2020年度の革新懇運動について(年間方針)

2020.05.26

全国革新懇代表世話人会

2020年度の革新懇運動について(年間方針)

 

はじめに 

(1) 全国革新懇は、5月16日に開催を予定していた2020年の全国総会について、新型コロナウイルスの感染が日本国内でも拡大し、政府が全国を対象に緊急事態宣言を発動して大規模な集会や県境を越えた移動が制約されるもとで、中止というかつてない苦渋の選択をしました。

しかし、感染の拡大とそれに伴う経済活動等の縮小が長期化するコロナ危機のもとで、革新懇運動が果たすべき役割はより重要になっています。そのことから、今日の情勢と課題、革新懇運動の前進、発展の方向を明らかにするため、総会方針に代わるものとして「2020年度の革新懇運動について」を代表世話人会の責任において提示します。

この文書は、コロナ危機克服を中心に、革新懇運動を取り巻く政治情勢の特徴と課題、運動の基本方向を提起するものです。全国各地の革新懇組織、賛同団体、個人会員のみなさんの議論と活動に役立てていただければ幸いです。

(2) 2020年は歴史の転換点ともいうべき年になるでしょう。

第一は、国民のいのちと健康、くらし、生業を根底から脅かすコロナ危機自体が、これまでの日本の政治、経済、社会のあり方、また安倍政治と新自由主義を鋭く告発し、国民的な「こんな社会でいいのか」の声がひろがっていることです。

いま何よりも急がれるのは、コロナウイルス感染から国民のいのちと健康をまもるため、ウィルス検査と医療体制の拡充、不可欠な業務の維持を最優先の課題として取り組みを強めるとともに、くらしと生業の危機を克服するための政府の積極的な支援策を求めることに力を注ぐことです。これらの運動を、これまでの企業活動への規制・介入を否定し、利益の追求を最優先する市場原理主義を大前提とする政治の転換を展望しながら進めることで、新しい政治を求める国民との共闘をさらに大きくしていく条件が広がっていきます。その「カナメ」の役割を果たすのが私たち革新懇です。

第二に、野党政権協議から「共産党排除」を合意した「社公合意」(1980年)が交わされてから40年が経過し、大きな変化のうねりがおきていることです。

「社公合意」に抗い、日本共産党と無党派有志・市民、民主諸団体が思想・信条の違いを乗り越え、平和と民主主義、革新の政治をめざす勢力の総結集をめざし、要求で団結し、国民が主人公の政府を展望する統一戦線運動、革新懇運動を生み出しました。それからの40年、革新懇組織と賛同団体は、一貫して一致点での共同を誠実に追求し、一点共闘を積み重ね、新しい政治への道を探求しながら、革新懇運動と組織づくりに尽力してきました。いま、「共産党排除」の壁は大きく崩れはじめ、「市民と野党の共闘」は着実に前進してきました。

さらに野党連合政権をめざす、本格的な「市民と野党の共闘」への発展、自公連立政権にかわる新たな政権を実現する展望を切り拓きつつあります。

2020年を、連合政権を樹立する歴史的な転換の年にする決意を固めあいましょう。

 

Ⅰ、「社公合意」、革新懇運動から40年

  ~政治変革の最大の障害、「共産党を除く」の克服の意義と革新懇運動~

(1) 「統一戦線こそ日本の政治を変えていく力」というのは、戦後日本のたたかいの教訓でした。

1960年安保闘争では、「安保条約改定阻止国民会議」を結成し、歴史的闘争を生み出して岸内閣を打倒し、憲法改悪を阻止する大きな力になりました。

多くの団体、市民が政治変革を求めて革新統一戦線を追求するなかで、社会党と共産党を軸とする共闘が地方政治や大衆運動分野で発展し、70年代には人口の43%が「革新自治体」に暮らすまでになりました。

こうした運動の高まりを土台に、社会党と共産党の党首間で、くらし、民主主義、安保廃棄を柱とする統一戦線結集への努力も3回合意されてきました。しかし、この変革のうねりを自民党や財界はおそれ、反動攻勢と逆流がおこるなかで結ばれたのが1980年1月の「社公合意」でした。この「社公合意」の核心は、「共産党排除」にあり、またそのことによって国民の要求とたたかいを押さえ込むことをねらい、政治戦線の場だけでなく、平和運動や原水爆禁止運動をはじめあらゆる大衆運動の場に分断と選別が持ちこまれ、統一戦線の道が閉ざされました。

(2) これにたいして、日本共産党は「革新統一懇談会」(革新懇)の結成を提唱し、新しい統一戦線を探求する努力が始まりました。

すべての都道府県で次々と革新懇が結成され、これを土台に、評論家の松浦総三氏、黒田了一大阪府知事ら準備委員の方々の尽力があり、81年5月に全国革新懇が結成されたのでした。政党レベルでの協議を待つのでなく、共産党とともに多くの無党派有志・市民、現・元社会党員、労組、民主団体が共同して、政治革新の道を歩みはじめたのでした。ここに画期的意義がありました。

結成総会には太田薫元総評議長、山本薩夫さん(映画監督)も参加、歴代の代表世話人には大西良慶さん(清水寺貫主)、松本清張さん(作家)らも選ばれました。

政党と市民・団体が共同する革新懇の結成は、日本の統一戦線運動の歴史的な転換点でした。思想・信条や政党支持の違いを乗りこえ、個々の要求実現とそれを拒む根源である悪政の転換をめざす運動に合流するという点で、今日の「市民と野党の共闘」の源流になっていると言っても過言ではありません。 

(3) 革新懇運動は、一致する要求での共同を一貫して追求しました。生活向上、民主主義、平和の「3つの共同目標」をかかげながら、そのうちの一つでも、またさしあたりの政治課題での一致点があれば、思想・信条の違いを超えて手を携えてきました。

地域要求はもちろん、全国革新懇は環境保全、反核・平和、沖縄、コメと農業、マスコミ、宗教者との対話など多面的な問題を取り上げ、懇談、共同をひろげてきました。革新懇が草の根や社会の土台でおこなった活動と共鳴しながら、全国で一点共闘とその重層的発展がすすみました。

画期は、2004年6月の「九条の会」の結成であり、2011年3月11日の東日本大震災後に発展した原発ゼロをめざす新しい市民運動の台頭でした。これらの運動と呼応して、秘密保護法や沖縄新基地建設の反対、TPP、医療、福祉など各分野で一点共闘が発展しました。各運動の連携が強まるなかで、「安倍政権打倒」の政治スローガンを掲げた共闘へと収れんされてきました。

革新懇運動は、一点共闘の相互の連帯、重層的な発展の「カナメ」として、さらに国政変革の運動へと発展するようその「架け橋」として奮闘しました。

このなかで共産党や全労連、新婦人、全商連、農民連、民医連、民青同盟など賛同団体と市民団体、旧総評左派労組などが共同する光景は日常のものになりました。

市民運動の高まりのなかで、「すべての問題は根源でつながっており、政治を変えよう」という認識が広がるとともに、政治変革の最大の障害となってきた「共産党を除く」が大きく克服されたことは、統一戦線運動の飛躍的な発展につながる決定的な変化だと言えます。

(4) 全国革新懇は、「憲法改悪反対の一点での国民的共同を草の根から広げましょう」(2003年9月)とよびかけ、また「憲法改悪反対共同センター」の立ち上げへイニシアチブを発揮しました。統一戦線の発展そのものを探求し、「『一点共闘』と政治を変える共同の発展をめざす懇談会」(2014年4月)、「『市民と野党の共闘』の発展をめざす懇談会」(2016年10月)など積極的な役割を果たしてきました。

