全国革新懇第44回総会「報告と提案」

2025年5月24日

全国革新懇第44回総会

【はじめに】

(1) 2025年1月に発足した第2次米・トランプ政権は、アメリカの外交・安全保障、貿易ルール、移民政策などを大きく転換しました。これに日本政府が追従しており、悪影響が国内経済と市民生活に及ぶことへの懸念が高まっています。

 2027年度までに軍事費をGDP比2%に引き上げることを「聖域化」し、27年度以降のさらなる軍事費負担をトランプ政権に「約束」し、台湾有事の際に「自衛隊が最前線に立つ」ことを求められても異議を申し立てないなど、アメリカ政府言いなりに軍事優先の政治を加速させる動きが顕著です。

 日米安保体制への疑問が広がるなどの変化が出始めた世論に働きかけ、日米安保条約の危険性、問題点を伝えることは今の課題です。

(2) 物価の上昇が25年4月までの44カ月間も連続しています。コメなどの生活関連用品が値上がりし、24年のエンゲル係数は28.3%(2人世帯)と41年ぶりの高水準となり、低所得層のくらしにより大きな痛みを強いています。

 実質賃金は、25年に入3カ月連続してマイナスとなり、マクロ経済スライド実施による年金の目減りや税・社会保障の負担増、大学授業料の引き上げなどがくらしに大きくのしかかっています。日本での資産、所得ともの格差はOECD平均より大きく、安倍政権以降により拡大しました。

 大企業や富裕層に富を偏在させる政治から、富の再配分機能を強化する政治への転換を迫る運動が求められています。

(3) 2014年7月の集団的自衛権行使容認の閣議決定からの10年余で、自衛隊の「軍隊」化と日米の軍事的一体化が加速しました。

 2015年9月の「戦争法(安保法制)」の強行、2022年12月の安保3文書の閣議決定と、それを具体化する5年間43兆円の大軍拡予算で、他国攻撃可能な装備、態勢の整備が一気に進み、台湾有事の際に南西諸島から住民などの避難計画を政府が立案するところまできました。

 また、能動的サイバー攻撃防御法案、日本学術会議「特殊法人化」法案など、様々な分野に国が権力的に介入する仕組みづくりも進められました。

 戦争する国づくりストップの運動を広げ、憲法の平和原則をいかす政治への転換が急がれる状況です。

(4) 総選挙での審判にもかかわらず、自民党は「政治とカネ」問題への反省も、是正の姿勢も示さない上に、企業・団体献金の禁止には否定的です。その自民党に一部野党が助け舟を出す状況です。

 自公政権が、物価高への有効な対応策を打ち出せないもとで、消費税減税が現実的な課題となり、その実現のための財源問題が大きな争点に浮上しています。

 国債発行による負担の先送りや社会保障費削減など庶民への犠牲転嫁ではなく、税制の民主的改革による恒久減税を展望した取り組みが求められています。

(5) 6月22日投票で東京都議会議員選挙が、7月には参議院議員選挙がたたかわれ、衆議院解散、総選挙実施の風も吹き始めています。横浜市長選挙(8月)、茨城県知事選挙(9月)、宮城県知事選挙(11月)、広島県知事選挙(11月)など、国政に影響する自治体首長選挙も予定されています。自民党政治を大本から変える力となる「3つの共同目標」での統一戦線運動を前進させるチャンスの時です。

 くらし、民主主義、平和の要求の一致点での様々な共闘を選挙とも結んだ前進、発展を確認し、政治を変える統一戦線運動の担い手である革新懇運動を飛躍させる決意を固める総会として成功させましょう。

 各革新懇、賛同団体の積極的な論議を呼びかけます。

【1年間の取り組みの特徴】

 全国革新懇は、本総会を47都道府県革新懇、566地域革新懇、76職場革新懇と19青年革新懇、21準備会の729革新懇で迎えました。

 この1年間の大きな取り組みは、2024年11月30日から12月1日にかけて開催した「地域・職場・青年革新懇全国交流会in京都」でした。1日目の全体会を31都道府県・558人、2日目の分散・分科会を275人の参加で成功させました。「総選挙後、モヤモヤした気分だったが、要求運動を統一戦線運動につなぐ受け皿としての革新懇運動を知り元気が出た」などの感想が寄せられ、要求と政治のかけ橋としての革新懇の役割を再確認し、その後の各革新懇での取り組みが進められています。

 

1 あらゆる戦争に反対し、平和な世界を求めて各地で奮闘

(1) ロシアのウクライナ侵略から3年目となる2月24日などを中心に、ロシアのウクライナからの撤退、即時停戦を求め、国際法と数次の国連決議の履行をと声を上げ続けました。

 総がかり行動実行委員会とさよなら原発1000万人アクションが共催した東京・日比谷野外音楽堂での集会や、兵庫・はりまなか革新懇でのスタンディング行動などの取り組みがおこなわれました。

 イスラエルのパレスチナ・ガザへのジェノサイドに反対し、撤退を求めて北海道革新懇は継続した取り組みを行っています。「全国革新懇ニュース」2024年10月号で「北海道パレスチナ医療奉仕団」・猫塚義夫団長のインタビューを掲載し、国際世論と連帯した取り組みの重要性を呼びかけました。

