全国革新懇第40回総会「報告と提案」

2021.5.15

全国革新懇

全国革新懇第40回総会(2021年5月15日)

「報告と提案」

 

【総会スローガン】

希望と尊厳ある政治へ、革新懇40年、統一戦線運動の新たな前進、「市民と野党の共闘」の力の発揮で総選挙に勝利し、連合政権の実現を

 

はじめに

(1) 全国革新懇は、この5月26日に結成40年を迎えます。革新統一を求める運動に分断が持ち込まれ、共産党排除が強まるもとで、原水爆禁止運動や平和運動、労働運動などの大衆運動でも、選別と排除、分裂が強まるなかでの結成でした。

 その厳しい状況をのりこえるために、「3つの共同目標」を灯台の光に、多様な課題での一点共闘を積み上げてきた革新懇運動は、「あきらめず、ひるまず、たゆまず」に全国各地での共闘や賛同団体の要求の一致点での共闘を積み上げてきました。

この40年の経験と財産は、2011年3月11日の東日本大震災と福島原発事故後から高揚した原発ゼロの日本を求める市民の立ち上がり、さらには2014年7月の集団的自衛権行使容認の閣議決定を契機に広がった戦争する国づくり阻止の市民運動でも大いに発揮されました。

(2) 2016年7月の参議院選挙で、「安保法制廃止、立憲主義回復」の一致点での政治を変える共闘が実現して、その後の「市民と野党の共闘」発展でも全国各地の革新懇は大きな役割をはたしています。

 「市民と野党の共闘」は、紆余曲折を経ながらも前進し、本年10月までには実施される総選挙で菅自公政権を打倒し、力を合わせて新しい政権をめざすまでに発展してきました。

 本総会の第一の目的は、40年間の革新懇運動をふりかえり、その到達点を再確認し、選別と排除の壁をのりこえて、市民参加の統一戦線運動の飛躍をめざす決意を固めあうことにあります。

(3) 2019年末に人への感染が確認された新型コロナウイルス感染は、瞬く間に世界中に広がり、2020年3月12日にWHOが「パンデミック(世界的な大流行)」を宣言する事態となりました。

 「100年に一度」とも言われるこのパンデミックが、国境を越えて「ヒト・モノ・カネ」が移動するグローバル市場経済のもとで起きたこと、グローバル大企業の儲けの最大化のために医療、公衆衛生、教育などの公共財までも市場経済にゆだねた新自由主義経済の失敗であることが明らかになり、それらの見直しの動きが世界的に強まっています。

(4) 日本では、科学的知見や専門家の意見に耳を傾けることなく、突然の一斉休校や「アベノマスク」配布などの場当たり的な感染対策が取られて市民の混乱と不安が高まり、政治への不信を募らせました。そのような無為無策のコロナ感染対策は、安倍政権を継承した菅政権にも引き継がれ、経済政策との両立をめざすとする中途半端な施策や、医療・公衆衛生体制の拡充に背を向ける新自由主義施策が漫然と繰り返されるなかで、「感染の波」が繰り返し押し寄せ、PCR検査やワクチン接種などが世界水準から大幅に立ち遅れる状況となりました。

 このなかで、「市民と野党の共闘」の課題も、新自由主義から「いのちと尊厳を守る」政治に向けた市民の合意をつくり出し、新しい社会をめざす政権づくりに力を寄せ合うことに発展してきています。

 本総会の第二の目的は、日本でも世界でも始まっている既存の社会の仕組みを見直し、個人の尊厳を実現し、ケアワークなど公共性の再評価を求める運動に革新懇もふみだすことを共有し合うことにあります。

(5)  2020年9月に菅政権が発足しました。この政権が最初に行ったのが、日本学術会議会員6名の任命拒否であったことは、その性格を端的に示しました。異論を排除し、強権的な手法で専制政治を強め、特定の利権と結びつく政官財癒着をより深刻にし、立憲主義をないがしろにして戦争する国づくりに暴走する宣言であったともいえます。この菅政権を一日も早く退陣に追い込むことは、いのちとくらし第一の政治に転換し、まともなコロナ感染対策を政府に実施させるためにも必要です。

 本総会の第三の目的は、来る総選挙を「市民と野党の共闘」の力で勝利し、新しい政権のもとでの命とくらし第一の政治の実現、連立政権実現をめざす革新懇の役割を共有し、奮闘することを意思統一することにあります。

 (6) 時間軸から見ても、情勢からみても歴史的な節目での開催となる全国革新懇第40回総会に、全国各地、各団体の経験と決意を持ち寄り、当面する総選挙での市民と野党勢力の勝利への奮闘を確認し合い、新しい社会をめざす革新懇運動の新たな一歩を大きく踏みだしましょう。

 

Ⅰ、情勢と課題 革新懇運動の果たした役割

1 革新懇運動40年をふりかえって

- 積み上げてきた政治変革の最大の障害、「共産党を除く」をのりこえての共闘 -

(1) 「統一戦線こそ日本の政治を変えていく力」というのは戦後日本の革新運動の教訓です。

1960年安保闘争では、「安保条約改定阻止国民会議」を結成し、歴史的闘争を生み出して岸内閣を打倒し、憲法改悪を阻止する大きな力になりました。多くの団体、市民が政治変革を求めて革新統一戦線を追求するなかで、社会党と共産党を軸とする共闘が地方政治や大衆運動分野で発展し、70年代には人口の43%が「革新自治体」で暮らすまでになりました。

しかし、この変革のうねりを自民党や財界はおそれ、反動攻勢と逆流がおこるなかで結ばれたのが1980年1月の「社公合意」でした。この「社公合意」の核心は「共産党排除」にあり、政治戦線の場だけでなく、平和運動や原水爆禁止運動をはじめあらゆる大衆運動の場に分断と選別・排除が持ちこまれ、統一戦線の道に大きな困難が生じました。

(2) これにたいして日本共産党は、「革新統一懇談会」(革新懇)の結成を提唱しました。

すべての都道府県で次つぎと革新懇が結成され、これを土台に、松浦総三氏、黒田了一大阪府知事ら準備委員の方がたの尽力があり、1981年5月26日に全国革新懇が結成されました。政党レベルでの協議を待つのでなく、共産党とともに多くの無党派有志・市民、現・元社会党員、労組、民主団体が協力して、統一戦線探求の道を歩みはじめたのでした。

政党と市民・団体が共同する革新懇の結成は、日本の統一戦線運動の歴史的な転換点でした。思想・信条や政党支持の違いを乗りこえ、切実な要求実現を展望して政治を変える市民運動を高めるという点で、今日の「「市民と野党の共闘」」にも引き継がれる流れです。 

(3) 革新懇運動は、一致する要求で共同することを追求しました。「3つの共同目標」をかかげながら、そのうちの一つでも、またさしあたりの政治課題での一致点があれば、思想・信条の違いをこえた共同をすすめてきました。