2015年の安保法制(戦争法)反対の歴史的大闘争は、総がかり行動実行委員会を生み出しました。それは、旧総評左派と全労連の共同を軸とするものであり、労働戦線再編の確執と、長い間の国民運動の分裂を乗り越えて実現したものでした。それはまた大衆運動レベルからの「社公合意」の克服の動きともいえるものでした。

また自覚的な市民が政治舞台に登場し、政党や労組などと対等の立場で行動し、戦争法強行採決の後には「野党は共闘」と声を挙げたことは、60年安保、70年安保の大闘争の時代にも見られなかった画期的な変化でした。このなかで、戦争法を廃止する政府の実現をめざし、大衆運動と政治をつなぐ「市民連合」が2015年12月に誕生しました。「市民連合」は、政治を変えてゆくことを目的に、市民と市民、市民と政党、政党と政党をつなぐ共同組織(プラットフォーム)と位置付けられています。

こうした流れのなかで、国会内の野党共闘もすすみ、戦争法反対闘争以降、政策合意のひろがりと深まり、日常的な国会運営での連携、野党共同法案の提出へと発展し、それが選挙での協力と共同をさらに前進させるという、大きな変革のうねりが生まれています。 

革新懇との関係でも、総がかり行動実行委員会、「市民連合」と革新懇は、総会、全国交流会での連帯あいさつなどの直接の交流にとどまらず、賛同団体、都道府県・地域革新懇を通した連携と協力を日常的にも多彩多面的にすすめています。また立憲野党の関係者とも信頼関係が深まってきました。

(5) 「オール沖縄」のたたかいは、一致点で共同して県民運動をすすめるだけでなく、選挙を共同してたたかい勝利することによって、政治を変えるという道を切り拓き、日本中を励ます特筆すべき貢献をしました。保守と革新の基地を挟んでの対立から、「腹六分」の共闘を呼びかけた故翁長雄志沖縄県知事の訴えは、政治変革をめざす統一戦線運動にも大きな影響を与えるものでした。

革新懇は、現地情勢が重大な局面を迎えるたびに、運動の方向を探求したシンポジウムの開催(例えば1997年12月、2018年6月)、現地闘争への物心の連帯・支援、本土での「連帯の集い」の連鎖的開催など積極的な役割を担いました。

(6) こうしたなかで日本政治史上初の「市民と野党の共闘」選挙―市民と野党が政策合意し、統一候補を擁立して、全国的にたたかう―が二度の参院選、一度の総選挙でおこなわれました。日本の支配層が、国民を分断し、統一戦線を破壊し、また「二大政党論」をふりまいて、国民の政治変革のエネルギーを抑えつける策動は破綻し、統一戦線運動の新しい段階を迎えました。多くの課題を残しながらも、様々な試練を克服してきた私たちは、いま野党連合政権構想をかかげた本気の「市民と野党の共闘」への発展を喫緊の課題としています。

このとき、日本の未来への道を示す「3つの共同目標」と多くの賛同団体、地方・地域革新懇の組織力を持つ革新懇運動が、確固とした展望をもった統一戦線運動の推進者として果たす役割はいよいよ重要です。

 

Ⅱ、コロナ危機が可視化した安倍政治の危険と脆弱性

(1)グローバル経済の脆弱性を明らかにした「コロナ・パンデミック」

1) 2019年末に人への感染が確認された新型コロナウイルス(コビッド19)は、またたく間に世界に広がり、3月11日にはWHOがパンデミック(世界的大流行)を宣言する事態となり、戦後最悪の危機に直面しています。新型コロナウイルスによる感染は、5月16日時点で196の国・地域に及び、感染者数は450万人に迫り、死者は30万人をこえました。戦後、最悪のウィルス感染拡大のもとで、政府の役割が問い直されることとなりました。

2) ウィルス感染の拡大を食い止めるため、多くの国が「ロックダウン(都市閉鎖)」など市民の私権を制限し、国境をこえた人の出入りを厳しく規制しました。その結果、経済、社会活動が一気に収縮し、2008年のリーマンショック(金融危機)を上回る経済の落ち込みとなりました。IMF(国際通貨基金)は、4月14日時点で、2020年の世界経済の成長見込みを09年のリーマンショック時のマイナス0,1%を大幅に下回るマイナス3.0%に引き下げました。

3) このような事態に直面し、これまでとは異なる「コロナ・パンデミック後の世界」への言及がおこなわれています。これらの背景には、自己責任と市場任せでは、コロナウイルス感染の拡大もその経済的な影響をくい止めることができないこと、医療をはじめとする公務公共サービスを切り刻んできた市場原理主義が市民の命を危険にさらしていることへの危機感の共有があります。国民国家の役割を再確認し、グローバル企業中心、経済的利益最優先の政策からの転機となる可能性を内在した動きです。

(2)「コロナ・パンデミック」の前から露呈していた市場原理主義の弊害

1) 90年代初頭から世界を席巻した市場原理主義のもとで、世界的に、一部の資産家、投資家への富の偏在が急速に進み、格差が拡大し、貧困が深刻化していました。国際援助団体オックスフォムは、2020年1月に、世界の2,153人の持つ富は、世界の人口6割にあたる46億人の富の合計よりも多いとし、格差が拡大し続けていると指摘しました。

2)グローバル大企業が国境をこえて活動し、利益最大化のための最適地生産で、サプライチェーンを世界中に張りめぐらせ、安い労働力を求めて生産現場を勝手気ままに移動させたことが、不安定雇用と低賃金を世界的に広げ、移住労働者の増加となりました。

あくなき成長戦略が、未知のウィルスに人間が接触の機会を増やし、甚大な被害が生ずる危険性も高めたのです。税・社会保障負担もコストとするグローバル企業の行動が、社会保障への公的負担を切り下げ、公的医療から排除される多数の市民を多数生み出し、先進国でのコロナ感染の爆発的な広がりの一因ともなりました。

3) 格差の拡大に対する不満を巧みにすくいとるポピュリズムが欧米などで広がり、民主主義の危機と認識されはじめていました

地球温暖化への危機を共有し、スウェーデンの高校生が呼びかけたデモが、160ヵ国・400万人規模で取り組まれたのも2019年でした。グローバル化の弊害が広く認識されるもとで、市民参加の民主主義か権力集中の全体主義かのせめぎあいが激しくなっています。

(3)コロナ危機の以前から、行き詰まりが顕著になっていた安倍政権

1) 2008年のリーマンショックの影響を強く受けた日本は、外需依存の行き過ぎを是正し、賃金、所得の底上げ、地域経済の活性化などの内需中心への転換が求められていました。しかし、2012年に発足した第2次安倍政権は、金融資本主義をより激化させる異次元の金融緩和、借金頼みの公共投資、武器輸出や原発まで成長戦略に位置付けるアベノミクスを強引に進めてきました。

2) 働き方改革の名による非正規雇用労働者への置き換えや外国人労働者の受け入れを進め、日本を先進国で賃金が低下した唯一の国にし、社会保障費を抑制して医療、介護、福祉、年金の切り下げを毎年行ってくらしの基盤を壊し続けました。また公共サービスの「営利化」を進めました。

3) 安倍政権は、2度にわたり消費税の増税を強行して計13兆円の大増税を市民に押し付け、消費不況と内需の低迷を深刻化させ、地域経済の担い手である中小企業をさらに疲弊させました。2回目の消費税増税は、2019年10月から12月期の経済成長を実質で年率6.3%マイナスとなり、景気に極めて深刻な影響を与えています。

 TPP11、EUとのEPAに続き、2020年1月には日米貿易協定を発効させました。これらと一体で、地域経済に深刻な影響を及ぼす農林漁業への企業参入も強引に進めました。