(2) 日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が、被爆者の核兵器廃絶を求める粘り強い取り組みを評価され、2024年のノーベル平和賞を受賞しました。これも機に、この受賞を祝い、日本政府に核兵器禁止条約の批准や2025年3月の核兵器禁止条約締結国会議への参加を日本政府に迫る取り組みが、長崎県革新懇や革新・愛知の会、東京・大田区革新懇などで取り組まれました。ロシアなどが核兵器使用をも辞さない姿勢を示すもとでの被団協のノーベル賞受賞の意義を伝える重要な取り組みとなりました。

 

2 大軍拡と軍拡のための増税、改憲発議、戦争する国づくりに反対する取り組み

(1) 大軍拡が進行し、くらしや地域への影響が見え始め、全国各地で通年の取り組みが行われました。

 沖縄・名護市辺野古沖での米軍基地建設と南西諸島の「要塞化」反対の取り組みに連帯する「沖縄ツアー(24年11月、25年4月)」を安保破棄中央実行委員会と共催で実施しました。東京・品川革新懇では沖縄県副知事の講演会が取り組まれました。

 沖縄で相次いだ米兵による性犯罪とその事実を隠ぺいした日本政府に抗議する「沖縄県民集会」(2024年12月)に連帯し、長崎県革新懇、大阪・寝屋川革新懇など各地で宣伝、スタンディング行動などが行われました。

(2) 総がかり行動実行委員会がよびかけた「大軍拡反対請願署名」を軸に、宮城革新懇での定例宣伝、京都革新懇での平和宣伝行動、茨城革新懇の集会・パレードなどが各地で旺盛に取り組まれました。東京・足立革新懇の署名・宣伝行動には通りすがりの高校生が宣伝に飛び入り参加しました。

 長距離ミサイルを大量に保有する弾薬庫建設計画が明らかになり、建設反対の取り組みが、京都、奈良、大阪革新懇の現地見学(京都・祝園)、大分県革新懇での共同した集会(大分市・敷戸)が行われています。

 また、ヒロシマ革新懇での「日鉄呉跡地問題を考える学習交流会」、奈良革新懇の「自衛隊名簿提供違憲訴訟」なども取り組まれました。

(3) 憲法への緊急事態条項創設や自衛隊を明記する改憲発議の動きが国会の中で強まるもとで、5月3日や11月3日の憲法集会を中心に、「憲法守れ、生かせ」と全国で取り組みが行われました。東京や大阪、兵庫では、大規模な共同の集会が開催され、神奈川・厚木革新懇は宣伝行動に取り組みました。各地で、「3の日行動」や「19日行動」、「9の日宣伝」行動が継続的に取り組まれました。

 これらが、2024年秋の総選挙での国会での改憲勢力3分の2割れという結果につながり、改憲の足を止める力となりました。

(4) 昨年7月24日に、東京都千代田区の「明治大学グローバルホール」で、「いま東アジアの『平和の準備』をどう進めるか」と題したシンポジウムを開催しました。安保破棄中央実行委員会、日本原水協、平和委員会との4者で実行委員会を結成して行ったシンポジウムには、会場参加・78人、全国でのYouTubeの同時視聴・201人で一週間でのYouTube視聴回数が3876回と一定の反響がありました。

 この課題での運動の全国的な広がりをつくることも目的に、福岡県革新懇の協力を得て、5月17日(土)午後に、福岡市内の「福岡国際会議場」で「東アジアでの平和の準備をin福岡」を開催しました。

 

3 くらしの改善要求、身近な要求運動での共闘に奮闘

(1) 物価高のもとで、くらし改善の要求にもとづくたたかいが様々に展開されました。

 学校給食無償化を求める自治体要請などに東京・西東京革新懇など各地で取り組まれ、前進を勝ち取っています。農業基本法改定課題も含め農民連のたたかいと連携した米、農業問題での学習会が高知県革新懇などで開催されました。

 健康保険証廃止反対の取り組みが継続され、革新の会しがはニュースでの宣伝を強め、宮城革新懇は市民集会に参加しました。全商連などと連携して消費税減税、インボイス制度廃止を求めて「3.13重税反対行動」などが各地で取り組まれ、埼玉県議会などでのインボイス制度廃止の意見書採択を勝ち取っています。

(2) 政府の第7次エネルギー基本計画策定の動きに対抗し、大阪・寝屋川革新懇や東京・府中革新懇などで原発ゼロ社会を求める行動、集会が取り組まれました。

 ふくしま復興共同センター、福島県革新懇との共催で、「いっしょに考えよう福島で 原発事故から14年」のシンポジウムを5月18日(日)に福島県二本松市の「安達文化ホール」で開催しました。

(3) 大阪・関西万博の危険性を伝え、小・中・高校生の「遠足動員」に反対する取り組みが大阪・羽曳野革新懇や吹田革新懇、兵庫革新懇など関西各府県を中心に繰り返し取り組まれました。

 自治体の役割などを問う「市政懇話会」や自治体との懇談会、要請行動が、千葉・船橋革新懇、東京・江戸川革新懇、秋田市革新懇、広島・安佐南革新懇などで行われています。

 

4 「市民と野党の共闘」の再構築をめざして

(1) 24年7月7日投票でたたかわれた東京都知事選挙で、「市民と野党の共闘」の統一候補の当選をめざして奮闘しました。東京革新懇と共同で、3次の支援行動を全国からの協力を得て取り組みました。選挙戦では、街頭でのスタンディング(一人街宣)が自発的に広がる一方で、SNS(動画)での選挙運動の拡散が選挙戦の様相を変える状況が生まれました。SNSを活用した選挙運動は、10月の総選挙、11月の兵庫県知事選挙でさらに強まり、軽視できない動きとなっています。