全国革新懇は環境問題、沖縄新基地問題、コメと農業、マスコミ、宗教者との対話など多面的な問題を取り上げ、懇談、共同をひろげてきました。それは地域要求実現をめざす革新懇による草の根からの活動とも共鳴しながら、全国、各分野で一点共闘が重層的に発展しました。

画期は、2004年6月の「九条の会」の結成であり、2011年3月11日の後に発展した原発ゼロをめざす市民運動の高揚でした。「九条の会」は全国で7500をこえるに至りました。これらの運動と呼応して、特定秘密保護法、TPP阻止や医療、福祉拡充、軍事費を削れ、など各分野のたたかいのなかで、集会・パレードなどで連合傘下の労働組合と革新懇賛同団体のノボリが林立して共に行動する姿も珍しくなくなるなど、様ざまな運動が連携・合流し、政治の転換こそ要求実現の道との認識がひろがり、「安倍政権打倒」の政治スローガンを中心に掲げた共闘も生まれています。

全国の革新懇と賛同団体は、一点共闘の「要」としてつなぎ役を担い、また一点共闘を政治の共同へ発展させる「架け橋」として奮闘しました。

(4) このような取り組みを通じ、共産党や全労連、新婦人、全商連、農民連、民医連、民青同盟など賛同団体と市民団体、旧総評左派労組などとの共同が深まりました。そして、2014年7月に安倍政権がおこなった集団的自衛権行使容認の閣議決定など、戦争する国づくりの暴走への危機感を共有して2014年12月に発足したのが「総がかり行動実行委員会」です。

長らく続いた分断とその後の確執を横に置き、戦争する国づくりと改憲阻止の一致点でスタートした共闘は、2015年通常国会での安保法制成立阻止の運動での学者や学生、「ママの会」などと共同してつくり出した全国的な運動に発展しました。

国会包囲の行動も重ねられましたが、「動員型」ではなく、市民一人ひとりが自発的に参加する新しい行動形態が注目されました。「野党は共闘」を求める市民の巨大な声は、政党にも影響を与え、共産党も含めた「野党共闘」誕生につながりました。

安保法制成立後は、その直後から法を廃止し立憲主義の回復をめざす政治的共闘である市民連合が2015年12月に結成されるところまで一気に進みました。

このような市民、団体の動きに後押しされ、2016年参議院選挙に32の一人区での野党統一候補が実現し、11の選挙区で勝利するという成果を勝ち取りました。この統一候補の実現のつなぎ役となったのが「市民連合」であり、その「市民連合」を各地の革新懇が支えました。この「市民と野党の共闘」による統一の流れは、2017年総選挙、2019年参議院選挙でさらに前進し、国会内での野党共闘も大きく変化して、政治変革の最大の障害となってきた「共産党を除く」の壁が克服されてきたことは統一戦線運動の画期的な変化でした。

(5) 全国革新懇は、「憲法改悪反対の一点での国民的共同を草の根から広げましょう」(2003年9月)を発表し、また「憲法改悪反対共同センター」の立ち上げへイニシアチブを発揮しました。統一戦線の発展そのものを探求し、「『一点共闘』と政治を変える共同の発展をめざす懇談会」(2014年4月)、「『市民と野党の共闘』の発展をめざす懇談会」(2016年10月)などを開催し、積極的な役割を果たしてきました。

また、総がかり行動実行委員会、「市民連合」と革新懇は、総会や全国交流会での連帯あいさつなどの直接の交流にとどまらず、賛同団体、地方・地域革新懇を通した連携と協力を日常的にも重層的、多面的にすすめています。

日本の未来への道を示す「3つの共同目標」という確固とした展望と、多くの賛同団体、地方・地域革新懇の組織力を持つ革新懇運動は、政治変革をつくり出す統一戦線運動の「要」、「架け橋」として、つなぎ役、支え手の役割が期待され、重要性を増しています。

(6) 「オール沖縄」のたたかいは、一致点で共同して県民運動をすすめるだけでなく、選挙を共同して取り組み勝利して政治を変えるという道を切り拓き、全国を励ます特筆すべき貢献でした。

基地を挟んでの保守と革新の対立から脱却し、「腹八分、六分」の共闘を求めた故翁長雄志沖縄県知事の呼びかけは、政治変革をめざす統一戦線運動にも大きな影響を与えました。「オール沖縄」のたたかいは、翁長氏が急逝された後の玉城デニー知事誕生や、辺野古埋め立ての是非を問う県民投票にも引き継がれ、国政にも大きな影響を与える共闘として先駆的な位置を占めています。「オール沖縄」に対しては、日米の支配層は、絶えずその分断・崩壊を図って圧力を加えています。いま私たちには、結束を守り強める努力が、いっそう求められているところです。

この沖縄のたたかいでも、革新懇は、現地情勢の重大な局面で運動の方向を探求するシンポジウムの開催(例えば1997年12月、2018年6月)や、現地闘争への物心の連帯・支援、本土での「連帯の集い」の連鎖的開催など積極的な役割を担いました。

 

2 情勢の特徴

(1) 新型コロナウイルス感染のパンデミックのもとで、大企業中心の経済重視の社会の脆弱と歪みが露呈し、取り組みの課題を焦点化しました。

世界の感染者数はすでに1億人半ばに達し、死者は300万人をこえ、感染力の高い変異種が広がるなかで感染拡大が収まる気配はいまだ見えません。

ワクチン接種も先進国を中心に本格化していますが、途上国との「ワクチン格差」や特許の囲い込み、経済回復のばらつき、一国中心主義の台頭など、分断を拡大しかねない新たな問題も表面化しています。

 日本国内の感染者数は4月時点50万人をこえ死者は1万人に達しようとしています。

変異種の急速な広がりによって「感染の第4波」が指摘され、医療体制が再びひっ迫する深刻な状況に直面しています。ワクチン接種数は他の先進国に比して大幅に立ち遅れる接種者114万人(0.9%、4月14日時点での1回以上接種済者数)にとどまっています。再三の感染拡大にもかかわらず、感染検査(PCR検査)数は世界的にも最低レベルで、変異種の検査も大きく立ち遅れています。

いずれの実態も、感染実態を正確に把握して機敏に対策を講ずるという基本姿勢が政府にかけていることを示すものです。

(2) 国内でも世界でも、感染拡大のもとで休業、外出制限がおこなわれ、それにともなう経済的支援が行われています。IMFの調査では、2020年末までに世界各国がコロナ禍の経済対策で支出した総額は13兆8750億ドル(約1445兆円)にのぼります。

日本は、アメリカに次ぐ財政支出を行っていますが、その中にはGoToキャンペーンの経費既存施策の盛り込ませも含まれ、財政支出規模に応じた効果を市民が受け取ることができないのが実際です。