しかしこれらの政策の失敗は、「2020年の名目GDP600兆円」の達成のめどさえ見通せていなかったことからも明瞭です。

4) そればかりか、アベノミクスの弊害が次々に明らかになっていました。物価上昇2%を目標にした異次元の金融緩和、マイナス金利の悪影響が地方銀行の経営を圧迫しています。少子化は加速し、人手不足のもとで高齢者に働き続けることを強制する施策が強められています。貧困率算定の基礎となる可処分所得の中央値は、1997年から2015年の間に52万円も低下しましたが、そのもとでも子どもの7人に一人が貧困ライン以下という深刻な事態は放置されたままでした。

5) 日銀が、400兆円以上の国債を保有して日本株の最大の買い手となり、年金積立金約170兆円を株・債券に運用して株価を維持してきました。国債発行残高は、2019年度末で897兆円となり、安倍政権の規律なき財政運営はとどまるところを知りません。

一方安倍政権のもとで、大企業は内部留保を3割も増加させ、2018年度には449兆円まで累増しました。資産1億円以上の保有者は302万人に増加するなど、格差は広がり続けています。

6) 安倍政権の悪政は、経済政策だけではありません。憲法と立憲主義を壊し、戦争する国に向かう政治を続けてきました。

集団的自衛権行使容認の閣議決定と戦争法・安保法制の強行、共謀罪法などの違憲立法を強行し、憲法への自衛隊の明記を執拗に狙っています。軍事費を累増させ、空母建設や敵地攻撃ミサイルの導入など、「専守防衛」のたてまえさえ投げ捨てる「防衛計画の大綱」を策定し、具体化し始めました。

7) アメリカ・トランプ政権言いなりに、武器の爆買いに多額の税金を投入し、日米FTA交渉に応ずるなど、異常ともいえる対米従属姿勢を強めました。

沖縄県民が繰り返しNOの審判を下し、明確な民意を示されている辺野古への新基地建設を強権的に進め、繰り返される米軍犯罪や事故等に対しても「日米地位協定」にもとづく対応すらせず、在日米軍の無法を放任し続けています。

8) 2015年の国連総会で採択された持続可能な開発目標(SDGs)と真正面から向き合おうとせず、地球温暖化問題への対応では「化石賞」を繰り返し受賞するなど後ろ向きです。2017年に採択された核兵器禁止条約の批准も拒み続けています。

 安倍政権発足時は世界101位であったジェンダーギャップ指数は2019年に121位にまで下がり、ジェンダーフリーをめざす世界的な動きからの遅れは際立っています。

 福島原発事故の国の責任を曖昧にして被害地域への帰還を強制し、原発依存のエネルギー政策をやめない安倍政権の姿勢が、東京電力の損害賠償打ち切りを後押しするなど、原発事故被害者を苦しめ続けています。

9) ウソと偽り、政治の私物化も、安倍政権は極まっています。森友・加計疑惑や、桜を見る会疑惑など首相本人にかかわる数々の疑惑で、公文書の偽造、情報の隠ぺい・改ざん、官僚の虚偽答弁が頻繁に行われました。

 カジノ疑惑や公職選挙法違反の疑いが表面化した閣僚の任命責任を明確にせず、疑惑そのものの解明にも後ろ向きです。

10) 外交面での行き詰まりも極めて深刻です。対ロシア領土交渉では、事実上も「2島返還」の屈辱的妥協で局面打開を図ろうとしましたが、それすら相手にされませんでした。

 北朝鮮との拉致問題での進展の糸口さえつかめず、過去の植民支配に正面から向き合わない安倍政権の姿勢が、日韓関係を最悪においこんでいます。

(4)前進、発展してきた「市民と野党の共闘」

 コロナ危機の対応への批判、検察庁改定法案への怒りの広がりのなか、安倍内閣の支持率も29%(不支持率52%)(「朝日」2020.5.25付)と急落しています。どこからみても、もはや安倍政権を存続させるわけにはいきません。その成否のカギを握るのが野党連合政権構想です。

1) 2015年の戦争法反対のたたかいのなかで始まった「市民と野党の共闘」は、2016年参議院選挙、共闘つぶしの逆風をはねのけた2017年衆議院選挙、その後の国会内での共闘の深化を経て、2019年参議院選挙、同年秋以降の自治体首長選挙、衆議院補欠選挙でさらに発展してきました。

 全国各地で革新懇がその前進、発展に尽力してきました。2017年の総選挙で「希望の党」結成で野党共闘が崩壊の危機に直面しとき、東京、神奈川、愛知をはじめ全国各地の革新懇は、こころある多くの市民とともに、「野党は共闘」の声をあげ、「市民と野党の共闘」を守りました。19年参院選では、山梨、千葉をはじめ各地で革新懇は、市民連合の結成とその活動の推進に積極的な役割を担いました。

2) 一選挙区で一名しか当選しない小選挙区制のもとで、政治を変えたいという市民の願いを結果に結びつけるためにも、「市民と野党の共闘」の前進が必要です。そのことへの期待は、2019年参議院選挙の一人区32の内の29の選挙区で、野党の比例得票の合計数を選挙区の統一候補が獲得した票数が上回ったこと、支持政党なし層はもとより与党支持層の中からも一定割合が野党統一候補に投票したことなどの調査結果からも言えます。

3) 選挙を積み重ねるなかで、野党の共闘が相互支援に前進してきています。

2019年参議院選挙では、日本共産党の候補が3選挙区で統一候補となり、他の選挙区でも野党が互いに支援しあう選挙戦が普通の光景となりました。そのことは、1980年代から長らく続いてきた共産党を除くという反共の壁が、政治の場で壊れつつあることを示しています。

4) 政策面での一致点も大きく前進してきました

戦争法の反対・廃止を求める市民運動に背中を押されて始まった共闘は、2019年参議院選挙では市民連合と5野党会派で確認された13項目の共通政策を一致点にたたかわれました。13項目の内容は、安保法制にとどまらず、憲法、消費税、最低賃金、辺野古基地建設、原発、性差別の課題など、安倍政権の政治の行きづまりに対する対案を提示し、変わる政治の姿を示すものでした。

5) このような野党会派の政策面での一致点の深まりは、安保法制廃止法案や「原発ゼロ基本法案」、被災者生活再建支援法改正法案など多くの法案の共同提案としても結実しています。その積み重ねが、コロナ禍でも大きな力を発揮し、一律10万円給付金の支給を政府に決断させるなどの力となりました。

6) 2019年参議院選挙では、いくつかの選挙区で統一候補との間で、革新懇や賛同団体が政策協定を結んでたたかう状況が広がりました。岩手では、革新懇がよびかけて統一候補と賛同団体の懇談会を実施、各賛同団体と統一候補が政策協定を結んで選挙に取り組みました。滋賀革新懇は、野党各党の代表を招いた「滋賀の野党共通政策意見交換会」を開催して、共通政策に住民の要求を反映させる場をつくりました。

候補者の統一を政策面からもすすめ、補完し、統一して当選をめざす上での力となり、野党共闘に向き合う革新懇運動にも変化を作り出してきました。

7) 国政での「市民と野党の共闘」は、地方政治にも影響を及ぼしています。もともと、沖縄での建白書にもとづくオール沖縄の共闘前進と翁長知事を誕生させた取り組みが、野党共闘の前進に影響しました。

 2019年参議院選挙以降でも、岩手県知事選、埼玉県知事選で野党共闘が前進し、勝利しました。高知県知事選では共産党候補が野党統一候補となり全野党支援に発展し、ました。京都市長選では、共産党、れいわなど政党と町づくりなどの住民運動を担って団体が共同する新しい形態での選挙がたたかわれました。これらのたたかいは、歴史の扉を大きく開く意義を持つものでした。東京では多くの市区長選で「市民と野党の共闘」候補を擁立し、あきる野市では村木市政を実現しました。地方政治でのオール与党体制の変化の兆しとしても注目されます。