 全国革新懇は、各県革新懇の要請も受け、兵庫県知事選挙、栃木県知事選挙の支援行動などに取り組みました。

(2) 裏金問題に起因する自民党への批判が高まるもとで政権交代そのものが政治的な争点となり、「市民と野党の共闘」に困難が立ちはだかっています。総選挙で自民党が過半数割れしたことでその状況はより強まりました。

 24年秋の総選挙でも、このような困難を乗り越え「市民と野党の共闘」再構築の取り組みが東京のいくつかの地域革新懇や愛知・一宮革新懇などでおこなわれ、「市民連合」をさえました。

 総選挙後も、新たな前進を目指し宮城県での市民集会や東京21区市民連合連絡会の政策フォーラムなどが取り組まれています。

 

5 革新懇づくりの現状と課題

(1) 第43回全国革新懇総会(24年5月)以降、千葉・睦沢町民の会(24年5月11日)、長崎・壱岐革新懇(24年5月)、兵庫・西脇多可革新懇(24年11月24日)、栃木・小山革新懇(25年3月22日)、大阪・かどま革新懇(25年4月13日)が新規に結成され、大阪・淀川革新懇(24年11月16日)、愛知県名古屋市・中村区革新懇(24年11月17日)、大阪・大東革新懇(25年4月27日)が活動を再開しました。

 コロナパンデミックの影響が薄れたことや、関係都道府県革新懇の援助もあって、地域革新懇の結成、再開がこの数年にないテンポで進みました。

(2) 「全国革新懇ニュース」の購読部数は、2025年4月末時点で27,908部と28,000部を下回り、昨年総会時より456部減少し、最高時の2018年総会時からは2,532部(8.3%)減少しています。

 新規読者による増紙と高齢化等を主な要因とする減紙との関係を精査すると、コロナパンデミックが始まった2019年以降、減紙が増紙を上回り続けています。特に、2022年からの3年間は減紙が急増する一方で、増紙が大きく落ち込んでいます。減らさないこととともに増やす努力への注力が必要といえる傾向です。

(3) 2020年から24年の5年間、全国的な減紙傾向のもとでも福島県革新懇、千葉県革新懇、茨城革新懇、栃木革新懇、山梨革新懇、富山県革新懇、兵庫革新懇、和歌山県革新懇、長崎県革新懇は増紙を達成しています。長期停滞から活動を再開して増紙に転じたところもありますが、地道な取り組みの積み上げの反映です。

 また、大阪・河内長野革新懇は対象者を確認して集中して取り組み、大阪・かどま革新懇は新規結成にあわせ、いずれも数十部の拡大を達成しています。

 革新懇ニュースは、多彩な方々に登場いただいて好評を博し、各革新懇の創意ある多様な取り組みや書評で取り上げた著書にも反響が寄せられています。革新懇ニュースの魅力を伝えることも拡大につながります。

(4) 職場革新懇も退職者中心などの困難を抱えつつ、総会と講演会をセットにするなどの工夫で活動を継続しているところが少なくありません。

 その中で、東京・西武革新懇は「朗読と音楽の集い」「駅無人化問題シンポジウム」「西武線沿線の駅前宣伝」など継続的な取り組みを行い、大阪・銀行革新懇は枚方の戦跡めぐりを兼ねたハイキングを、NTT大阪革新懇は「国政・カジノ・万博問題学習会」を開催しています。税理士らでつくる国税OB千葉革新懇は定期的な駅頭宣伝に取り組んでいます。

 農村京都の会は田植え・さつま芋苗植えを続け、大阪・損保革新懇は「能登半島の現状と日本の病巣」のテーマで講演会を行いました。神戸・保育革新懇は「保育学習会」の連続開催や平和行進・原水禁世界大会への参加など活発な取り組みを行い、1年間で32人の新しい会員を迎えました。

 職場革新懇づくりでは、革新・愛知の会や奈良革新懇で公務職場での結成努力が続けられています。

(5) 京都青年革新懇のHOME‐はんなりは、京都・南区革新懇の学習会に協賛し、青年革新懇の活動を交流し、大阪・交野青年革新懇は、「交野グリーンニューディール講演会」を開催して省エネ工事による交野市内の雇用促進や気候危機解決の道筋を学びあいました。

 神戸青年革新懇のチームアンカーは、兵庫県知事選挙をたたかうなかで青年を対象にした「ハラスメント実態アンケート」に取り組み、結果を各候補者へ届け、ハラスメント根絶を訴えました。

 全国交流会での分科会「青年交流会」に、北海道、岡山など12道府県から青年が参加しました。青森県革新懇、宮城革新懇は青年を全国交流会へ送り出そうと県革新懇として募金活動に取り組み、青森では参加した青年による報告集会も開きました。山梨革新懇では、全国交流会への参加も機に、青年革新懇再建の機運が高まりました。

(6) この一年間、①「全国革新懇第43回総会記録集」(24年6月作成、1,728部普及)、②シンポジウム「いま『平和の準備』をどう進めるか」報告集(24年8月作成、1,732部普及)、③「あなたも革新懇に」リーフ(24年2月作成、9,380部普及)を頒布しました。

 

 

【情勢の特徴】

1 経済、軍事両面で不確実性が増す世界

(1) 米・トランプ政権の「政策転換」が、世界経済や国際法と国連憲章に則った国際社会のルールを揺るがせ、分断と対立を深め始めています。

 1月の就任から3カ月でトランプ大統領が署名した大統領令は130本をこえ、憲法上の疑義や長期的な悪影響が指摘される政策が、議会の論議もなしに決定されています。

 アメリカの多額の貿易赤字解消を口実にした輸入品への関税引き上げは、中国などとの関税競争を激化させ、多国間の自由貿易体制を揺るがし、世界的な景気後退と物価高騰の同時進行が懸念されています。