国際NGO・オックスフォムの調査では、世界全体の10億ドル以上の資産を持つ富裕層は2020年3月~12月までに資産を3兆9000億ドル(約404兆5000億円)増やして総資産は11兆9500億ドルに達し、その資産増額はG20各国がコロナ対策で投じた財政措置の総額に匹敵すると指摘しています。コロナ対策のともなう財政支援が、株などの投資を通じて富裕層に「回収」され、コロナ禍で格差が天文学的に拡大しており、新自由主義の非人間性はここでも示されました。

コロナ禍での富の偏在の強まりへの批判の高まりもあって、2021年4月に開催されたG20の財務相・中央銀行総裁会議では法人税率引き上げが論議の対象となる変化も生じています。

新自由主義をのり越えていくことは、世界共通の課題です。

(3) ILOの調査では、2020年に世界全体の総就労時間は前年比で8.8%減少しました。常勤労働者換算で2億5500万人分の雇用喪失にあたります。とりわけの悪影響は、サービス産業などで働く非正規雇用労働者、女性、外国人労働者などより脆弱な労働者と事業者に強く及んでいます。

それは日本も例外でありません。政府の労働力調査の結果では、2020年平均で、正規雇用労働者は36万人増の一方で非正規雇用労働者は75万人減少し、このうちの3分の2にあたる50万人は女性非正規雇用労働者の減少です。雇用喪失と賃金の減少が女性などに集中し、深刻な貧困が生じ、いのちと暮らしの危機を招く事態を生じています。雇用の場でも人間の尊厳を実現するルールの整備が求められています。

(4) 2021年4月時点で、2020年2月以降のコロナ関連の企業破綻は1300件を超え、2020年の休廃業は5万件弱と前年比で14.6%増となりました。サービス産業で、内部留保等の「体力」のない中小零細企業・事業者にコロナ危機の悪影響が集中し、雇用と地域経済に深刻な打撃を与えています。

さらに、菅政権が進める「中小企業再編による生産性向上」施策や、家族農業切り捨ての「農業グローバル化」がより事態を深刻化しています。強者のみ生き残る市場任せのままでは、地域経済の持続可能性が失われ、産業間、地域間の格差が一層激化する恐れさえ生じています。コロナ危機は地域経済の持続可能性という課題をより顕在化させました。

(5) コロナ危機に便乗して経済的弱者に痛みを押し付ける政策への市民、業者、労働者の異議の申し立てに押され、財政による個人給付や休業補償などの「救済策」がとられました。

そのこと自体は新自由主義施策の微修正ですが、施策の財源は富裕層への課税などによる富の再配分ではなく「借金頼み」であり、内容も不要不急の経済対策を引きずり、「遅い、少ない、的外れ」の小手先の対応にとどまった結果、格差と貧困の進行は放置されたままです。この点は、新自由主義施策に固執する自公政権の矛盾でもあります。

(6) コロナ対策を口実に、市民の基本的人権を侵害する私権制限や公権力介入の動きを強める「惨事便乗」も見過ごせません。

日本学術会議会員6名の任命拒否は、「学問の自由」「表現の自由」を真っ向から否定し、政府に忖度する組織へと変容させる思惑が背景にあります。また科学を軽視する政府の姿勢と、異論の排除が戦争する国づくりへの暴走とが密接に関連していることを明白にしました。

コロナ感染対策を口実にした「コロナ特措法」、感染症法等の改定では、休業要請に従わない場合や入院勧告を拒否した場合の罰則(過料)が規定され、公権力の私権介入に大きく踏みだすものとなりました。

さらに、コロナワクチン接種とマイナンバーカードの紐づけ論議や、コロナ感染対策をも口実としたデジタル庁設置法案の国会提出、安全保障を口実とした「土地利用規制法案」の提出など、監視社会への動きも強まっています。

4月13日、菅首相は、福島原発事故で大量に発生した「放射能汚染水」の海洋投棄方針を決定しました。原発事故から10年経過し、今なお故郷に帰れない多くの住民と、放射能の恐怖や風評被害に耐えながら必死に暮らしと生業の再建をめざす福島県民の声を踏みにじっての決定は、民主主義軽視の姿勢を如実に示すものです。

権力による基本的人権侵害を許さない反撃がいよいよ重要となっています。

 

3 「アベスガ政治」の害悪

(1) 医療崩壊の懸念が現実化するほど脆弱な日本社会の現状は、8年余り続いた「アベスガ政治」でより深刻化しました。

 1980年代の中曽根行革以降の政府は、規制緩和と民営化を中心とする行政改革、構造改革の新自由主義政策を一貫して進めてきました。その結果、市民のくらしの基盤を支える社会保障制度を切り刻み、雇用の不安定化と賃金低下が進行し、エッセンシャルワーク(人びとが生活する上で欠かせない仕事)を含めたあらゆる産業分野で市場化が強行されつづけました。

選択と集中、自己責任を強制する政治が、税、社会保障による富の再配分機能を空洞化させ、一握りの「勝者」に富を集中させる経済構造をつくってきたのです。

(2)そのような社会の矛盾を「アベスガ政治」はさらに深刻化させました。

一つは、アメリカとともに戦争する国に名実ともに進めたことです。

安全保障法制(戦争法)の強行は、歯止めのない軍事費増(2012年度と2020年度比で6000億円・12.7%増)と自衛隊武器装備の「アメリカ軍並」化、辺野古、馬毛島の新基地建設の強行などは、市民のくらしと権利、平和の破壊という実質改憲の日常化にほかなりません。

とりわけ、沖縄では、米中の覇権争いや尖閣列島をめぐる緊張もあって、民意を蹂躙し、司法も含めた国家権力総出で沖縄県民の民意を蹂躙する辺野古新基地建設や、宮古島等での自衛隊基地増強、沖縄在日米軍基地の強化などがさらに強まっています。

4月の日米首脳会談でも、米中の覇権争いのもとで緊張が高まっている台湾での有事を想定して、日米軍事一体化、軍拡と基地強化が強調されました。政府は、台湾有事で自衛隊が米軍支援に踏み出す安保法制適用を否定していません。

(3) 二つは、社会保障の解体、切り下げの連続です。社会保障解体が、「アベスガ政治」の新自由主義政策の中心課題と言える状況です。

2012年から20年度までに、社会保障の自然増分は1兆8300億円が削減され、生活保護も含めた社会保障制度の連続改悪が強行されました。2021年度予算でも後期高齢者医療費本人負担増などで社会保障費1700億円が抑制されようとしています。

医療体制についても、2021年度以降も公的病院再編の地域医療構想を維持し、2023年度からの医学部定員削減を行おうとするなど、コロナ禍への政治的責任を自覚しようとさえしていません。