8)昨年10月に神戸市で開催した「地域・職場・青年革新懇全国交流会」は、兵庫革新懇、賛同団体の協力のもと、過去最多の2500人が参加しました。交流会では、「野党は共闘」から「野党は連合政権」へ、「市民と野党の共闘」を新しい段階に発展させるのにふさわしい規模と内容となりました。また、ジェンダー平等を主要な課題として位置づけ、岡野八代同志社大教授の全体会発言(代読)、「ジェンダー分科会」は大きな反響を呼びました。

9)今年2月、福島第一原発事故から10年目を迎えるにあたり、あらためて被災地の実相を知り、被災者に寄り添った復興と原発ゼロをめざす運動を発展させようと、福島県で県革新懇、郡山革新懇とともに「原発ゼロをめざすシンポジウム」を計画しましたが、コロナ対策のため中止となりました。しかし、安倍政権が被災者切り捨て政策と原発を推進するなか、福島と連帯した全国の運動はますます重要です。シンポに代わり発行した「資料集」も活用しながら、各地の「再稼働許すな」、原発ゼロの運動をより発展させましょう。

(5)コロナ・パンデミックがより明白にしている安倍政権の反国民性

1) 世界中に一気に広がったコロナウイルスによって、それぞれの国の政府の危機対応力などの差が露見しました。シンガポールとフランスの調査会社が、世界23か国・地域の人々を対象に、それぞれの国の指導者のコロナウイルス対応の評価を尋ねた比較調査では、日本の安倍政権は最下位でした。

2) 対応の遅さでは、オリンピック・パラリンピックの2020年8月開催にこだわってウィルス検査体制の整備や緊急事態宣言の発出が後回しにされ、習近平・中国国家主席の国賓招待に執着した結果、海外からのウィルス侵入をくい止める水際作戦に失敗しました。国民の命、安全よりも政権にとっての政治課題を優先する安倍政権の姿勢が示されました。

3) 科学的根拠や関係者等の意見を反映することもなく、政治的思惑で恣意的に政策を決定し、混乱を拡大する状況も続きました。

法的根拠も科学的な検証もないままな行われた2月末の全国一律の学校休校要請は、その後の緊急事態宣言下でも継続され、多くの地域で3カ月間も子どもは自宅待機となりました。その間の学習権をどう回復するか事後措置を政権としては示さず、現場に「丸投げ」するなど、安倍政権は基本的人権を軽視し続けています。

4) 4月1日に安倍政権は突然、布製マスク2枚を全世帯に配布すると決定しました。総額466億円の予算を伴うこの決定に、医療用マスクやゴーグル、防護服などが不足し、崩壊危機に瀕している医療現場への対策を優先すべきとの批判が高まりました。

 コロナ対策のための補正予算でも、「GO TO キャンペーン」と銘打った感染収束後の経済対策に多額の予算を盛り込む一方で、医療用マスクや防護服の不足など、医療現場への対策やウィルス検査のための予算は少額にとどめました。優先順位を精査せず、感染対策より経済対策という旧来型の政治に埋没する安倍政権が、コロナ危機をより深刻化させています。

5) WHOのパンデミック宣言後に成立した2020年度予算には1円の感染対策も、経済危機対策も盛り込まれませんでした。4月末成立の第一次補正予算でも、休業要請による「損害」への補償は僅かにとどまり、第2次補正が不可避になりました。

危機対応が後手に回る一方で、憲法への緊急事態条項の盛り込みや休業要請での罰則規定の盛り込み、検察庁法改正法案可決を強行しようとするなど、権力の集中、私物化を進める姿勢を露骨に示しています。

6) コロナ感染症に対応する医療体制の不備が明らかになったにも関わらず、公立・公的病院の整理・統合の姿勢は改めない、自ら示したウィルス検査基準の破たんが明らかになっても責任を明確にしない、一律給付金の申請単位を世帯として個人の多様性に対応する構えも気遣いもないなど、安倍政権の無責任体質は極まっています。

7) 危機に便乗して独裁的な権力の集中と、全体主義的な政策運営を行おうとする動きは、世界的に広がっています。それらを「強いリーダーシップ」だとして扇動し迎合する世論や、マスコミの動きも顕著です。安倍政権がめざしてきた立憲主義軽視の政治か、それとも憲法を生かす政治への転換かのせめぎあいは、コロナ禍でも顕著に表れました。

8) コロナウイルス感染への対応に失敗したアメリカ・トランプ大統領は、WHOが中国寄りだとして拠出金停止を通告するなど、国際社会のリーダーの座を自ら放棄し始めています。また、コロナウイルスの通報が遅れたとして中国への報復関税を言い出しています。このようなアメリカの姿勢が中国を刺激し、米中貿易戦争の再度の強まりや、南シナ海での軍事的緊張の高まりとなっています。

 米中の覇権争いがコロナ危機でさらに激化するなかで、アメリカ従属、日米軍事同盟一辺倒という安倍政治の是非が改めて問われることになるのは必至です。

 

Ⅲ、来るべき総選挙の勝利とコロナ禍後をみすえた革新懇運動の課題

(1)  コロナ危機がくらしと経済にかつてない深刻な影響を与えるとともに、これまでの経済的利益優先の社会の歪みが顕在化している今、「三つの共同目標」を正面に掲げ、いのちとくらしを守る共同の取り組みをすすめてきた革新懇が果たす役割はより大きくなっています。

(2) コロナ危機の克服のため、「自粛と一体で補償を」「抜本的な財政出動」を強く求めます。また「緊急事態解除」にむけ、PCR検査体制、医療提供体制の抜本的強化と財政措置を求めます。

政府の外出自粛、休業要請によって、国内の生産活動も、文化・教育も、観光などの余暇の活動も一気に収縮し、雇用とくらし、生業が戦後最大の危機に直面しています。

 医療、介護、保育や運送、小売りなど感染対策の最前線に立ち、社会生活に不可欠な業務を担う労働者、市民は、感染の危機と過重労働におびえながらの活動を続けています。職場でも、家庭生活などでも、ジェンダー視点があらためて切実な課題として浮上しています。

 これらの状況に寄り添い、連帯し、医療など最も困難で緊急性のある分野への国の施策を拡充させ、くらし、生業を維持し、雇用と中小零細企業、事業者の経営、子どもの学習権をまもるため政府の責任を果たすよう求め、これまでの革新懇運動の経験を生かして共同を追求します。学費半額の減免を求める画期的な学生の運動が全国に広がっています。この若い世代の運動に、連帯と支援をよびかけます。これら社会領域の各分野で「私と政治はつながっている」という気づきや「社会を変えたい」という願いが広がっていることに注目し、これらと革新懇運動がつながってゆくことによって、大きな飛躍をとげる可能性が生まれると確信します。

地域住民のいのちと健康、くらし、営業を守るため、地域での住民の要求を取り上げ、自治体当局が積極的な役割を果たすように懇談、申し入れなど尽くします。

コロナ危機はあらためて、世界で例外的に低い「食料自給率」など日本の農業のあり方を問いかけています。日米FTA、農業を大企業のもうけの対象にする安倍「農政改革」に反対し、国民全体の課題として、食の安全、日本の農業を守ります。

福島原発事故10年にあたり、あらためて安倍政権の原発再稼働、原発推進政策に反対し、原発ゼロ・再生可能エネルギーへの転換を求めます。

辺野古新基地建設は、沖縄県民の意思を踏みにじる、自治と民主主義という点からも、軟弱地盤によって建設計画が実現不可能という点からも、ただちに中止・撤回すべきです。沖縄の問題は全国民の問題―という見地から、沖縄県民との連帯をいっそう強めます。

沖縄をはじめすべての米軍基地の撤去、安保条約の廃棄の多数世論の形成をめざします。

核兵器廃絶、気候変動など人類にとって緊急重要課題に取り組みます。コロナ危機後の新しい世界のあり方のなかで、核兵器廃絶、温暖化問題の解決は大きな位置を占めています。