(2) トランプ政権は、ロシアやイスラエルの「軍事力による現状変更」を容認する姿勢を示し、第2次世界大戦後の国際法と国連憲章による「平和の枠組み」を揺るがし、NATO加盟国などでの軍事予算の拡大を招き、軍事的緊張を世界各地で高めています。

 ロシアのウクライナ侵略は、東アジアにも及び、24年10月に北朝鮮は韓国を「敵対国」と憲法で規定しました。12月3日に韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領による突然の「非常戒厳」の宣布の背景にも、北朝鮮との軍事的緊張の高まりを利用する意図があったと報じられています。

(3) 米・トランプ政権は日本に対しても、上乗せ関税を提示して一方的に主張する「関税障壁」の撤廃などの市場開放を迫るとともに、軍事分野でのさらなる負担、「思いやり予算」の増額やアメリカ製兵器の爆買いを迫っています。

 1985年9月の「プラザ合意」以降、同様のアメリカからの圧力に屈した自民党政権によって、自動車輸出のための農業つぶしと軍備拡大の悪政が繰り返されてきました。その足元を見透かすような「トランプ関税」に対しても、石破自公政権は毅然とした態度をとろうとしていません。

「トランプ関税」も機に、「日米同盟が日本外交の基軸」との立場で軍事、経済ともに対米従属の選択肢しか持たない日本政府の対応が問われることは必至です。2025年4月の朝日新聞の世論調査では、日本外交はアメリカの意向から「できる限り自立したほうがよい」と68%が回答しています。日本と同様にアメリカから高関税を課せられようとしているASEAN諸国は、米政府との交渉と並行してASEAN区域内外での貿易促進を模索し始めています。

 

2 金権政治に固執し続ける自民党

(1) 派閥ぐるみの裏金づくりが、自民党の根深い金権腐敗の構造と企業献金依存の体質に根差していることは、東京都議会でも同様の問題が露見したことからも明らかです。

 2363ある政党本部や支部の政治資金収支報告書(2023年分)を集計分析した結果では、献金総額の96%(47,7億円)を自民党が受け取っています。

 衆議院で自民党が過半数割れした国会状況の下で、自民党旧安倍派事務総長の意見聴取が行われ、「(裏金の)還付は派閥幹部から求められた」との証言が行われました。しかし、衆議院選挙後に行われた参議院政倫審での裏金議員27人の弁明では、裏金作りがいつから始まり、どのような経緯で再開され、どのように使われたかなどの核心部分は明らかになりませんでした。

(2) このような中、自民党は企業・団体から受けた寄付の総額と、年間1000万円を超える寄付をした企業・団体の名称や金額を総務省が公表することなどを内容とする政治資金規正法改定法案を25年1月に提出しました。企業・団体献金を温存する内容に批判が集中しました。この自民党の動きに、公明党、国民民主党が「助け舟」を出し、3月31日に3党は企業・団体から政党支部への献金を温存することなどで合意しました。

 立憲民主党など5党は、企業や労働組合からの寄付を全面的に禁止するとともに、業界団体などがつくる政治団体からの献金には年間6000万円の上限額を設けることなどを内容とする政治資金規正法改正法案を3月に国会に提出しています。

 当初、法改正の3月中合意がめざされましたが、企業・団体献金をめぐる意見の相違が大きいことから法案論議は先送りされ続けています。企業・団体献金禁止を求める運動の強化が求められています。

 

3 急ピッチで進む大軍拡、戦争する国づくり

(1) 2015年9月の戦争法(安保法制)強行から10年目を迎えました。この間、「安保3文書」が閣議決定され、2023年度から軍事費のみが飛躍的に増えています。そのことが、医療費などの社会保障費や教育関連予算などの民生部門を圧迫し、高額療養費負担上限引き上げ、大学授業料の引き上げなどのしわ寄せが起きています。

 軍事費の増加に伴い、射程距離1000キロメートル以上のミサイルが購入、開発され、その保管を目的にした弾薬庫が全国各地で建設され、ミサイル部隊の九州配備が公表され、自衛隊基地の地下化などが進められています。

(2) 自衛隊と米軍など他国軍隊との共同の訓練も頻繁になり、それに伴い民間空港、港湾への米軍機、艦船の飛来、寄港も増えています。今年の3月、兵庫県・神戸港に「非核神戸方式」を潜脱して米軍艦船が入港しました。

 今年3月に自衛隊の統合作戦司令部が発足し、陸海空自衛隊を統帥する体制が整備されました。これに呼応する在日米軍の統合組織の設置も進められており、米軍と自衛隊の一体化がさらに進む動きです。

(3) このような軍事面での強化と並行して、国が市民生活を監視、統制する様々な制度整備が進んでいます。通常国会に提出されている日本学術会議「特殊法人化」法案や能動的サイバー攻撃防御法案などの成立を許さない取り組みは、戦争体制に進む動きを止めるうえでも当面の重要課題です。

 

4 富の再配分再強化はくらしを守る課題

(1) 物価高や実質賃金・所得低下への不満が強まっています。

 日経新聞の25年4月の世論調査では、政府に求める政策課題は「物価対策」51%、「子育て・教育・少子化対策」30%、「経済成長」29%、「年金」29%となっています。また、ANNの世論調査では、物価高などへの緊急対策として「現金給付」は30%で、一時的な消費税の減税に「賛成」が60%となっています。