(4) 三つに、「アベノミクス」が格差と貧困を拡大し、財政破綻の危険性を高め、社会の持続可能性を損なっていることです。

 2020年度末の国債発行残高は936兆円と見込まれ、2012年度から246兆円・35%も増えました。そのことが、コロナ対策の財政面からの制約要因ともなりました。

2019年10月に消費税を10%に引き上げ、消費に冷や水を浴びせ、経済的弱者に痛みを押しつけたところにコロナ危機が追い打ちをかけました。

株価だけが実体経済を離れて高騰し、日経平均の株価は2012年12月から2021年3月末までのあいだで2.9倍に上昇しています。バブルといえるような株価を日銀と年金積立金が支えるという「官製相場」の状況は極めていびつです。

 増税と言えば消費税、経済対策と言えば株価対策、という政策の弊害は明らかです。

(5) 四つに、「ヒト、モノ、カネ」が国境を越えて自由に移動するグローバル経済に依存し、国内産業の保護、育成や国内需要の喚起を怠ったことが、例えばインバウンド頼みの観光産業等へのコロナ感染の影響を甚大にしました。

コロナ感染が世界的に広がった2020年春の段階で、食糧輸出制限の動きが世界的に広がりましたが、食料自給率40%弱という日本の現状を改める農政などの転換の動きを政府は示していません。

雇用によらない働き方などさらなる雇用流動化が雇用政策の中心とされ続けているのも、大企業の国際競争力強化一辺倒という新自由主義経済に固執し続けるからです。

コロナ危機の実際は、経済政策の根本からの転換を求めていますが、そのことへの対応の意思も能力も「アベスガ政治」の中から見出すことはできません。

(6) 五つに、政治と行政を私物化し劣化させ、政官財の癒着を深刻にしました。

菅政権になっても、吉川元農水省の鶏卵贈収賄疑惑、菅首相長男の総務省幹部接待疑惑が露見し、安倍政権の官房長官当時から引き継ぐ河井夫妻の選挙買収事件では、有罪となった河井案里前参議院議員が辞職するなど、金と政治をめぐる事件は後を絶ちません。

こうした政治の劣化は、自公政権のもとで「数は力」の政治、立憲主義から逸脱した政治が長らく続いたことと無関係ではありません。それだけに、立憲主義の回復、民主主義の回復を正面にかかげる政治の実現をせまる市民運動は、菅自公政権を追いつめる中心の課題です。

 

4 市民の立ち上がり・・・声をあげれば変えられる

(1) コロナ危機の影響もあって、声をあげ、異議を申し立て、政治的な影響力を発揮する市民の動きが高まっています。また、差別や不平等の根源を問い直す動きが人権思想を豊かに発展させ、民主主義を取り戻す動きも顕在化しています。

コロナ危機は、いのちくらしの危機と政治との関係を鮮明にすると同時に、コロナ危機の影響が平等ではなく、人種、性、雇用、地域、年齢などによる格差があり、そのいくつかは歴史的、社会的に作りだされた構造的差別の反映であることを明らかにしました。

 アメリカでのBLM運動の高揚は、過去の植民地支配の「遺物」の見直しに進みました。ケア労働を女性や社会的弱者に押しつけていることへの批判をともなってエッセンシャルワーカーの労働実態の劣悪さへの関心も世界的に高まりました。

(2) このような世界的な人権意識の変化に無頓着なリーダーが権勢をふるう旧態依然とした社会状況にあることを明白に示したのが、森・東京オリンピック組織委員長の女性蔑視発言であり、発言に対する委員会関係者や政治家の「森擁護発言」でした。

 市民の意識と政策決定等に強い影響を持つ政治家の意識の乖離は、雇用の場での格差の放置や次世代育成の障害となり、ジェンダーギャップ指数が世界120位という恥ずべき事態が放置され、選択的夫婦別姓の制度化論議が後退するなど、制度政策の構造的な課題となっています。

 戦前来の家父長制に固執しつづける旧弊を排し、個人の尊厳の実現をめざす政治への転換が不可欠です。

(3) 日本学術会議会員任命の拒否直後に取り組まれた「撤回を求めるネット署名」10日間で14万3691人を集約して提出(本年4月提出の別途同趣旨の署名6万2000人分を合わせると、累計20万人余に)され、「森会長の処遇の検討及び再発防止を求める署名」は2日間で12万人超を集約するなど、SNSを活用した世論喚起の運動の広がりも見過ごせません。

 東京高検黒川検事長の定年延長に抗議し辞職を求めるネット署名が35万1018人の賛同を集め、「#検察庁法改正に抗議します」のツイートが1千万件を超えて拡散され、政治を大きく動かしましたが、その流れはコロナ禍でさらに強まっています。

(4) 1月21日に発効した核兵器禁止条約は、核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用、威嚇としての使用のすべてを国際人道法と国際人権法に反する違法なものとしています。核兵器を違法化し、市民の人権を著しく侵害する非人道の兵器と規定するこの条約は、平和的生存権を前文で明記する憲法とも一致するものです。

被爆者と世界の市民の運動の粘り強い取り組みが作り出したその到達点を前進させるためにも、日本政府に条約の批准を迫り、核抑止力論から脱却することは、東北アジアの非核化、平和の実現に大きく寄与するものであり、私たち被ばく国民の責務でもあります。

(5) ミャンマー国軍によるクーデターに対する国民の不服従の抵抗、タイでの民主化を求める市民・学生の運動、ベラルーシでの大統領辞任を求める市民の抗議デモなど、自由と民主主義に実現、擁護を求める運動が続いています。

 その一方で、中国の香港民主化弾圧とウイグル人弾圧、市民監視の強まり、ハンガリー、ポーランドでの強権政治の強まりなど、コロナ危機も利用した民主化の弾圧もおきています。

アメリカでは、ポピュリズム、扇動政治をつづけたトランプ氏が大統領選挙での敗北を早期に認めなかったことが、民主主義の象徴ともいえる国会議事堂をトランプ支持者が占拠するという異常な事態となりました。

世界的にも、民主主義か独裁、強権政治か、ポピュリズムかのせめぎあいが激しく続いています。

 

5 情勢の激動などをふまえた「市民と野党の共闘」の進化

(1) コロナ禍で「市民と野党の共闘」はさらに前進し、力を合わせて菅政権を倒し、自公政治に代わる新しい政権の実現をめざす段階に進みました。

 2021年1月の立憲民主党大会で枝野代表は「新型感染症…によって明らかになった日本社会の弱さと脆さから『命と暮らしを守る』、そのために機能する政府をつくるため、『政権交代の選択肢となる』」、この二つが目標だと述べました。

 2020年12月の日本共産党第2回中央委員会で志位委員長は、「市民と野党の共闘」の力で次の総選挙で菅自公政権を倒し、政権交代を勝ち取り、新しい政権――野党連合政権をつくろう」と呼びかけ、新自由主義からの転換などをめざす「新しい日本をつくる五つの提案」を実現する政権の選択を呼びかけました。