(3) これらの取り組みを積み重ねつつ、安倍政権ではコロナ危機の克服が困難なこと、コロナ危機も市場原理主義が作り出したものであることの世論と共同を広げ、政治の転換をめざす共闘と統一戦線運動の前進につなげましょう。

 その際、昨年10月の全国交流集会でも論議した「革新懇の三つの力(①政策の力(「3つの共同目標」という日本の将来についての政策的展望)、②組織の力(団体、政党、個人が結集する組織力)、③草の根の力(47都道府県革新懇と地域革新懇をはじめ900をこえる組織とそれぞれの共同の歴史))」の発揮を重視します。

(4) 政権が検察官人事にまで介入し、私物化の意図をもって提出された検察庁法改定法案は、国会での立憲野党の奮闘、各界からの批判、コロナ禍でも反対の意思を表明した人々のがんばりで、ついに今国会での採決をストップさせました。数々の疑惑隠しを意図した安倍政権への批判と不満が、一気に噴出した結果です。とりわけ「#検察庁法改正案に抗議します』とのタグをつけたいわゆる「ツイートデモ」が短期間で1千万を超え、国民的大行動となりました。そこに日頃政治的発言をしない著名人が数多く声を挙げ、また検察官幹部OBも反対を申し入れたことは、三権分立という民主主義の根幹を守ろうという一点での共同が実ったものと言え、私たちはここに確信を持ちたいと思います。黒川東京高検検事長は「賭けマージャン」で「辞任」になりましたが、検察庁法改定案と「定年延長閣議決定」を撤回させ、安倍首長の責任をきびしく追及しなければなりません。

これまで沈黙していた人々の政治的発言をコロナ危機という状況が誘引したのかも知れませんが、こうした新たな層にも響く実現可能な対案の提示と共同づくりは、「市民と野党の共闘」をさらに発展させ野党連合政権を実現していくためにも、13項目の共通政策を土台に、コロナ危機で表面化した社会の矛盾を克服するため大変重要です。

(5) 私たちは、コロナ危機を克服した後の社会を構想するうえで、「三つの共同目標」の今日的な意味を再確認します。

 一部の富裕層と大企業に偏った富の配分とそれを強めてきた政治が、コロナ危機をより深刻にしたことをふまえれば、人のくらし本位の富の再配分構造への転換、経済民主化は絶対に必要です。

 政府のコロナ対策が自粛への同調圧力に頼ったものであったことも含め、憲法の基本的人権の実現をめざす政治への転換が共通の要求となる条件は従来以上高まっています。コロナ対策のために軍事費を削減した韓国の例を見ても、コロナ危機のもとでも緊張を高める米中関係からしても、異常なほどの対米従属の是正は政治的な争点となる可能性が強まっています。

新しい社会を構想する場合、大企業優先、アメリカ言いなりの政治からの根本的な転換がさけられません。

 この点の再確認とあわせ、「三つの共同目標」を支持する政治勢力、政党、候補者の比例区での躍進を革新懇として位置付け、賛同団体、地域革新懇それぞれの条件に応じた行動を模索します。

(6) 安倍暴走政治に変わる政治が強権的なリーダーシップによる権力集中の全体主義ではなく、この間の「市民と野党の共闘」のなかでも確認されてきた「憲法にもとづく政治、格差是正の政治、個人の尊厳を尊重する政治」であることを市民的合意としていくことが必要です。

 そのためにも、政策要求への市民要求の反映と要求の一致点での共闘づくり、各小選挙区での「市民と野党の共闘」の受け皿づくりと統一候補の実現に、革新懇としての役割を発揮します。

また、安倍政権の下でさらに進んだ地域社会、経済切り捨て政治からの転換と、持続可能な地域社会を展望するためにも、自治体の役割は改めて重要となっています。コロナ対応の緊急事態宣言下でも明らかになったように、行政実施主体としての自治体とその首長の役割は決定的です。「市民と野党の共闘」の追求のなかで、さまざまな関係を深めた首長がコロナ対策をはじめ住民要求を積極的に取り上げる動きも各地でうまれています。国政段階の「市民と野党の共闘」の前進も梃子(テコ)に、自治体段階での共闘の前進、統一候補の実現、勝利に革新懇としても尽力します。

さしあたって沖縄県議選での「オール沖縄」の勝利と「3つの共同目標」勢力の躍進をめざします。

7月の東京都知事選が「市民と野党の共闘」の統一候補でたたかい、勝利するために、東京の広範な市民・民主団体と協力して、力を尽くします。

大阪維新の会がすすめる「大阪都構想」に反対し、大阪市解体阻止の共同をすすめ、自治破壊を許しません。安倍政治と連携し、憲法改悪をはじめ、危険極まりない「突撃隊」になっている維新を批判し、孤立化させてゆくことは重要な課題になっています。

また野党連合による連立政権の実現を展望するなら、それを草の根から守り連携する地方自治体の存在が不可欠です。憲法と地方自治を守る地方政治の確立へ全力を尽くします。

(7) すべての都道府県をはじめ、小選挙区、地方・地域で、市民、団体と話し合い、野党連立政権の実現もめざした運動と地域革新懇の結成を全国革新懇として位置付けて取り組みます。

 次の総選挙に向け、多くの市民、市民連合と連携を強めながら、小選挙区で「市民と野党」の共通政策づくりと、それを実現する政権確立にむけた統一候補の実現、実現した統一候補との政策協定を賛同団体レベルまで広げることを追求します。

実現した統一候補の勝利をめざし、選挙の一翼を担って奮闘します。

 

Ⅳ、革新懇運動と組織づくり

 革新懇運動が「市民と野党の共闘」の発展に積極的な役割を果たすことができた大きな要因のひとつは、賛同団体の活躍とともに、全国各地の草の根に、地域、職場、青年革新懇組織が存在したことがあります。現在、47都道府県すべてに革新懇県組織があり、さらに699地域、141職場、26青年の計866革新懇と11地域、5青年の計16革新懇準備会、総計929革新懇が草の根で活躍し、「全国革新懇ニュース」は29,958部(5月23日現在)となっています。

(1)革新懇の役割 「市民と野党の共闘」を発展させる

≪三つの力とふたつの任務≫

いま野党連合政権をかかげた本気の「市民と野党の共闘」を実現するために、革新懇運動が「確固とした展望をもった統一戦線運動の推進力」としての役割を発揮することが強く期待されています。そのために全国革新懇は、革新懇運動の三つの力(P12参照)を発揮しようと、よびかけてきました。

革新懇運動は、発足以来、①現実の国政の焦点をはじめ、各分野、地域要求の実現に全力を尽くしながら、一致する課題での共闘を守り、「市民と野党の共闘」を発展させるとともに、②「国民が主人公」の政府をつくることを展望し、生活向上、民主主義、平和の「3つの共同目標」の合意をひろげることを独自に追求する――を、ふたつの任務としています。この「三つの力」を持ち、「ふたつの任務」を追求するからこそ革新懇が統一戦線運動の推進力の役割を担えるのです。

≪革新懇運動とは何か 賛同団体の役割≫

・全国革新懇はくりかえし、「一点共闘」の運動や「市民と野党の共闘」の発展というあたらしい情勢のなかで、革新懇運動をどうとらえるか、が重要だと強調してきました。革新懇運動を、全労連、新婦人、全商連、民医連、農民連、民青同盟など賛同団体、日本共産党、都道府県革新懇、地域・職場・青年革新懇、会員個人の運動の総体、全体としてとらえることが大切です。こうしてこそ、革新懇の持つ力がわかり、国民のたたかいのなかで果たしている役割をしっかりつかむことができます。この見地は、革新懇が国民的共同を発展させ、安倍政治を終わらせ、戦争法廃止の政府、さらに「国民が主人公」の政府を実現する統一戦線運動を担うため大切になっています。