 このような世論も反映して、消費税減税に消極的な姿勢であった立憲民主党も含め、消費税減税や食料品非課税などの主張を野党が強めており、その実現可能性が高まっています。 

 消費税減税の実現には、代わる財源が求められますが、その点での主張には国債増発から税制全体の見直しを求めるものまで、大きな差があります。

(2) 財源の問題は、25年度予算案論議と並行した政権与党と一部野党との「政策協議」や、軍事費増額など表面化しています。

 いわゆる「年収の壁」問題では、自治体財政との関係や高額所得者ほど減税額が多くなることが指摘され、代替財源の問題もあって国民民主党と与党との合意に至りませんでした。

 教育費無償化をめぐる日本維新の会と与党との協議では2025年度の高校授業料完全無償化の財源措置では一致したものの、恒久財源として医療費4兆円削減という市民負担を求める内容となっています。

(3) アベノミクスも含めて大企業、富裕層優遇の税制改定が行われ、消費税増税の一方で法人税減税が繰り返された結果、税による富の再配分機能が低下していることへの問題意識が政党間で共有されていません。24年度末の国債発行残高が1100兆円を超えて増え続けている問題での国民的な合意も深まっていません。

 この点で、23年度時点で600兆円を超え、自社株買いの源資となっている企業の内部留保への課税や、所得が1億円を超えると所得税の実効税率が低下する「1億円の壁」の是正、大企業ほど実効税率が低下する大企業優遇税制の是正など、適切な資産課税と税の応能負担の強化を求める運動の強化が求められています。

 

5 大企業中心社会のゆがみの是正を

(1) 「儲けの最大化」への政府の後押しを求め続ける大企業と、市場開放を迫るアメリカの圧力もあって、規制緩和と民営化を柱とする新自由主義改革が間断なく続けられてきました。その結果、内需の要である労働者の実質賃金の低迷や不安定雇用労働者が増加し、中小企業・事業者数は減少し続け、食料自給率は38%にまで低下し、農業経営者は116万人にまで減っています。自動車などの輸出産業や半導体などの「先端技術」の支援に多額の税金と政策を集中させる一方で、くらしの基盤や地域経済を支える仕組みが壊され続けています。その結果、格差と貧困の広がりが深刻化しています。

 また、原発再稼働のみならず新たな原発建設に踏み込む第7次エネルギー基本計画を2025年2月に決定し、福島県民や原発立地地域の市民をはじめ、原発ゼロを求める市民を苦しめています。

(2) 自公政権は、このような実態を直視せず、不安定雇用をさらに拡大する労働法制改悪、食料自給率を放棄する農業基本法改定、中小零細業者を廃業に追い込むインボイス制度の導入などを進めました。

 米・トランプ政権が、関税もテコに農産物の市場開放や、さらなる規制緩和を日本に迫る動きを強めている今、大企業中心の政治から、くらしと生業重視の政治への転換を、の声を大きくする好機にしていくことが求められています。

 

6 個人の尊厳実現をめざす政治に

(1)  24年10月に、国連の女性差別撤廃委員会は日本政府の女性政策への厳しい批判を含む最終見解を公表し、民法の規定を見直して選択的夫婦別姓制度を導入することなどを勧告しました。「別姓勧告」は4回目です。

 世界経済フォーラムが毎年公表する各国のジェンダー平等指数で、2024年の日本は世界118位で、G7の中で最下位です。他の先進国がジェンダーギャップ指数を改善している中で日本は改善しておらず、2010年代以降はジェンダーギャップが拡大しています。

 その背景に、自民党が、家父長的家族観に立つ宗教右派の影響を受けていると同時に、男女役割分担論に立った政策に固執し続けていることがあります。大企業が人件費削減目的で男女役割分担論を悪用してきたことも見過ごせません。男性の賃金を100とした場合の女性の賃金は75.2%で、先進国最悪です。

(2) 24年6月に経団連は、選択的夫婦別姓制度の実現を求める提言を公表し、グローバル化のもとで同姓を強制する制度が「経営上の障害」だとしました。

 夫婦同姓を合憲とした最高裁判決(21年6月)の乗り越えをめざして東京、札幌などで裁判が起こされ、国会では1996年の法制審議会答申をもとにした法案を4月30日に立憲民主党が提出しました。しかし、自民党の一部議員が強硬に反対し、日本維新の会が通称使用法制化法案を提出し、国民民主党が総選挙公約を投げ捨てて別姓制度導入に後ろ向きの姿勢を示すなど、状況は予断を許しません。

 同性婚をめぐっては、これまで出された4つの高裁判決いずれもが同性婚を認めない民法などを違憲とする判断を下しており、法整備が急がれる状況です。

 トランスジェンダーの性別変更でも、生殖不能手術の要件を違憲とする判決も出されるなど、個人の尊厳を重視する司法の流れは強まっています。

 このような変化の流れを大きくし、個人の尊厳実現とかかわってとりわけジェンダー平等を実現する課題での取り組みが求められています。

 

 

【今後1年間の取り組み】

1 取り組みの基本的な構え

(1) 政治を変えたい、政治を変えて要求実現の展望を切り開きたいと願う人々との共同を広げ、政治を大本から変える展望をさし示す「3つの共同目標」を語り、「さよなら自民党政治」の大きなうねりを作りだす「革新懇運動出番の時」を迎えています。

