することを求める要望書」を提出しています。

 福島原発事故での国と東京電力の加害者責任を問い、避難者への正当な補償を求める裁判闘争を支援し、署名への協力などをよびかけました。

② 要求実現と「市民と野党の共闘」の前進、発展の立場から、本年1月の名護市長選挙、3月の京都府知事選挙で全国的な支援強化を呼びかけるなど、都道府県革新懇と連携して、自治体首長選挙への支援を行いました。

 賛同団体の掲げる要求と実現の取り組みで、相互支援の働きかけを強めました。

 地方段階でも、気候変動危機をテーマに、川崎・宮前田園革新懇、埼玉・草加革新懇、同久喜市革新懇などが講演会を開いたのをはじめ、コロナ問題でも各地で多彩な取り組みが行われました。

 

(5) ロシアの侵略行為に抗議し早期徹底をもとめて全国で行動

 ロシアの蛮行に抗議し、国連憲章と国際法にもとづく非軍事の力での紛争解決や、ウクライナ市民への連帯をよびかける宣伝行動などが全国で取り組まれました。

 全国革新懇も代表世話人会で情勢等を深く議論するとともに、3月30日と4月21日に東京革新懇と共同し、代表世話人による街頭宣伝を行いました。

 各地でも、栃木、長野、東京、三重、広島など都府県革新懇や、新潟・大江山、神奈川・鶴見、千葉・船橋の地域革新懇などが抗議声明を発表しロシア大使館に送付しました。宮城や秋田など定例宣伝に抗議の声をあげ、緊急アクションが佐賀・唐津市民の会、茨城・土浦革新懇、福岡・博多区革新懇などから報告されています。奈良革新懇は侵略抗議県民集会を呼びかけ、神奈川、愛知、大阪、京都、兵庫、香川などで地域革新懇が合同抗議宣伝を行いました。

 

(6) 各地で奮闘した革新懇づくり

① 第41回総会を、872革新懇(地域革新懇703、職場革新懇142、青年革新懇27)、47都道府県革新懇、20革新懇準備会の計939革新懇で迎えます。前回総会以降、新結成が4革新懇、準備会発足は1革新懇となっています。

 新たに結成した熊本市西部革新懇は、準備会時から食糧支援活動を行うなど地域に寄りそう活動を重視しています。栃木の下野・壬生革新懇は、結成後にTwitterを開設し、世代をこえてつながろうとSNS学習会を開いて活用方法を学び、運動を広げています。福島のだて革新懇は「革新的良識の結集と発信へ」と意気高く結成されました。

 兵庫では中はりま革新懇準備会と兵庫区革新懇準備会、保育の職場での革新懇が結成されました。岐阜の恵那地域革新懇は、恵那市・中津川市で行政区ごとに活動を広げていこうと中津川革新懇を分割・発足させました。和歌山の橋本革新懇は地域範囲を広げ、名称を「伊都・橋本革新懇」に変更し奮闘しています。

② 「全国革新懇ニュース」は29,605部の到達です(5月13日現在)。2016年に3万部を突破した以後、全国各地の革新懇、賛同団体の努力にもかかわらず、18年6月の最高現勢(30,442部)から1千部近くも後退する結果となりました。

 

 

2 情勢の特徴

(1) 2月24日に、ロシアが隣国ウクライナへの侵略を開始し、市民を含む多数の人命が奪われています。他国の主権、領土を武力で侵すことは、国連憲章、国際法に反し、第二次世界大戦後の平和秩序を根底から揺るがす国際社会への野蛮な攻撃です。

 国連は、3月2日、24日の2度、ウクライナでの非人道的な行為を非難する総会決議を圧倒的多数で採択し、ロシアの行為を憲章違反の侵略と断じました。5月6日には、和平をめざす国連事務総長の努力に強い支持を示す交連安保理議長声明が全会一致で採択されました。