(2) 市民連合は9月に「立憲野党の政策に対する市民連合の要望書(-いのちと人間の尊厳を守る『選択肢』の提示を)」を5野党2会派に要望し、2月初旬には菅政権に代わる選択肢を野党がまとまって示すことを求めました。また、4月25日の衆参両院の補欠選挙等で、野党統一候補の実現に中央および各地の「市民連合」が重要な役割をはたし、「市民と市民をつなぐ」、「野党と野党をつなぐ」、「市民と野党をつなぐ」という市民連合の役割を発揮しました。

(3) 新自由主義からの転換をめざす政策的な共同が急速に拡大しているのは、こうした奮闘とともに国会内での野党共闘が前進してきたことも大きな要因です。

 2020年秋の臨時国会までに、野党が共同提案した法案は、「安保法制(戦争法)廃止法案」、「原発ゼロ基本法案」、「被災者生活再建支援法改正法案」、「新型コロナウイルス休業者、失業者支援法案」など57の法案にのぼります。

 開会中の国会でも2020年度補正予算でGoToトラベル関連予算を取り下げてコロナ感染対策のための医療支援や生活支援に充てる「予算組み替え動議」も共同して提出されています。

 この到達点を大切にし、市民がさらなる発展をそれぞれの地域・分野からも野党に求め続けることが、「アベスガ政治」に代わる連合政権樹立を現実にする確かな道だといえます。

(4) 全国で革新懇組織と賛同団体は、多くの市民とともに、「アベスガ自公政治」の悪政とたたかい、切実な要求の実現に力を尽くすとともに、「市民と野党の共闘」の発展に全力で取り組んできました。

コロナ禍のもと、各地で住民の要求を取り上げ、いのちと暮らし、営業を守るため、シンポジウム、自治体要求、申し入れ、食料支援運動などを展開しました。全国革新懇は2020年12月、シンポジウム「コロナ危機をのりこえる新しい社会をめざして」を開催しました。

憲法署名に取り組むとともに、学術会議の任命拒否問題では、「日本学術会議会員の任命拒否の撤回を求めます」署名を全国革新懇としても提起し、二次にわたり6万人余分、提出しています。

住民自治と民主主義を破壊する大阪維新とのたたかいを重視し、大阪住民投票では現地支援に取り組み、勝利に貢献しました。

「市民と野党の共闘」の発展では、各地で各野党代表と団体代表などが並んでの共同宣伝行動(北海道、兵庫革新懇など)、各野党代表が参加しての懇談会(岩手、大阪革新懇など)、「市民連合」政策要望を学び、野党代表も参加して地域の共通政策づくりの意見交換会(滋賀革新懇など)、市民団体と協力しての市民連合づくり(東京、ヒロシマ革新懇など)など多彩に取り組んでいます。4月の衆院北海道2区、参院長野選挙区の両補選、参院広島選挙区の再選挙は困難をのりこえ、3つとも「市民と野党の共闘」の統一候補が勝利しました。菅自公政治への国民の強い怒りが示されるとともに、「市民と野党の共闘」の力があらためて立証されました。このたたかいでも各地で革新懇と賛同団体は、多くの市民と力をあわせて積極的な役割を担いました。

 

Ⅱ 総選挙勝利と「市民と野党の共闘」の発展 そのための革新懇運動の課題

1 総選挙の目標と革新懇

(1) 革新懇は、「3つの共同目標(①経済の国民本位への転換、②憲法をいかした自由、人権、民主主義の発展、③日米安保条約の廃棄)」をめざすともに、一致する要求課題での共同を追求し、社会の進歩のために力をつくしてきました。

 くらしと経済がかつてない困難に直面し、アメリカへの従属と大企業の利益を優先する政治と社会の仕組みをより強固にしてきた新自由主義の行き詰まりが明らかな今、「3つの共同目標」を正面に掲げ、いのちとくらしを守る共同のとりくみで、革新懇が果たすべき役割はより大きくなっています。

(2) 2021年総選挙に勝利し、野党共闘勢力が多数を占め、菅自公政権に代わる政権を実現するために全力をあげます。さらに新政権がおこなう新しい政治をしっかりと支え、発展させるために革新懇運動のいっそうの飛躍をめざします。

全国で市民連合との連携をさらに深化させ、「政策要望15項目」に応える政権づくりにむけた共闘前進の一翼を担うよう論議と意思統一を深めます。

 市民と野党の統一候補が実現した選挙区ではその候補者の勝利をめざします。同時に、「市民と野党の共闘」の前進、発展、強化のためにも「三つの共同目標」を支持する政治勢力の躍進をめざし、各革新懇や賛同団体それぞれの条件に応じた取り組みを強めます。

 この間の新潟、岩手、埼玉、高知県知事選挙などの地方自治体の首長選挙での「市民と野党の共闘」前進の経験にも学び、都道府県革新懇、地域革新懇とともに自治体首長選挙での野党の共闘実現に挑戦し、統一戦線のうねりを草の根から広げることをめざします。

2 「市民と野党の共闘」で切り拓く新しい政治 革新懇の要求とめざす社会

(1) コロナ危機の克服のためにも、新自由主義から転換していのちとくらしをまもる政治の実現をめざします。

 政府の責任による医療・介護・障害福祉・保育などケアワークの人びとの待遇改善を求めます。社会保障削減をやめ、拡充への抜本的な転換を求めます。

 8時間働けば暮らせる人間らしい雇用のルールの整備を求めます。労働法制の規制緩和路線を抜本的に転換し、最低賃金を時給1,500円に引き上げることを要求します。

 地方経済の立て直しの柱に中小企業と農林水産業の振興を位置づけるよう求めます。コロナに乗じた中小企業「淘汰」の政策をやめ、歯止めなき自由化路線を見直して、農業への所得・価格保障の拡充を求めます。

コロナ禍で深刻な困窮に陥っている学生への支援強化として、大学等の学費負担の軽減と給付制奨学金の創設を求めます。

 消費税を緊急に5%に減税し、インボイス制度の実施を中止し、コロナ禍でも資産を増やしている富裕層、大企業に応分の負担を求める税制改革を求めます。

(2) 憲法をまもり、いかして立憲主義を回復し、自由と人権、民主主義の発展をめざします。

安保法制(戦争法)、秘密保護法、共謀罪などの憲法違反の法律の廃止、集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を求めます。

 「森友問題」「加計問題」「桜を見る会」の問題など、一連の国政私物化疑惑の徹底的究明を求め、内閣人事局の廃止、日本学術会議の任命拒否の撤回など強権政治からの転換を図ります。