 今の情勢のもとで、「3つの共同目標」の意義を改めて確認し、政治変革の統一戦線運動づくりを担う革新懇の「三つの任務」(「要求と政治の架け橋として諸課題での共闘の前進をめざす」、「『市民と野党の共闘』の支え手として奮闘する」、「『3つの共同目標』にもとづく革新統一戦線の担い手の役割を果たす」)を発揮します。

(2) 要求運動と政治変革の運動をつなぐ「ネットワーク」づくりでの革新懇、賛同団体の役割の再確認と、個別の運動での具体化をはかり、「市民と野党の共闘」の新たな発展につなげます。

(3) 25年度、26年度の2年間の取り組みとして、全国6ブロック(北海道・東北、関東甲信、東海・北陸、近畿、中国・四国、九州・沖縄)で「地域革新懇交流会(仮称)」を開催します。

 職場革新懇、青年革新懇の全国的な交流会の開催を検討します。

(4) 適宜の時期に、都道府県革新懇事務室(局)長会議や賛同団体代表者会議をオンラインも含めて開催します。

(5) 情勢と課題をふまえた講演会、シンポジウム、つどいを開催し、見解などの適宜の公表に努めます。「東アジアの平和の枠組みづくりをめざすシンポジウム」の各地での開催を追求します。

 

2 「さよなら自民党政治」の大運動

 自民党政治の行きづまりのもとで、政治を大本から変える取り組みとして「さよなら自民党政治」の大運動に革新懇の総力をあげて取り組みます。

 「3つの共同目標」の実現をめざす革新懇運動の原点を改めて確認し、「3つの共同目標」を支持する勢力の躍進と「市民と野党の共闘」の新たな発展をめざす取り組みを強めます。

 自民党政治が各団体の諸要求実現の障害となっていることを明らかにし、これに代わる政治の実現の展望を訴える講演会、学習会の開催を呼びかけます。

 

3 国政選挙などの取り組み

(1) 「戦争する国づくり」への暴走を食い止め、格差と貧困の是正をめざして「市民と野党の共闘」の新たな発展を追求し、悪政推進の改憲翼賛体制阻止に奮闘します。

(2) 6月の東京都議会選挙、7月の参議院選挙で、条件が整った選挙区での「市民と野党の共闘」を前進させるとともに、共闘の要としての「3つの共同目標」を支持する勢力の躍進に力を合わせます。

 消費税減税と税制の民主的改革を求める運動を選挙のたたかいと合わせて強めます。

(3) 衆議院・小選挙区単位での「市民連合」の活動を支える共闘の一翼を担って奮闘します。

 参議院1人区での「市民と野党の共闘」の実現をめざします。

(4) 地方自治体の首長選挙での「市民と野党の共闘」前進の経験にも学び、都道府県革新懇、地域革新懇とともに首長選挙での「市民と野党の共闘」実現に挑戦し、統一戦線運動を地域、草の根から広げます。

 2026年にたたかわれる沖縄・名護市市長選挙、沖縄県知事選挙勝利にむけた取り組みを進めます。

 

4 革新懇の要求とめざす社会

(1) 憲法を守り生かし、立憲主義を取り戻し、自由と人権、民主主義の発展を追求します。

 大軍拡と軍拡のための増税に反対し、くらし重視の政策への転換を求めます。

 安保法制(戦争法)、秘密保護法、共謀罪、土地利用規制法など憲法違反の法律の廃止、集団的自衛権行使容認の閣議決定、「安保3文書」の撤回を求めます。日本学術会議「法人化」法案など戦争体制づくりの法案の成立に反対します。

 「裏金」問題の全容解明、「森友問題」など一連の国政私物化疑惑の徹底的究明、内閣人事局の廃止を求め、強権政治からの転換をめざします。

 憲法9条改憲を阻止し、改憲発議につながる一切の動きに反対します。

(2) 国連憲章、国際法に反するロシアの侵略戦争の中止、ウクライナからの即時撤退を求めます。イスラエルのガザでのジェノサイドを許さず、即時撤退を求めます。

 国連憲章と憲法にもとづく平和秩序の構築、包摂的な東アジアの平和協力の枠組みづくりを追求します。

(3) 対米従属の軍事同盟から抜け出し、自主・自立の平和外交への転換を求めます。米軍と自衛隊の軍事的一体化に反対します。

 沖縄県民の民意に背く辺野古新基地建設の中止、普天間基地の無条件返還を求め、馬毛島での軍事基地建設、南西諸島などへのミサイル配備、「軍事要塞化」に反対します。

日米地位協定の抜本的改正を要求します。米軍への「思いやり予算」の中止、高額で他国攻撃可能な武器の「爆買い」に反対します。

 核兵器禁止条約の早急な署名・批准を日本政府に求めます。

  •  新自由主義から転換し、くらしを守る政治をめざします。

 政府の責任による医療・介護・障害者福祉・保育などケアワーカーの待遇改善を求めます。社会保障削減・抑制に反対し、拡充への転換をめざします。「マイナンバー健康保険証」、「運転免許証」の強制と健康保険証廃止に反対します。

 7時間働けばくらせる人間らしい雇用のルール整備を求めます。労働法制の規制緩和路線からの転換、最低賃金全国一律・時給1500円以上への即時引き上げを求めます。

 地方経済の立て直しの柱に中小企業と農林水産業の振興を位置づけるよう求めます。中小企業「淘汰(とうた)」の政策、歯止めなき自由化路線を見直し、農家への所得・価格保障の拡充、食料自給率の目標明確化、食糧危機を克服する農政を求めます。