 また、国連人権理事会理事国としてのロシアの資格停止を多数で採択しています。国際刑事裁判所も、虐殺や病院、教育施設への攻撃等を戦争犯罪として調査に着手するなど、国際社会は「侵略戦争やめろ」「国連憲章を守れ」の声をあげ、経済制裁を強め、国連憲章、国際法のルールのもとロシアのウクライナ侵略を止めさせる動きを強めています。

 このような動きに対し、ロシアのプーチン大統領は「侵略に備えた専制的な対応」と居直り、核兵器の先制使用、生物・化学兵器の使用を公言して威嚇し、戦争は長期化の様相を帯びています。NATO諸国がウクライナへの軍事的支援を強めていることと相まって戦争拡大の危険性は消えていません。

 

(2) 国内では、ロシアのウクライナ侵略に便乗して、軍備拡大や日米軍事同盟のさらなる強化、集団的自衛権行使や自衛隊の海外での武力行使を可能にする改憲を主張する危険な企てが強まっています。

 米中の覇権争い激化のもとで中国の脅威を強調し、相手国中枢への攻撃も含めた敵基地攻撃能力保有、核兵器「共有」や非核三原則の廃止、専守防衛原則の見直しなど、憲法9条を空洞化させる主張を自民党のみならず日本維新の会なども強めています。

 このような情勢のもとで、憲法理念に沿った平和の枠組みづくり、対話による平和の実現へ現実的な対案を示す取り組みが重要になっています。東南アジア平和友好条約を基礎におき、日本や中国、アメリカも参加する東南アジアサミットは、憲法や国連憲章の理念とも通じ合う「対話」の場であり、これを活用した外交努力と平和の枠組み作りを日本政府に迫ることが課題です。

 

(3) 新型コロナウイルス感染拡大が2年以上も継続し、感染者は821万人、死者も3万人に近づきました(5月11日時点)。

 この間、6波の感染拡大期があり、その度に「医療崩壊」が指摘され、くらしと営業への政府支援の不十分さが露呈し、PCR検査やワクチン接種の不十分さが露見しました。また、経済活動を重視するあまりに、感染拡大がおさまらない内に規制を緩めて再び感染拡大を招く失敗も繰り返されています。感染対策と経済対策の二兎を追い、科学的知見を軽視し、責任の所在を曖昧にしてきた自公政権の失政は明らかです。

 

(4) コロナパンデミックが反復継続し、長期化するもとで、素材や部品などが品不足となり高騰し始めています。原油価格が高騰し、さらにロシアのウクライナ侵略が追い打ちをかけています。食糧危機も生じ、世界的には消費者物価が急騰し始め、先進諸国を中心に金融引き締めに向かい始めています。

 しかし日本では、原材料の価格上昇分の製品への転嫁がうまく進まない中、日本銀行は異次元の金融緩和を止めようとはせず、急激な円安が物価をさらに押し上げ、市民生活や中小企業の経営を圧迫しています。

 国内での価格転嫁の遅れは労働者の賃金にも影響し、賃金引き上げは不十分にしか進んでいません。結果として、国内消費がさらに冷え込む一方で、2021年度決算で過去最高の純利益を公表したトヨタなど一部の輸出大企業に富が偏在するゆがみがさらに進む状況です。

 

(5) 人類死活の問題である「原発に頼らない温室効果ガス排出ゼロに」の課題は、原油価格の高騰などが顕著になっている今、切実で緊要の課題です。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第3作業部会の報告書は、2025年までに温室効果ガスを増加から減少に転じさせることの必要性を強く指摘していますが、その点で2030年度に温室効果ガス46%削減(2013年度比)をめざす日本政府の目標は極めて不十分です。

 しかし政府は、石炭火力発電所の新増設を止めず、原発再稼働にも前のめりであり、経済界からは原発の新増設要望さえ出始めています。

 目先の利益のために人類的課題への対応を先送りにする財界・大企業に迎合する政治を放置し続けられず、これを追及する市民運動との連携が強く求められます。

 