・賛同団体の役割として以下のような役割が期待されます。

 ①各団体が大きくなり、各分野で統一戦線を求める影響力を高める。

 ②一点共闘、「市民と野党の共闘」、野党共闘の選挙闘争のなかで積極的な役割を果たす。

 ③革新懇運動の意義を団体のなかにひろげ、革新懇運動や事務局体制の確立、財政、地域革新懇結成などに積極的に参加する。

(2)すべての自治体に革新懇をつくり、本気で「全国革新懇ニュース」の普及へ力を尽くそう

≪都道府県革新懇 事務室(局)体制の拡充 専任化の追求≫

革新懇運動を今日の情勢にふさわしく発展させてゆくうえで都道府県革新懇の果たす役割は重要です。都道府県の政治動向、地方政治分析、選挙闘争への参画、各分野の運動全体を視野に入れた議論と活動をすすめるとともに「市民と野党の共闘」の発展、「市民連合」との連携・協力、地域・職場・青年革新懇の活動交流、賛同団体との懇談などを担います。「団体、政党、個人」が結集する革新懇の力が発揮できるように代表世話人会での充実した議論、事務室(局)体制の拡充と事務室(局)長の専任化を追求しましょう。世話人など役員、事務室(局)員など積極的に女性と現役世代・若者に活躍してもらうように努力しましょう。

都道府県革新懇ニュースに、その地方の各界の著名人が登場し、対話と共同をひろげ、「市民と野党の共闘」を発展させるうえでも、大きな役割を果たしているのも、大切な活動として注目されています。

 地域・職場・青年革新懇、賛同団体の力を合わせて革新懇運動を発展させるため、東京、神奈川、大阪、香川など各地でひろがっている「活動交流会」「事務局長会議」をそれぞれの条件に応じて開催しましょう。

 全国革新懇は都道府県革新懇事務室(局)長の全国会議やブロック会議の開催を追求します。

≪地域に網の目のように革新懇を すべての自治体・行政区(さらに校区革新懇を)≫

革新懇運動は、「地域が主戦場」と位置づけ、とくに地域革新懇の活動を重視してきました。地域でこそくらし、営業、医療・介護、教育、子育て、交通・住宅、環境など多面的な分野で、自民政治との矛盾が全面的にかつ深刻に表れ、そこでこそ待ったなしの切実な要求の実現を求める声が渦巻き、運動が生まれ、政治を変える力が蓄積されるからです。国政選挙をたたかうのも、憲法署名をすすめるのも、その宣伝・組織活動の主舞台は、地域です。コロナ危機にさいしても、「市長にコロナ対策の充実を要請」(山形・西置賜革新懇)、「地域の23の中小業者を訪問し要望を聞き取り」(新潟・大江山革新懇)、「市の感染症対策本部と懇談・要請」(福岡・福津革新懇)など、各地で取り組まれています。国政のどの課題でも、どんな地域要求も取り上げることができ、政治を変えることと結んで、共同をひろげてゆく、「カナメ」「架け橋」の役割を担う革新懇運動はいよいよ重要です。

地域の統一戦線運動のカナメ、架け橋として、「市民と野党の共闘」を支え、地域の要求を実現し、地域から政治を変える地域革新懇を1900余すべての自治体・行政区に網の目のように結成しましょう。さらに横浜市や香川・高松市などで取り組まれている校区革新懇など、いっそう地域に密着した革新懇つくりをすすめましょう。国政の焦点とともに地域の多彩な要求・関心事に応え、地域に根を張った豊かな多数派を形成しましょう。思想・信条、支持政党の違いを超えて、懇談を大切にし、一致する要求で、多彩な活動を重ねてきた革新懇運動をさらに豊かに発展させましょう。

活発な活動をしている革新懇の教訓は、くりかえし明らかにされています。①地域要求、国政課題をふたつの柱にして取り組む②一つひとつの企画のなかで、新しい人とのつながりを追求する③多様な共同行動、共同組織と協力・連携する―が意識的に追求されています。また実際の運営や活動では、①事務室(局)長の専任化と事務室(局)、財政体制の確立②会議の定例化③企画・行動(要求と関心事)の具体化④身近な地域ニュース発行と「全国革新懇ニュース」の普及―が共通しています。

≪コロナ危機のもと、職場革新懇運動の可能性を追求し、引き継いでいきましょう≫

いまコロナ危機下の労働の現場には、これまでにない状況が生まれています。多くの職場で「テレワーク」の大合唱のもと働き方が変わっています。このなかで労働強化、孤立、賃下げ、雇止め、失業の危機に直面しています。一方で医療・介護をはじめ日々のくらし、社会を支える労働の値打ちに改めて光があてられています。またコロナ危機が、憲法をじゅうりんし、政治を私物化してきた安倍政治の「無能ぶり」が誰の目にもわかりやすくなっているもとで、「政治とくらしは直結している」と労働者の政治への関心も強くなっているのではないでしょうか。政治を話題にすること自体が難しくなっているといわれている職場で、要求と政治について、取り上げ、発信していく職場革新懇運動の新たな可能性を追求しましょう。

職場革新懇には、独自の困難があり、いま多くのところでOBが中心になっています。しかし職場革新懇運動は、労働組合の違いを超え、非組合員も管理職も、正規も非正規も、現職も退職者も、誰でも参加できる特徴があります。職場革新懇運動の可能性を追求し、引き継いでいきましょう。

《すべての都道府県で青年革新懇の結成を》

現在、青年革新懇は結成26、準備会で5つの地域でつくられています。

神戸市で「憲法カフェ」に取り組んできた青年が中心となって、革新懇全国交流会の青年分科会を大きく成功させ、これをきっかけに兵庫県として初の青年革新懇が誕生しました。青年ネットAICHIは昨年の参院選挙を前に「選挙に行くこと、投票先に悩む青年」へ向けて、人気ユーチューバーと芥川賞作家が憲法や民主主義を語るトークベントを開催し、450人が参加しました。虹色@ピースフレンズ(神奈川)は「フツーに生きさせろパレード」をハロウィンに実施し、平和とくらしの向上を訴えました。

日々の情報交換や運動の働きかけ、コロナ感染対策としてもツイッターやラインなどSNSの活用が進んでいます。同時に、集まって話し合うことを大切にし、HOME-はんなり(京都)、ミーティングサカイ(堺)などでも毎月の定例会議を重視し、なんでも語り合える「青年の居場所」としての役割を発揮しています。

青年革新懇の新結成や、活動の継続と発展は、都道府県革新懇や地域革新懇の支援が力になっています。また、青年とベテランの交流の場を持つこと、運動に共同で取り組むことで理解を深め合っています。すべての都道府県で青年革新懇の結成をめざしましょう。

≪5万部の「全国革新懇ニュース」を 減紙を克服し、さしあたり3万部の回復、数千部規模の前進を≫

幅広い有識者と懇談・交流し、「市民と野党の共闘」を一貫して追求してきた「全国革新懇ニュース」は、革新懇運動を知っていただき、ひろげる最良のツールです。また「全国革新懇ニュース」読者網を軸に、革新懇組織が地域に多面的に根をはることができます。

2016年全国総会で念願の3万部を突破し、それ以後、3万部をこえた最高の峰を維持してきましたが、現在(5月23日現在)、29958部と3万部を割り込み、後退しました。この間、多くの革新懇組織、賛同団体の努力と協力をいただきましたが、読者の高齢化・病気・死去、賛同団体の構成員減にともなう減紙を克服することができず、残念な後退となりました。また大きな要因のひとつとして、革新懇組織そのものの休止・開店休業がうまれ、配達・集金体制が支えられなくなり、まとまった部数の減紙が生まれる例も少なくありません。この点で、「全国革新懇ニュース」は革新懇の運動と組織の状況を測るバロメーターともなっています。