 大学等の学費値上げに反対し、負担の軽減と給付制奨学金の大幅な拡充、高校までの少人数学級の速やかな実現、授業料無償化など教育費の負担軽減を求めます。

 教職員の長時間労働の抜本的な是正を求めます。教員給与特別措置法改訂法案に反対し、教職員定数の抜本的改善を求めます。

 小中学校での学校給食の完全実施、給食費無償化の即時実現を求めます。

 消費税一律5%へのすみやかな減税、インボイス制度の廃止を求めます。コロナ禍でも資産を増やした富裕層、大企業に応分の負担を求める税制改革、大企業の内部留保への課税を求めます。

 被災者生活再建支援法の抜本改正、能登地震被災地の住民本位の復興を求めます。

  •  原発の再稼働、新増設に反対し、原発に依存しない脱炭素社会の実現を求めます。

 地球規模の環境破壊を止めるため、大型石炭火力の建設計画の中止、既存施設の計画的停止・廃止、再生可能エネルギーへの転換によるカーボンゼロ社会の実現を求めます。

 福島第一原発の汚染処理水の海洋放出に反対し、原発被災者への支援強化を改めて要求します。

 地震大国、災害大国の日本にふさわしい災害対策、被災者支援体制の整備を求めます。

(6) ジェンダー平等社会の実現、女性の権利の国際基準への引き上げ、多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する社会を求めます。

 雇用の場における男女差別の撤廃、選択的夫婦別姓制度の実現、同性婚の法整備、LGBTQ差別禁止法の制定を要求します。

 あらゆる政策・意思決定の場におけるジェンダー平等を求め、政治分野における男女共同参画法(パリテ法)の実効性ある改善を求めます。

(7) 外国人労働者への差別をなくし、労働者としての権利保障を求めるとともに、外国人入国者の人権保護を徹底させ、出入国管理の人道的改善をめざします。

 

 

【運動を支える革新懇づくり】

1 要求の一致点での共闘、統一戦線を追求する革新懇運動の重要性

 「市民と野党の共闘」の強化・発展に危機感をもった支配勢力などからの分断攻撃が強まり困難な局面も生まれています。

 そのもとで、政党の組み合わせではなく要求の一致点の共闘を追求し、政治を変える統一戦線につなげる「確固とした展望」をもった革新懇運動が重要になっています。その点を再確認し、「革新懇づくり」の取り組みを進めます。

 

 

2 「三つの任務」を再確認して「三つの力」の発揮を

 「三つの任務」の実践に力を寄せ合います。

 「三つの任務」を果たす革新懇運動の「三つの力(政策の力、組織の力、草の根の力)」の発揮をあらためてよびかけます。

 「三つの力」を十全に発揮するためにも、運動に参加する人々をリスペクトし、ハラスメントのない革新懇づくりをめざします。

 

3 革新懇運動における賛同団体の役割

 革新懇は、全労連、新婦人、全商連、民医連、農民連、民青同盟などの賛同団体と日本共産党、都道府県革新懇、地域・職場・青年革新懇、そして個人会員のそれぞれの運動が力を発揮し、総体の力を高め、運動を前進させてきました。

 そのことをふまえ、賛同団体には以下の役割を期待します。

① それぞれの団体が大きくなり、各分野で影響力を高め、統一戦線運動の発展に貢献します。各分野で要求の一致点での共同をひろげるとともに、それぞれの領域で新しい政治の実現をめざす要求政策を提起し、統一戦線運動の前進をめざします。

 ② 革新懇運動の意義を各団体のなかにひろげ、革新懇ニュースも活用した「要求と政治を語る場」を作り出すとともに、地域などの革新懇運動や事務室(局)体制を支え、地域革新懇の結成にかかわり、革新懇づくりで積極的な役割を発揮します。

 

4 都道府県革新懇の取り組みと態勢の強化

(1) 現在、47都道府県革新懇とそれに結集する地域革新懇は自治体数比29.5%で、衆院の小選挙区に対応する組織状況にはなっていません。「市民と野党の共闘」を各地域で支え、統一戦線運動を地域に根付かせていくため、進んだ都道府県、地域の経験に学び、交流を深め地域や職場に密着した革新懇づくりに挑戦します。

未結成の地域や休止状態の地域革新懇を把握し、新結成や準備会発足、活動再開の可能性を追求するため、次の取り組みをよびかけます。

  • 地域・職場・青年革新懇づくりの目標を持ちます。
  • 「全国革新懇ニュース」普及について議論し、目標と計画をつくります。

 ③ 各地で地域・職場・青年革新懇、賛同団体の交流会・学習会を計画します。

(2) 都道府県革新懇は、都道府県内の地方政治分析や選挙闘争への参画、各分野の運動全体を視野に入れた活動をすすめます。

① 革新懇の役割を探求する運動交流会・シンポ、地域・職場・青年革新懇の活動交流、賛同団体、市民運動との懇談会などを開催します。

② 「団体、政党、個人」が結集する革新懇の力が発揮できるように代表世話人会の充実、事務室(局)体制の拡充と事務室(局)長の専任化を追求します。世話人などの役員、事務室(局)員などに女性や現役世代、若者が参加し、多彩な構成となるよう努めます。

③ ジェンダー平等、気候危機打開など次世代の切実な要求に応え、若い世代に魅力ある革新懇運動を追求します。

④ 身近なニュースを伝える「都道府県革新懇ニュース」は、対話と共同、革新懇運動への理解をひろげるうえでも、大きな役割を果たしています。体制を確立してニュース発行に取り組みます。