(6) 戦後77年、全国に多数の米軍基地が居座り続け、軍事面だけでなく経済的にもアメリカに従属しています。日米安保を政治の基軸とする政権が長く続いたことが、憲法の上に日米安保条約を置くようないびつな構図を作り出しています。コロナ感染で、国民には水際対策を強調しながら、米軍人の入国を野放しにして第6波襲来を招いたのはその一例で、不平等条約・日米地位協定の矛盾の表れです。日米軍事同盟の世界化、深化と、日本の軍事的役割拡大の危険性を告発し続けることは、当面する参議院選挙とのかかわりでも重要です。

 5月に復帰50年をむかえる沖縄は矛盾がとりわけ集中し、改善されないまま新たな基地負担を迫られ、県民分断の攻撃が繰り返されています。9月の沖縄県知事選挙は、そのような分断をのりこえ、オール沖縄の統一を深化させ、日本政府に新基地断念を迫るたたかいの集約点です。

 

3 1年間の取り組みと課題

(1) 取り組みの基本方向

① 革新懇は、「3つの共同目標(①経済の国民本位への転換、②憲法をいかした自由、人権、民主主義の発展、③日米安保条約の廃棄)」をめざすともに、一致する要求課題での共同を追求し、社会の進歩のために力をつくしてきました。

 戦争か平和かの岐路に立ち、くらしと経済がかつてない困難に直面している今、アメリカへの従属と大企業の利益を優先する政治の転換は、切実な要求実現の課題です。

「3つの共同目標」を正面に掲げ、いのちとくらしを守る共同の取り組みのなかで、革新懇としての役割発揮をこれまで以上に重視します。

② 賛同団体、各地の革新懇と連携し、切実な要求課題での共闘の前進、発展と「要求と政治をつなぐ取り組み」の前進をめざします。

 全国各地のたたかいを交流する「地域・職場・青年革新懇全国交流会」を2022年11月19日~20日の二日間、東京都内で開催します。

 都道府県革新懇の活動交流や情勢等の共有化を図るため、適宜の時期にオンライン活用も含め、事務室(局)長会議や賛同団体会議を開催します。

 情勢も見極めつつ、課題ごとの講演会、シンポジウムなどを適宜開催します。

 

(2) 参議院選挙などの取り組み

① 2022年夏の参議院選挙は様ざまな意味で正念場のたたかいとなります。「市民と野党の共闘」を継続、前進させ、改憲勢力を3分の2割れに追い込み、悪政推進の改憲翼賛体制づくりを阻止するために奮闘し、政治を変える流れを次の国政選挙に繋ぎます。

② 全国の衆議院小選挙区単位での「市民連合」結成をすすめ、その活動を支えるため共闘の一翼を担って奮闘します。

 市民と野党の統一候補が実現した選挙区ではその候補者の勝利をめざします。同時に、「3つの共同目標」を支持する政治勢力の躍進にむけた取り組みを強めます。

③ この間の地方自治体の首長選挙での「市民と野党の共闘」前進の経験にも学び、都道府県革新懇、地域革新懇とともに自治体首長選挙での野党の共闘実現に挑戦し、統一戦線のうねりを草の根に広げます。

 

(3) 革新懇の要求とめざす社会

① 憲法をまもり、いかして立憲主義を回復し、自由と人権、民主主義の発展をめざします。

 安保法制(戦争法)、秘密保護法、共謀罪、土地利用規制法などの憲法違反の法律の廃止、集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を求めます。

 「森友問題」「加計問題」「桜を見る会」の問題など、一連の国政私物化疑惑の徹底的究明を求め、内閣人事局の廃止、日本学術会議の任命拒否の撤回など強権政治からの転換を図ります。

 憲法9条改憲を阻止し、改憲発議につながる一切の動きに反対します。

② 国連憲章、国際法などに反するロシアの侵略戦争の即時中止、ウクライナからの撤退を求めます。国連憲章にもとづく国際平和秩序の構築、東アジアの平和協力の枠組みづくりを追求します。