 憲法9条改憲を阻止し、国民投票法改定案の廃案など改憲発議につながる一切の動きに反対します。改憲発議に反対する緊急署名に取り組みます。

(3) 対米従属の軍事同盟から抜け出し、自主・自立の平和外交への転換をめざします。

 沖縄県民の民意に背く辺野古新基地建設の中止、普天間基地の無条件返還を要求するとともに、日米地位協定の抜本的改正を求めます。

 米軍への「思いやり予算」の中止、高額武器の「爆買い」、「敵基地攻撃」能力保有のための武器購入など軍拡予算の見直しを求めます。

 核兵器禁止条約の早急な署名・批准を求めます。

(4) 原発に依存せずに脱炭素社会への転換をめざします。

地球規模の環境破壊を止めるため、大型石炭火力の建設計画の中止、既存施設の計画的停止・廃止、再生可能エネルギーへの転換で、コロナ危機からのグリーン・リカバリーを求めます。

 原発の再稼働の中止、「原発ゼロの日本」を求めます。福島第一原発の汚染処理水を海洋放出することに反対します。

 地震大国・日本にふさわしい災害対策を拡充します。

(5) ジェンダー平等社会の実現、多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する社会をめざします。

雇用におけるジェンダー差別の撤廃、選択的夫婦別姓制度の実現、同性婚の法的整備、強制性交等罪の「暴行・脅迫要件」の撤廃を求めます。

社会のあらゆる政策・意思決定の場におけるジェンダー平等を求めます。

外国人労働者への差別をなくし、労働者としての権利保障を求めます。移民の人権保護を向上させ、出入国管理の改善をめざします。

高校までの少人数学級の速やかな実現を求めます。

 

Ⅲ 情勢の発展にふさわしい革新懇づくり 

地域の共同、「市民と野党の共闘」を担う革新懇を全国各地の津々浦々につくることは、自公政治を転換し、野党連合政権をつくり、さらに支え、発展させる組織的土台となります。その組織的力量は、統一戦線の強さ大きさの度合いに直結します。

1 革新懇づくりと「全国革新懇ニュース」の到達と教訓、課題

(1) 情勢の発展に対応した革新懇づくりを 革新懇づくりの到達点

40周年を革新懇は、869革新懇(地域革新懇701、職場革新懇141、青年革新懇27)、47都道府県革新懇、21革新懇準備会の計937革新懇で迎えました。いま革新懇は、賛同団体とともに、各地、各分野のさまざまな要求運動、「市民と野党の共闘」で不可欠の存在感を示していますが、その土台にこの組織的到達があります。

しかし、全国的にみるなら地域革新懇は、自治体数比で36%であり、野党連合政権を地域から守り、支える革新懇にはまだ大きな距離があります。情勢に追いついていないといえますが、逆に言えば大きな伸びしろがあるということです。

いま、野党連合政権を現実の課題として追求する段階を迎え、「確固とした展望をもった統一戦線運動の推進力」がいよいよ重要であることを大いに学び、各地の経験を交流し、革新懇づくりをすすめましょう。このなかで、「市民と野党の共闘」のなかで果たす革新懇運動の役割、「市民連合」との違いと関連、相互にとって代わるものでないことも大いに議論しましょう。  

(2) 「全国革新懇ニュース」の普及 5万部へ本格的に歩みだそう

「全国革新懇ニュース」は 29,842部の到達です(5月15日現在)。2016年に3万部を突破し、以後、全国各地の革新懇、賛同団体の努力によって3万部超の最高水準を維持してきましたが、コロナ禍による困難も重なり、2020年に3万部を割り込む後退をしました。多くの指摘があるように、「会員の高齢化、団体構成員の減少等による困難」は大きなカベです。しかし、減紙の実態をみると、会議の未開催、休眠、事務局体制維持が困難なため配達・集金の乱れなどは、革新懇活動の弱体化が反映しています。「全国革新懇ニュース」は、財政もかかわるだけに「正直に」組織の実態を示しているのです。生き生きした革新懇活動をつくりだすことが、「全国革新懇ニュース」普及の土台です。

大事なことは、「全国革新懇ニュース」普及の可能性と条件は存在しているということです。 実際に倍加、3倍化している革新懇も少なくありません。香川革新懇はこの10年で170部から3倍化となる600部を突破し、現在700部をめざしています。大阪・交野革新懇、神奈川・宮前田園革新懇など着実にひろげているところでは、地域の要求実現や関心事を企画化するとともに、焦点の政治課題で共闘に取り組んでいること、事務局と代表世話人会が確立し、新しい結びつきを広げるなかで、「全国革新懇ニュース」普及を意識的に追求していることが共通しています。また新たに誕生した京都・京北革新懇、神奈川・藤沢革新懇などが持続的に「全国革新懇ニュース」をひろげていますが、地域革新懇の結成が読者拡大にとっても大きな教訓となっています。兵庫・革新芦屋の会では「全国革新懇ニュースの読者会」を定例化していますが、購読を定着させる貴重な努力です。

「全国革新懇ニュース」紙面をいっそう魅力あるものに編集努力を強めること、各地の普及の経験、教訓を交流し、普及活動を独自に推進するうえで、全国革新懇事務室の役割は大きなものがあります。

(2)革新懇の役割 「市民と野党の共闘」を発展させる

≪三つの力と三つの任務≫

いま野党連合政権をかかげた本気の「市民と野党の共闘」を実現するために、革新懇運動が「確固とした展望をもった統一戦線運動の推進力」としての役割を発揮することが強く期待されています。そのために全国革新懇は、革新懇運動の三つの力―①政策の力(「3つの共同目標」をかかげて、どんな問題でも、日本の将来についても政策的展望をもっています)②組織の力(団体、政党、個人が結集する大きな組織力をもっています)③草の根の力(47都道府県革新懇と地域革新懇をはじめ900を超える大きな組織力、共同の力を草の根にもっています)―を発揮しようと、よびかけてきました。

革新懇運動は一貫して、①当面の要求実現と共同の発展②「3つの共同目標」の合意をひろげることを「二つの任務」として追求してきました。これを今日の段階にふさわしく発展させ、野党連合政権を実現するという歴史的な大事業をしっかりと位置づけ、①現実の国政の焦点をはじめ、各分野、地域要求の実現に全力を尽くしながら、一致する課題での共闘を守り、「市民と野党の共闘」を発展させる②「市民と野党の共闘」を土台にした連合政権の実現に全力をあげる③「国民が主人公」の政府をつくることを展望し、生活向上、民主主義、平和の「3つの共同目標」の合意をひろげることを独自に追求する――を「三つの任務」として追求します。

 

≪革新懇運動とは何か 賛同団体の役割≫ 

・全国革新懇はくりかえし、「一点共闘」の運動や「市民と野党の共闘」の発展というあたらしい情勢のなかで、革新懇運動を、全労連、新婦人、全商連、民医連、農民連、民青同盟など賛同団体、日本共産党、都道府県革新懇、地域・職場・青年革新懇、会員個人の運動の総体、全体としてとらえることの重要性を常に強調してきました。この視点でこそ、革新懇の持つ力がわかり、国民のたたかいのなかで果たしている役割をしっかりつかむことができます。今後もこの見地は、革新懇が国民的共同を発展させ、自公政治を終わらせ、野党連合政権、さらに「国民が主人公」の政府を実現する統一戦線運動を担うため大切になっていくでしょう。 