(3) 困難を抱える県革新懇の事務室(局)体制整備、強化を全国革新懇としても位置付け、問題解決への支援を強めます。

 

 

5 地域に「網の目」の革新懇を、すべての自治体・行政区さらに校区に革新懇を

(1) 革新懇を各地に「網の目」でつくることは、自公政治を転換して新たな政権を誕生させ、地方自治を前進させる組織的な土台です。「地域の草の根運動の主役」と位置づける地域革新懇の結成・維持・強化を重視します。

(2) 地域には営業、医療・介護、教育、子育て、交通、住宅、環境など多岐にわたる分野で、切実な要求の実現を求める住民の声が渦巻き、運動が生まれ、政治を変える力が蓄積されています。この点に目を向けた取り組みを強めます。

  • 地域要求と国政課題を2つの柱にしてとりくみます。
  • 一つひとつの企画で市民、団体との新しい結びつきを探求します。

③ 多様な共同行動、共同組織との協力・連携をめざし、すべての自治体・行政区さらには校区単位での地域革新懇の結成を引き続き追求します。

当面、小選挙区単位の革新懇(革新懇連絡会)の結成、整備を進めます。

 

6 職場革新懇運動の再活性化をめざして

(1) 職場革新懇は、労働組合の違いをこえ、非組合員も管理職も、正規も非正規も、現職も退職者も誰でも参加できることを特徴に結成を進めてきました。

どこの職場でも厳しさが増し、政治的な論議が難しくなっている現状を打開し、様々な分断を乗り越えて「職場に政治の風を吹かせる」職場革新懇の役割を再評価する時期にきています。

(2) 継続的な取り組みをおこなっている職場革新懇の経験に学び、退職者が中心で消滅するところも少なくない職場革新懇の現状の前向きな打開に努力します。

(3) 現役労働者にどう接近するかを含め、賛同団体とも連携しながら職場革新懇運動のあり方について論議を進めます。職場革新懇の現状についての実態調査を行い、「職場革新懇あり方検討委員会(仮称)」の開催を検討します。

 

7 すべての都道府県で青年革新懇の結成を

(1) 青年の働き方やくらしの現状を話し合う中で青年革新懇の結成につながり、独自の取り組みを行うことで活動を継続している教訓を広げ、いかす努力を強めます。

(2) 活動を継続・発展させるために、定例会議の重視と「全国革新懇ニュース」の配達・集金、仲間を増やすこと、青年の要求にかみ合った企画を持つことなど、青年の自主性を尊重した運営上の工夫を大切にします。

(3) 都道府県革新懇や地域革新懇での支援の強化、賛同団体の協力も得て、すべての都道府県で青年革新懇の結成を目指します。

 

8 革新懇づくりの「核」、「全国革新懇ニュース」の拡大、発信力の強化に向けて

「全国革新懇ニュース」の普及について、2年をめどに3万部回復を達成し、5万部の峰に向けて挑戦します。

 読者の減少を止め、増紙の目標を確立した取り組みを進めます。会議の未開催、配達・集金の乱れなどの活動停滞を解消し、拡大運動と財政基盤の確立を呼びかけます。

 ニュースの拡大への賛同団体の協力を呼びかけます。

 増紙(拡大)と、革新懇(困難県での体制確立、地域・職場・青年革新懇)づくりを一体で進めます。要求課題での取り組み(講演会、学習会、シンポジウムなど)を具体化し、つながりを広げてニュース拡大につなげます。

 都道府県革新懇と連携し、代表世話人などによる講演会の全国的な開催を検討します。

 全国革新懇として、SNSの活用など「発信力」強化に努めます。

 全国革新懇ニュースの魅力向上に努めます。

【おわりに】

(1) 2025年は、アジア・太平洋戦争の敗戦から80年目です。その節目に朝日新聞が行った世論調査では、日本が平和であり続けたことに役に立ったのは、「日本人の戦争体験」35%、「憲法」28%、「米軍と自衛隊の存在」20%、「日本政府の外交努力」9%となっています。最多の回答の「戦争体験」は、体験者の減少と記憶の風化が懸念される状況です。その時に、再び軍靴の音が高まってきているのは偶然ではありません。それだけに、「戦争する国にはさせない」運動を強め、共闘を広げることの大切さは年々高まっています。

(2) 2025年は、革新懇運動の契機となった「社公合意」から45年目の年でもあります。1979年10月の総選挙で自民党は「一般消費税」導入を決定して臨み、過半数を割り込みました。そのもとで、当時の日本社会党(今日の社民党の前身)と公明党がとりきめた「連合政権についての合意」が「社公合意」です。これには自民党への批判が明記されず、他の政党との関係では日本共産党排除だけを明確にしたものでした。この時と今の政治状況は似通っています。

 財界・大企業中心、日米軍事同盟絶対という自民党政治の「二つのゆがみ」を正そうとせず、逆に反共主義で結びついて自民党との「融合」に動く一部野党の姿が鮮明になっています。

(3) これらの困難を乗り越えるためにも、要求にもとづく共闘を様々に広げ、「市民と野党の共闘」の新たな前進とともに、政治を変える統一戦線戦をめざすという革新懇結成の原点に立ち返った運動を強めましょう。地域、草の根から要求にもとづく多彩な共闘を作り出し、自民党政治を大本から変える統一戦線をめざす革新懇運動を今こその構えで発展させましょう。

都道府県革新懇、地域・職場・青年革新懇、賛同団体の力を寄せ合いましょう。

以上

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