③ 対米従属の軍事同盟から抜け出し、自主・自立の平和外交への転換を求めます。

 沖縄県民の民意に背く辺野古新基地建設の中止、普天間基地の無条件返還を求め、馬毛島への基地建設に反対します。日米地位協定の抜本的改正を要求します。

 米軍への「思いやり予算」の中止、高額武器の「爆買い」、「敵基地攻撃」能力保有と大軍拡のための「新たな国家安全保障戦略」などに反対します。

 核兵器禁止条約の早急な署名・批准を求めます。

④ コロナ危機の克服のためにも新自由主義から転換させ、いのちとくらしをまもる政治の実現をめざします。

 政府の責任による医療・介護・障害福祉・保育などケアワークの人びとの待遇改善を求めます。社会保障削減をやめさせ、拡充への抜本的な転換を図ります。

 8時間働けばくらせる人間らしい雇用のルールの整備を求めます。労働法制の規制緩和路線を抜本的に転換し、最低賃金を全国一律・時給1,500円への引き上げを求めます。

 地方経済の立て直しの柱に中小企業と農林水産業の振興を位置づけるよう求めます。コロナに乗じた中小企業「淘汰(とうた)」の政策、歯止めなき自由化路線を見直しと、農業への所得・価格保障の拡充、食糧危機を克服する農政への転換をめざします。

 コロナ禍で深刻な困窮に陥っている学生への支援強化として、大学等の学費負担の軽減と給付制奨学金の大幅な拡充を図ります。

 消費税を緊急に5%に減税し、インボイス制度の実施を中止し、コロナ禍でも資産を増やしている富裕層、大企業に応分の負担を求める税制改革を求めます。大企業の内部留保への課税を求めます。

⑤ 原発に依存しない脱炭素社会への転換をめざします。地球規模の環境破壊を止めるため、大型石炭火力の建設計画の中止、既存施設の計画的停止・廃止、再生可能エネルギーへの転換で、コロナ危機からのグリーン・リカバリーを求めます。

 原発再稼働の中止、「原発ゼロの日本」を求めます。福島第一原発の汚染処理水を海洋放出することに反対し、原発被災者への支援強化を改めて要求します。

 地震大国・日本にふさわしい災害対策を求めます。

⑥ ジェンダー平等社会の実現を図り、多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する社会をめざします。

 雇用の場における男女差別の撤廃、選択的夫婦別姓制度の実現、同性婚の法的整備、強制性交等罪の「暴行・脅迫要件」の撤廃を要求します。

 社会のあらゆる政策・意思決定の場におけるジェンダー平等を求め、政治の場への女性参加を確保する「パリテ法」の改善を求めます。

 外国人労働者への差別をなくし、労働者としての権利保障を求めるとともに、外国人入国者の人権保護を徹底させ、出入国管理の人道的改善をめざします。

 高校までの少人数学級の速やかな実現を求めます。

 

4 運動を支える革新懇づくり

(1) 「市民と野党の共闘」の取り組みからも明らかな革新懇の重要性

 「市民と野党の共闘」の強化・発展に危機感をもった支配勢力などから分断攻撃が強まり困難な局面も生まれています。そのせめぎあいのなかで、「確固とした展望をもった統一戦線運動の推進力」である革新懇の役割が重要になっています。

 

(2) 「三つの任務」を再確認して「三つの力」を高める

 前回総会で整理、確認した「三つの任務」の実践に力を寄せ合います。

 いきづまった自公政権にかわる政権を実現して「3つの共同目標」にもとづく政治を切り開くために、「三つの任務」を果たす革新懇の「力」を高めるため奮闘します。革新懇運動の三つの力の発揮をあらためてよびかけます。

 

(3)革新懇運動における賛同団体の役割

① 革新懇をみる時に、全労連、新婦人、全商連、民医連、農民連、民青同盟など賛同団体と日本共産党、都道府県革新懇、地域・職場・青年革新懇、そして個人会員のそれぞれの運動の総体、全体としてとらえることの重要性を強調してきました。その視点から、賛同団体には以下の役割を期待します。