いま革新懇の出番というときに、こうした現状に甘んじるわけにはいきません。情勢は、「全国革新懇ニュース」のいっそうの普及を求めています。私たちの活動の改善と意識的追求で、普及できる条件は大きく広がっていると確信します。

実際、昨年の総会「報告と問題提起」でも紹介しましたが、香川県革新懇は7年間で177部を555部に3倍化したのをはじめ、宮城・多賀城革新懇、神奈川・小田原革新懇、新潟・三条革新懇、大阪・交野革新懇など多くの革新懇では5年、10年の間に読者を倍加、3倍化しています。「全国革新懇ニュース」を増やしている地域革新懇は、「市民と野党の共闘」の発展に尽力するとともに、共通して地域要求実現の取り組みとニュース普及の独自追求をすすめています。また革新懇組織を新結成することが、部数拡大の最大の要因にもなっています。いま会則で、「全国革新懇ニュース」購読を明記している革新懇も増えていますが、革新懇会員、賛同団体構成員に積極的に購読を呼びかけましょう。

全国革新懇の代表世話人会、常任世話人会、事務室もそれぞれの条件を生かし、革新づくり、「全国革新懇ニュース」の普及に力を尽くします。

《情報発信とオンラインツールの活用を》

・ホームページを充実し、各地の動きと情報を共有化し、運動を推進するためFAX(MAIL)ニュースの発行を引き続き重視し、おこないます。これまで交流のなかったいっそう広範な人たちに革新懇の存在を知ってもらうためにSNSでの発信を今まで以上におこないます。

・コロナ感染拡大防止のためにひろく使われたオンラインツール(LINE 、Zoomなど)を私たちの運動を一回り大きくするためのツールにしていく努力をします。

≪革新懇運動40年―歴史を学び、確信をもって前進しましょう≫

・革新懇運動が生まれて40年。統一戦線運動の新しい段階を迎え、都道府県、各地域で取り組まれてきた革新懇運動の歩みから学びましょう。

・全国革新懇発足40周年を記念した講演会、事業等をおこないます。

≪2021年秋の全国交流会in神奈川を成功させましょう≫

・2021年秋に神奈川県で開催する「地域・職場・青年革新懇全国交流会in神奈川」(仮称)を大きく成功させましょう。

 ・全国革新懇は、全国交流会やブロック別の交流会、事務室長会議を開催し、また各地での自主的な交流、都道府県革新懇が主催する交流学習会などを通じて、経験を交流し、学び合い、運動をすすめてきました。各地の条件に応じて、交流をすすめ、励まし合いながら革新懇運動を発展させましょう。

 

 革新懇組織、賛同団体のみなさん。

 いままだコロナ危機が克服されず、感染拡大防止のための取り組みは長期にわたると考えられます。お互いのいのちと健康を守ることに最大限の努力をしつつ、国民と地域住民のいのちと健康、くらしと営業をはじめ、教育、文化、権利を守るための活動、コロナ危機を悪用した安倍改憲を許さないたたかいに力を尽くしましょう。そのなかで「こんな社会でいいのか」「新しい社会をつくろう」の国民的な議論を巻き起こし、憲法が花開く希望ある新しい政治への道を切り拓きましょう。

 

「年間方針」付属文書

 

革新懇組織の拡大・革新懇運動の促進

 

1、革新懇の結成、活動強化

 第39回総会(2019年5月18日)以来、全国で4つの地域革新懇と、1つの青年革新懇が結成されました 。

 新たに革新懇が生まれた地域は、川崎市の幸区革新懇、滋賀県の高島革新懇、神奈川県の藤沢革新懇、神戸市中央区の青年革新懇チームアンカー、香川県の高松市南部地域革新懇です(結成順)。2020年5月12日現在の結成数は、地域革新懇699、職場141、青年26です。幸区革新懇は結成総会で矢野裕元狛江市長の講演を開き地域から「市民と野党の共闘」を広げる革新懇の役割を学習しました。幸区での結成で川崎市の7行政区すべてに地域革新懇ができました。高島革新懇は18年から6回の相談会を重ね結成しました。餐庭野日米共同訓練反対、脱原発で共同を広げています。藤沢革新懇は、「市民と野党の共闘」を地域から発展させるためにも「いまこそ革新懇の出番」と結成。会員と「全国革新懇ニュース」読者を100人以上確立して結成しました。兵庫県初の青年革新懇誕生となった神戸市中央区青年革新懇「チームアンカー」は、憲法カフェを行ってきた若者が革新懇全国交流会の青年分科会、懇親会を大きく成功させ、「学び、楽しみ、つながる」を運動方針にかかげ結成。港町神戸にちなんだ「アンカー(碇)」は青年の支え、拠り所にと思いを込めて命名。結成直後に実施された京都市長選挙にも応援に駆けつけました。高松南部地域革新懇は、地元病院の縮小を許さない運動のなかで、声を上げ、政治を変えようと結成されました。高松市内で9つめの革新懇となりました。

 革新懇準備会は4つの地域で新たに発足しました。千葉県大網白里市、名古屋市昭和区、東京都福生市、大阪府交野市では青年革新懇の結成が準備されています。この内、コロナ危機の影響で昭和区、福生市、交野青年が結成総会延期を余儀なくされましたが、福生革新懇準備会は「準備会ニュース」を創刊、交野青年は規約案、入会申込書を作成するなど新結成へ向けて運動を継続しています。

 職場革新懇の活動について、「年間方針」では「職場で、要求と政治について、取り上げ、発信していく職場革新懇運動の新たな可能性を追求しましょう」と呼びかけています。大阪損保革新懇は、昨年参院選公示日に、損保会社前で出勤する社員へ「参議院選挙・損保政策ニュース」を300人以上に配布。カジノ問題、維新政治も問うこのニュースは6000部印刷され損保労働者を中心に広く働きかけました。東京・西武革新懇は23年間の活動のあゆみをまとめたスライドを作成、総会で上映しました。西武鉄道92駅巡回宣伝は60回を超え、あいおい損保、全日空職場革新懇との合同宣伝行動も継続しています。東京・あいおい損保革新懇は、総会で「過労死ゼロ社会に向けてなにができるか」をテーマに学習し、長時間労働・ハラスメント・過労(自)死のない人間優先の職場をめざそうと運動方針を採択しました。公務労働の職場革新懇では、大阪・憲法を行政に生かす財務の会は、「森友問題を終わらすことはできない」と、会のアピールを財務省、近畿財務局、労働組合へ届け、庁舎前での職員へのビラ配布を行い、引き続き行動しています。憲法を行政に生かすあいちフォーラムが「働き方」を考える講演会、岡山国公革新懇は「学びカフェ」で地場産業と教育について交流するなど多彩なテーマを取り上げています。みえ教職員懇話会は5団体共同で三重県教育委員会へ「県教育委による自衛隊員募集」に抗議、中止の要請と交渉を行いました。昨年の全国交流会の職場交流会は「安心して働ける職場と社会を―働き方改革と革新懇運動」をテーマに、90人が参加。日本金属製造情報通信労組の生熊茂実顧問の提起、4人の報告者が職場の実態の告発、運動を参加者と交流しました。全国革新懇の牧野富夫代表世話人が「労働組合の要求運動と、国民が主人公の政治を目指す革新懇運動が二人三脚を」と結びました。