・賛同団体の役割として以下のような役割が期待されます。

①各団体が大きくなり、各分野で統一戦線を求める影響力を高める。各分野で要求実現の共同をひろげるとともに、新しい社会、政治を求めることと結んで、それぞれの領域での新しい社会像、政策提起を明らかにする。

 ②一点共闘、「市民と野党の共闘」、野党共闘の選挙闘争のなかで積極的な役割を果たす。

 ③革新懇運動の意義を団体のなかにひろげ、革新懇運動や事務局体制の確立、財政、地域革新懇結成などに積極的に参加する。

 

≪都道府県革新懇 情勢にふさわしい役割の発揮、体制強化の追求を≫

革新懇運動を今日の情勢にふさわしく発展させていくうえで都道府県革新懇の果たす役割は重要です。

都道府県内の政治動向、地方政治分析、選挙闘争への参画、各分野の運動全体を視野に入れた議論と活動をすすめるとともに、「市民と野党の共闘」の発展、「市民連合」との連携・協力、地域・職場・青年革新懇の活動交流、賛同団体との懇談などを担います。

この間、全国各地で革新懇が「市民と野党の共闘」の発展に尽力してきました。市民と各野党・統一候補との政策意見交換会・交流会(岩手、福島、滋賀、兵庫、ヒロシマ革新懇など)、選挙区候補者と比例候補者を招いた総会・学習会(愛知・みなと、岡崎、兵庫・川西、香川、香川・山田三谷地域、高知革新懇など)、野党合同街宣(北海道、新潟、兵庫、宮崎革新懇など)に取り組むなかで各野党、統一候補・議員と革新懇が日常的に懇談を重ね、ニュースに登場(長野県、山形・西置賜革新懇など)するなど日頃から関係を強め、政策、統一候補、野党連合政権などでの合意をめざし、条件に応じて革新懇が市民団体とともに「市民連合」づくり(宮城・多賀城、東京、千葉、滋賀、滋賀・長浜、奈良県、神戸中央区・港・灘・東灘、ヒロシマ革新懇など)にも努力してきました。また、昨年7月の東京都知事選で都内25全ての小選挙区で共産・立憲両党の合同選対ができ、18選挙区では「市民と野党の共闘」型選対が確立しましたが、革新懇が地域で共闘を進めてきた草の根の運動がその土台にあります。

都道府県革新懇の多くが結成40周年を迎えるなか、革新懇の役割をさらに探求する運動交流会・シンポに取り組んでいます(愛知、大阪、熊本など)。地域・職場・青年革新懇の活動交流、賛同団体、市民運動との懇談などを担いましょう。

コロナ対策拡充、学術会議会員任命拒否撤回、検察庁法改悪阻止などで都道府県革新懇が学習会、街宣署名、要請行動などを呼びかけて運動の共同を広げる役割を果たしてきました。また、大阪市解体阻止「住民投票」での勝利(大阪革新懇)、河井疑惑をただす会(ヒロシマ革新懇)、不正リコール署名問題追及と名古屋市長選(革新・愛知の会)などでも広範な市民との共同でたたかいました。

「団体、政党、個人」が結集する革新懇の力が発揮できるように代表世話人会での充実した議論、事務室(局)体制の拡充と事務室(局)長の専任化を追求しましょう。世話人など役員、事務室(局)員など積極的に女性と現役世代・若者に活躍してもらえるように努力しましょう。茨城県革新懇は「3.11のつどい」を開催するなど活動を再開・活発化させながら、6月に総会を開催し、活動を本格的に軌道に乗せていく予定です。

都道府県革新懇ニュースに、その地方の各界の著名人が登場し、対話と共同をひろげ、「市民と野党の共闘」を発展させるうえでも、大きな役割を果たしているのも、大切な活動として注目されています。

地域・職場・青年革新懇、賛同団体の力を合わせて革新懇運動を発展させるため、東京、神奈川、大阪、香川、熊本など各地でおこなわれている「活動交流会」「事務局長会議」をそれぞれの条件に応じて開催しましょう。

全国革新懇はオンライン開催も活用し、都道府県革新懇事務室(局)長会議を開き、全国会議やブロック会議の開催を追求します。

 

≪地域に網の目のように革新懇を すべての自治体・行政区(さらに校区革新懇を)≫

革新懇運動は、「地域が主戦場」と位置づけ、とくに地域革新懇の活動を重視してきました。地域でこそくらし、営業、医療・介護、教育、子育て、交通・住宅、環境など多面的な分野で、自公政治との矛盾が全面的にかつ深刻に表れ、そこでこそ待ったなしの切実な要求の実現を求める声が渦巻き、運動が生まれ、政治を変える力が蓄積されるからです。国政選挙をたたかうのも、憲法署名をすすめるのも、その宣伝・組織活動の主舞台は、地域です。

コロナ危機に際しても、「市長との懇談・要請で県内最速で10万円給付開始」(山形・西置賜革新懇)、「町民100人の要望を町に提出」(山形・高畠町民懇)、「公立病院縮小やめよ」(東京・えどがわ、さいたま市北区革新懇など)、「中小業者の営業守る支援を」(千葉・船橋革新懇など)、「コロナ禍での教育環境改善を」(大阪・藤井寺、佐賀・唐津革新懇)など全国各地の革新懇が自治体要請を行い、「緊急小口資金申請相談会」(新潟・あすの大江山を考える会)、「年越し街頭無料相談会」(兵庫・姫路革新懇)、「若者・学生への食料支援応援」(さいたま南区革新懇)など待ったなしの要求に対応してきました。また「IRカジノ反対」(横浜連絡会)、「水道料金値上げ反対」(埼玉・川口革新懇)、「戦争美化教科書不採択を」(東京・東久留米革新懇)、「国保引下げ実現」(香川・三豊革新懇)など市民の切実な要求運動に取り組んできました。

継続したスタンディング行動を地域革新懇が呼びかけ、「行動200回を突破」(神戸中央区、中原革新懇)、「ゲンパツいややん行動10年・390回」(大阪・寝屋川革新懇)、「100回目の宣伝行動」(佐賀・神埼・吉野ヶ里革新懇)などで改憲阻止、「アベ・スガ政治」許さない、原発ゼロ、沖縄新基地建設やめよなどを訴えています。

国政のどの課題でも、どんな地域要求も取り上げることができ、政治を変えることと結んで、共同をひろげてゆく、「要」「架け橋」「支え役」の役割を担う革新懇運動はいよいよ重要です。