1) それぞれの団体が大きくなり、各分野で影響力を高め、統一戦線運動の発展に貢献することです。各分野で要求の一致点での共同をひろげるとともに、それぞれの領域で新しい社会実現に向けた政策を提起し、国政革新こそ要求実現の確かな道であることを明らかにしていきます。

 2) 革新懇運動の意義を各団体のなかにひろげ、革新懇ニュースも活用した「要求と政治を語る場」を作り出すとともに、地域などの革新懇運動や事務局体制を支え、地域革新懇の結成にかかわるなど、強大な革新懇づくりへの奮闘を期待します。

 

(4) 都道府県革新懇の取り組みと態勢の強化

① 現在、47都道府県革新懇とそれに結集する地域革新懇は自治体数比36%で、衆院の小選挙区にも対応する組織状況にはなっていません。「市民と野党の共闘」を各地域で支え、統一戦線運動を地域に根付かせていくため、進んだ都道府県、地域の経験に学び、交流を深め地域に密着した革新懇づくりに挑戦します。

② 千葉、山梨、愛知、兵庫革新懇などは県内の未結成・休止の地域を把握し、県内全小選挙区で「市民と野党の共闘」を発展させることも視野に具体的な目標を掲げて支援するなどの取り組みを行っています。

 約3年間の休止から活動を再開させた茨城革新懇は、草の根から革新懇運動を発展させる意義をくりかえし論議し、県内6地域を目標に革新懇の結成・再開に取り組み、会員・読者も増やしています。

③ 課題別でも、大阪革新懇はコロナ感染爆発を招いた維新政治の危険を明らかにし、神奈川県革新懇はカジノ反対の共同の要となって横浜市長選勝利に貢献し、東京革新懇は戦争法廃止の共同を基礎に地方選・自治体首長選での共同を支え総選挙での共闘の前進につなげました。

④ 都道府県革新懇は、未結成の地域や休止状態の地域革新懇を把握し、新結成や準備会発足、活動再開の可能性を追求するため、次の取り組みをよびかけます。

 ⅰ) 地域・職場・青年革新懇づくりの目標を持ちます。

 ⅱ) 「全国革新懇ニュース」普及について議論し、目標と計画をつくります。

 ⅲ) 各地で地域・職場・青年革新懇、賛同団体の交流会・学習会を計画します。

⑤ 都道府県革新懇は、都道府県内の地方政治分析や選挙闘争への参画、各分野の運動全体を視野に入れた活動をすすめています。この役割を全国的なものとすることをよびかけます。

ⅰ) 革新懇の役割をさらに探求する運動交流会・シンポ、地域・職場・青年革新懇の活動交流、賛同団体、市民運動との懇談会などを開催します。

ⅱ) 「団体、政党、個人」が結集する革新懇の力が発揮できるように代表世話人会の充実、事務室(局)態勢の拡充と事務室(局)長の専任化を追求します。世話人などの役員、事務室(局)員などに女性や現役世代、若者が参加し、多彩な構成となるよう努めます。

ⅲ) ジェンダー平等、気候危機打開など次世代の切実な要求に応え、若い世代に魅力ある革新懇運動を都道府県革新懇としても追求します。

ⅳ) 身近なニュースを伝える「都道府県革新懇ニュース」は、対話と共同、革新懇運動への理解をひろげるうえでも、大きな役割を果たしています。ニュース発行に継続に取り組みます。

 

(5)地域に「網の目の」ように革新懇を、すべての自治体・行政区さらに校区革新懇を

 革新懇を各地に「網の目」でつくることは、自公政治を転換し、野党連合政権をつくり、地方自治を前進させる組織的な土台であり、「地域の草の根運動の主役」と位置づける地域革新懇を重視します。

 地域には営業、医療・介護、教育、子育て、交通、住宅、環境など多岐にわたる分野で、切実な要求の実現を求める住民の声が渦巻き、運動が生まれ、政治を変える力が蓄積されています。この点に目を向けた取り組みを強めます。