 コロナ危機が浮き彫りにした、社会の分断、格差と貧困、働き方、性差別、教育、国際社会の一員としての日本のあり方などの諸課題は、若者の要求に直結しています。戦争法廃止とともに自治体へ就学援助拡充を要請してきた神奈川の虹色@ピースフレンズ(パパママ青年革新懇)は、10月の「フツーに生きさせろデモ」で独自につくったコールで「いいじゃん、平和、学費無料、賃金向上、表現の自由」と訴えました。「年間方針」でも触れた、青年ネットAICHIの対談トークのサブタイトルは「NOバッシング、NOマウンティング」。若者に持ち込まれている分断と孤立が排外・差別主義を招いていることが強調され、平和、民主主義とともに沖縄新基地問題、ジェンダー平等についても考え合う場となりました。同青年革新懇は、連続学習会を実施し、学習会「パレスチナから見た世界」で中東派兵問題、米覇権主義についても学びました。昨年結成5周年を迎えた京都・HOME-はんなりの共同代表は「いろいろな青年と交流し、誰でもいつでも参加できる場所になりたい」と語ります。結成以来、毎月の定例会と懇親会を欠かさず、冨田宏治関西学院大教授、高山佳奈子京大教授の「憲法ビッグ対談」、若者街頭アンケートなどに取り組むとともに、原水禁世界大会参加の仲間への激励、定期的な釣り企画、オリジナルソング制作など創意工夫を凝らし仲間の輪を広げています。

 

2、全国革新懇ニュースの普及

〇「全国革新懇ニュース」は前回総会(2019年5月)以降、各界から二平章(JCFU全国沿岸漁民連絡協議会事務局長)、浜矩子(同志社大学大学院教授)、藤田孝典(ソーシャルワーカー)、橘ジュン(NPO法人BONDプロジェクト代表)、玉城デニー(沖縄県知事)、加藤圭木(歴史学者)、望月衣塑子(東京新聞社会部記者)、長浜悠(薬剤師)、丸川楠美(漫画家)、鈴木浩(福島県復興ビジョン検討委員会元座長)、三成美保(奈良女子大学教授)、五十嵐仁(法政大学名誉教授)、永山利和(元日本大学教授)、中尾みゆう(高校2年生・腹話術師)、郷原信郎(元特捜検事・弁護士)の各氏が登場しました。

また、菅原文子(おひさまファーム竜土自然農園取締役)、池田香代子(ドイツ文学翻訳家)、糀谷陽子(全日本教職員組合中央執行委員・教育国民運動部長)、石川康宏(神戸女学院大学教授)、諏訪哲史(作家)、高田健(総がかり行動実行委共同代表)、広渡清吾(市民連合よびかけ人)、福井雅英(滋賀県立大教授)、渡辺武(元大阪城天守閣館長)、久保貴裕(自治労連・地方自治問題研究機構主任研究員)、伊東達也(原発問題住民運動全国連絡センター筆頭代表委員)、武田砂鉄(ライター)、川﨑美榮子(大阪保険医協会副理事長・伝法高見診療所医師)の各氏の各分野からの寄稿を掲載しました。

2019年度は参院選を土台に共闘を発展させようと奮闘した全国各地の取り組みと、高知県知事選、京都市長選、東京・八王子市長選への支援の模様を伝えました。兵庫で開催した「地域・職場・青年革新懇全国交流会」に寄せられた岡野八代(同志社大学教授)の特別発言(要旨)の掲載に大きな反響が寄せられました。運動の工夫や意気高い活動に焦点をあてる革新懇ルポで、三重・鈴鹿、大阪・堺、神奈川・藤沢の各革新懇を紹介しています。

〇毎号、読者から多くの感想が寄せられています。「1面インタビューが好きです。様々な分野の方々が自分の経験から出た言葉を語っています。みなさんの顔がとても素敵です」(金沢・女性)、「全国各地で様々な取り組みを行う革新懇のみなさんの様子がよくわかる」(宮城・男性)、「記事を読んで実態を初めて知ることもある。勉強になる」(神奈川・男性)、「政党や労働組合と違う視点で情勢をみようと思い最近読み始めた初心者です」(山形・男性)。『書評』欄に「読んでみたい。孫にプレゼントしよう」(長野・女性)、『思い出の食事』欄への寄稿者へ「懐かしい方に会えた」(京都・男性)と人とのつながりが広がります。

〇「全国革新懇ニュース」は2万9958部が購読されています(5月23日現在)。前回総会以降、多くの地域で革新懇組織、賛同団体、会員の努力をしていただきました。神奈川15部、兵庫25部、香川38部などの増紙がありましたが、前回総会時より448部の減紙となりました。この原因について、「年間方針」は「読者の高齢化・病気・死去、賛同団体の構成員減にともなう減紙を克服することができず、残念な後退となりました。また大きな要因のひとつとして、革新懇組織そのものの休止・開店休業がうまれ、配達・集金体制が支えられなくなり、まとまった部数の減紙が生まれる例も少なくありません。この点で、『全国革新懇ニュース』は革新懇の運動と組織の状況を測るバロメーターともなっています」と指摘しています。

増紙した県の取り組みを紹介すると、兵庫県は「地域・職場・青年革新懇全国交流会」の開催を好機と歓迎し、読者を広げようと尼崎革新懇が20部、ほかの兵庫県下地域革新懇増紙を増紙しました。

新結成と結び読者を広げた神戸中央区青年革新懇「チームアンカー」は10人、滋賀・高島市革新懇は17人が購読しています。東京・福生革新懇準備会は33部を普及し結成にむけて奮闘中です。千葉・松戸革新懇は「松戸革新懇ニュース」インタビューへの登場者などに購読を呼びかけて読者を広げました。東京革新懇は都内の地域革新懇に読者拡大を呼びかけ、宣伝紙(4月号)4000部を注文し、22部普及しています。北海道・えべつ革新懇、東京・日野革新懇、東京・大田革新懇、兵庫・垂水革新懇などは継続的に読者を増やしています。どこでも意識的に追求されていることが共通しています。

〇革新懇運動を知ってもらう資材や教材として活用されています。和歌山・橋本革新懇は再開をめざし4部増やしました。千葉・大網白里市では準備会発足にさきがけ、30人に購読を広げました。神奈川・藤沢革新懇は読者100人が結成の目標に掲げて実現しました。宮城革新懇は「全国革新懇ニュース」の魅力を知ろうと学習講演会を開催しました。兵庫・芦屋革新懇は毎月読む会を開き、神奈川・はだの革新懇は「ジェンダー問題」学習交流会の教材にしました。

 

3、出版物の発行と普及

 全国革新懇はこの1年間、『第39回総会記録集』(19年6月)、『地域・職場・青年革新懇全国交流会in兵庫2019記録集』(19年12月)、『福島シンポ資料集―本当の復興と原発ゼロをめざして』(20年4月)を発行しました。『第39回総会記録集』は1年間の活動の提案を掲載、活動の指針として普及しました。『全国交流会in兵庫2019記録集』は全国交流会に初めて設けたジェンダー分科会に先立つ同志社大学の岡野八代さんの特別発言の全文を掲載し、「胸にストンと落ちた」「すばらしい発言」など革新懇のなかにもジェンダー平等への運動が大きくなっていることが伺えます。『福島シンポ資料集』はコロナ感染拡大防止で中止を余儀なくされた「2.29福島シンポ」にむけて準備いただいた原稿・資料等を収録したもので、コロナ禍であっても、あの原発過酷事故を忘れず、被災者に寄り添い、「真の復興」に向けての連帯のために普及を進めています。

 各地では神奈川革新懇が神奈川革新懇40周年記念事業として、野党連合政権実現、統一戦線運動の前進のために、神奈川革新懇ニュース1面でインタビューした74人の記事をまとめた「ひらく未来」を発行(20年4月)しました。和歌山県革新懇は安保県民会議と共催の連帯ツアー「石垣・与那国平和の旅」の参加者感想を1冊の冊子にまとめました。自衛隊基地が配備されつつある沖縄西南諸島の問題点、戦争マラリアのこと、美しい自然と文化について参加者が沖縄に心を寄せながら書いた冊子となっています。

 

 

 

 

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