ⅰ) 地域要求と国政課題を2つの柱にしてとりくむ

ⅱ) 一つひとつの企画で新しい結びつきを探求する

ⅲ) 多様な共同行動、共同組織との協力・連携をめざし、すべての自治体・行政区さらには校区単位での地域革新懇の結成を引き続き追求する

 

(6)職場革新懇

① 職場革新懇は、労働組合の違いをこえ、非組合員も管理職も、正規も非正規も、現職も退職者も、誰でも参加できることが特徴です。労働組合の有無にかかわらず、職場で政治・社会について語り合える場としての可能性を持っています。

 2年以上続くコロナ感染拡大のもとで、職場革新懇の活動も制約を受けざるを得ませんでしたが、その中でも大阪損保革新懇は総選挙で産業政策を含めた「選挙に行こう」パンフレットの作成・配布などを行いました。

 憲法を行政に生かす大阪の会(大阪国公革新懇)は総会とあわせた講演会を行い、西武革新懇は沿線でのピースアクションを続けています。国公かながわ革新懇は、定例合同庁舎前チラシ配布を続けています。

 5月8日には結成総会を開いた「神戸のよりよい保育をめざす会(保育革新懇)」は、アンケートに基づく市行政要請を通じて非正規保育士の待遇改善を勝ち取っています。

② 職場革新懇の現状は、退職者が中心になるなどの困難を抱えながらも、活動継続の努力を重ねています。大阪では、コロナ・ウィルス感染拡大のもとで活動を休止していた職場革新懇連絡会が大阪革新懇の援助も受けて活動を再開しました。「市民と野党の共闘」の時代にふさわしく職場革新懇の活動を前に進める探求も必要です。

 

(7) すべての都道府県で青年革新懇の結成を

① 現在、27の青年革新懇が活動しており、7つの準備会が結成をめざしています。

 近年の結成は、若者の働き方の要求を話し合える場をつくろうと結成された香川県高松市の山田青年革新懇、職場の悩みを語ろうと青年が集った岐阜県の飛騨青年革新懇など、働き方の問題を契機に結成されたことが特徴です。大阪・交野青年革新懇準備会は、介護職員や市職員などの青年が今年中の結成をめざしています。

② 青年革新懇独自の企画が多彩に取り組まれています。愛知・青年ネットAICHI(「フラワーデモから学ぶ 性暴力・ジェンダーギャップをなくすには」)、神戸市中央区青年革新懇・チームアンカー(「選挙cafe」、「選挙に行こう コロナ禍でみる日本と世界」)などの学習会や、香川・山田青年革新懇での取り組み(食糧支援「まんぷくプロジェクト」)が報告されています。京都青年革新懇・HOME-はんなりと神戸・チームアンカーは合同企画で交流を深めています。

 広島・安佐南革新懇は若者グループ「カクワカ広島」の講演会を開催し、埼玉・久喜革新懇は「若い世代の声を聴くつどい」を開催するなど、世代をつなぐ取り組みも行われています。

③ 青年革新懇の活動を継続・発展させるためにも、定例会議の重視と「全国革新懇ニュース」の配達・集金、仲間を増やすこと、青年の要求にかみ合った企画を持つことなど、青年の自主性を尊重した運営上の工夫を大切にします。また、都道府県革新懇や地域革新懇の支援も強めます。

 

5 革新懇づくりの「核」、「全国革新懇ニュース」の拡大、発信力の強化に向けて

(1) 「全国革新懇ニュース」の普及を・・・3万部回復、5万部の峰へ本格的な歩みを

① 山梨革新懇は、拡大世話人会で論議し、地域革新懇と賛同団体がそれぞれ目標を持って奮闘して読者最高現勢を達成しました。大阪・交野革新懇は「コロナ禍で何もできないでは、活動は進まない」と拡大行動日を設定し、行事参加者やニュース登場者などの結びつきも生かして読者・会員を増やし最高現勢を突破しました。香川革新懇では、要求運動と結んで賛同団体が「全国革新懇ニュース」普及に奮闘しました。大阪革新懇では、代表世話人が一人ひとりに宣伝紙を手渡して総選挙での投票よびかけとあわせて購読を勧めました。新発足の兵庫区革新懇準備会、再出発した岐阜・中津川革新懇などは持続的に「全国革新懇ニュース」を広げています。

② 読者の減少を止め、増部に転ずるためにも、「会員・読者の高齢化、団体構成員の減少等による困難」は大きな壁ですが、減紙の実態からは、会議の未開催、配達・集金の乱れなど活動停滞がより強く反映していると言えます。

 2016年から2019年の年間平均増紙申請の881部、減紙申請711部で、2020年から2021年の平均増紙申請435部、減紙申請669部です、比較すると、増紙数の減少がより大きく減紙に影響しています。この点を共有し、減紙を少なくし増紙数を多くする目標を持った取り組みをよびかけます。

 「全国革新懇ニュース」拡大と組織と運動の活性化を一体に取り組みます。

③ 新調した「購読申し込みリーフ」も活用し、11月に開催する「地域・職場・青年革新懇全国交流会in東京」へむけて「全国革新懇ニュース」3万部の回復をめざします。それを通過点に、5万部の峰へ本格的に挑戦します。

 

(2) SNSの活用・拡充、宣伝物と出版物の発行と活用を

① 2021年5月の全国革新懇第40回総会・40年記念の夕べのYouTube視聴総数は10万回に達しました。これまでは会場参加がかなわなかった地域で「視聴会」も開催されています。シンポジウム「『市民と野党の共闘』の前進をめざして」の配信は600以上の会場・個人が視聴しました。都道府県事務室(局)長会議の開催でもzoomを活用しました。

 引き続き、オンラインを活用した情報交流等につとめます。

②ホームページを見やすく分かりやすくするために、定期的な改良を重ねています。Twitterについてもさらなる活用のために研究します。

 各地の革新懇もSNSを積極的に活用しており、神奈川革新懇は、SNSに強い革新懇運動をめざして「SNS研修会」を連続開催し、大阪革新懇は新型コロナ大阪情報共有&特設サイトを開設しました。

 経験交流も強め、発信力を高めるために探求を続けます。

③ この一年間、次の宣伝資材、出版物を発行しました。

ⅰ) 『全国革新懇第40回総会・40年記念の夕べ記録集』(21年6月、2043部普及)

ⅱ) 「全国革新懇ニュース」申し込みリーフ(22年4月、3480枚活用)

 革新・愛知の会が作成した「一票が政治を変える」横断幕22本を地域革新懇が活用し、大阪革新懇は総選挙に向けて「宣伝・対話リーフ」を作製、大阪損保革新懇は「あなたの行動が あなたの一票が 社会を、職場を変える」のパンフレットを作製しました。長野県革新懇は結成40年記念として結成時の「長野県革新懇ニュース」創刊号を復刻しました。茨城革新懇は会員募集の「あなたもぜひ茨城革新懇へ」のしおりを作成しました。

 

おわりに

 革新懇は、革新統一を求める運動に持ち込まれた分断をのりこえるために、「3つの共同目標」を灯台の光に、「あきらめず、ひるまず、たゆまず」に様ざまな共闘に取り組んできました。

 「市民と野党の共闘」が前進し、政権交代の可能性がうまれた総選挙では、再びの共闘分断攻撃が激烈に行われました。その後の状況は、「戦争か、平和か」がするどい対決点となる中で、さらに分断と共産党排除の動きがあらわになっています。

 しかし、一方で、憲法をまもりいかした平和で民主的な政治、人間の安全保障を重視する政治の実現を求める声は、確実に広がり強まっています。この声と革新懇の「3つの共同目標」が響きあい、政治の転換をめざす統一した運動がうねりとなって広がる条件は、総選挙を経てもいささかも消えていません。

 その点で、今まさに革新懇運動は出番の時です。参議院選挙でのたたかいも起点に、統一戦線運動の新たな前進の運動を強めましょう。

以 上

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