地域の統一戦線運動の要、架け橋として、「市民と野党の共闘」を支え、地域の要求を実現し、地域から政治を変える地域革新懇を1,900余すべての自治体・行政区に網の目のように結成しましょう。さらに横浜市や香川・高松市などで取り組まれている校区革新懇など、いっそう地域に密着した革新懇つくりをすすめましょう。国政の焦点とともに地域の多彩な要求・関心事に応え、地域に根を張った豊かな多数派を形成しましょう。思想・信条、支持政党の違いを超えて、懇談を大切にし、一致する要求で、多彩で創造的な活動を重ねてきた革新懇運動をさらに豊かに発展させましょう。

昨年5月から、2つの地域革新懇が新たに結成されました。

千葉市・中央区革新懇は「コロナ禍のいまだからこそ地域に革新懇を」と昨年7月に結成され、政令市千葉市の全行政区に革新懇ができました。東京・福生革新懇は米軍基地に隣接する地域革新懇として「国政を変えるために語り合い、結集する基盤に」と11月に結成しました。また再会総会を昨年開いた和歌山・橋本革新懇(7月)は「野党共闘、共同候補擁立の申し入れ」、岐阜・飛騨地区革新懇(8月)は「コロナを問うシンポジウムで野党議員が参加し発言」(飛騨地区)など活動を活性化しています。

これらの革新懇の教訓は、くりかえし明らかにされています。①地域要求、国政課題をふたつの柱にして取り組む②一つひとつの企画のなかで、新しい人とのつながりを追求する③多様な共同行動、共同組織と協力・連携する―が意識的に追求されています。また実際の運営や活動では、①事務室(局)長の専任化と事務室(局)、財政体制の確立②会議の定例化③企画・行動(要求と関心事)の具体化④身近な地域ニュース発行と「全国革新懇ニュース」の普及―が共通しています。

 

≪コロナ危機のもと、職場革新懇運動の可能性を追求し、引き継いでいきましょう≫

いまコロナ危機下の労働の現場には、これまでにない状況が生まれています。多くの職場で「テレワーク」の大合唱のもと働き方が変わるなかで労働強化、孤立、賃下げ、雇止め、失業の危機に直面しています。大阪損保革新懇はニュースで、疲弊する現場の声を明らかにし労働の実態把握を企業へ求めています。医療・介護・保育をはじめ日々のくらし、社会を支える労働に改めて光があてられています。またコロナ危機が、憲法をじゅうりんし、政治を私物化してきた安倍政治、これを継承する菅政治の無策ぶりが誰の目にもわかりやすくなっているもとで、要求と政治について、取り上げ、発信していく職場革新懇運動の新たな可能性が生まれています。愛知・あいち金融革新懇は数年ぶりに活動を再開し、「コロナ禍で地域を支援する金融の役割」と学習交流会を開きました。

大阪・憲法を行政に生かす財務の会(職場革新懇)は、森友問題文書改ざん強要で自死へ追い込まれた赤木俊夫さんを忘れない、と運動に取り組むとともに国民本位の公務労働職場の再建をと訴えています。

職場革新懇には、独自の困難があり、現状は退職者が中心になっています。しかし職場革新懇運動は、労働組合の違いを超え、非組合員も管理職も、正規も非正規も、現職も退職者も、誰でも参加できる特徴があります。神戸市での全国交流会を契機に保育労働者が革新懇運動にとりくむ「神戸のよりよい保育をめざす会」(職場革新懇)準備会が発足し、332名分の保育労働アンケート、市議会への要請行動にとりくみ結成を目指しています。職場革新懇運動の可能性を追求し、引き継いでいきましょう。

 

《すべての都道府県で青年革新懇の結成を》

現在、青年革新懇は結成27、準備会が7つ、つくられています。

昨年11月、香川県高松市の山田地域(旧山田町)で、山田青年革新懇が結成されました。雇用や賃金のあり方など若者の働き方の要求に応え、話し合える場をつくろうと立ち上げ、労働問題を考える「わーくワクカフェ」を連続で開催しています。結成をめざす準備会もつくられています。昨年10月に岐阜・飛騨青年革新懇準備会、同月に大阪・交野青年革新懇準備会が発足しました。飛騨青年は非正規雇用や人間関係など「職場の悩みを語ろう」と呼びかけ地元で働く青年が集まっています。交野青年は市職やデイサービスセンターなどで働く青年が「地元で暮らす青年が本音で語り合える居場所をつくろう」と語り合っています。働き方の問題を通じて、政治や地域社会のあり方を探求し発足していることが特徴です。

コロナ禍のなかオンライン活用も進んでいます。愛知・青年ネットAICHIは弁護士、医療従事者も参加した「コロナ社会を生きる私たちの権利」、環境活動家を招いた「持続可能な社会をめざして」の学習交流会、神戸市中央区・チーム・アンカーは結成1年を迎えた総会で学習会「ゼロから分かる、政治とカネ」をオンラインで開催し、県外の青年革新懇メンバーとの交流も生まれています。

青年革新懇の新結成や、活動の継続と発展は、都道府県革新懇や地域革新懇の支援が力になっています。また、青年とベテランの交流の場を持つこと、運動に共同で取り組むことで理解を深め合っています。革新懇運動の担い手も高齢化が進み、世代交代は差し迫った重要課題です。その参加を促す努力を重ねるとともに、そのエネルギーを発揮してもらう場として、すべての都道府県で青年革新懇の結成をめざしましょう。

 

《総選挙を受けて開かれる、全国交流会in神奈川を成功させよう》

全国革新懇は「地域・職場・青年革新懇全国交流会 in神奈川」を今年11月13日(土)・14日(日)に川崎市内で開催します。総選挙を経た交流会です。都道府県革新懇から地域、団体へ大いに参加を呼びかけ、全国の教訓を学び運動と組織を前進させましょう。(コロナ感染の状況をみて、参加規模・形態は適切な対応をします)

 

《SNSについて》

コロナ感染下でオンラインツール(Zoomやyoutubeなど)が注目されました。大阪革新懇の講演会で活用した経験などからも、これまで革新懇の催しに顔を見せなかった方たちの参加があるなど、いっそう広範な人びとの新しいつながりもつくられています。積極的に活用し、各革新懇と交流の頻度を高め、運動を広めていきましょう。

いま若い世代の体制支持・保守化が進行しています。自民党政権の支持率が一番高い世代、9条改憲にもっとも賛成の多い世代は、18歳から20代、30代です。これを反映してSNSを情報源とする層も同様の傾向を示しています。私たちが、SNSにもっと習熟し、革新懇運動からの情報発信を急ぎ強化していくことは喫緊の課題です。

・ホームページは3年前にリニューアルしました。さらに活用・情報発信をしやすいように追求します。

・facebook「全国革新懇グループ」、twitterの活用をすすめます。各地の活動の告知ツイート、運動への参加、署名のよびかけなどに利用していきます。

 

《出版物の発行と普及》

全国革新懇はこの一年間、次の宣伝資材、出版物を発行しました。

『くらし大切へ #私が政治を変える』、『選択肢がここに #野党へ政権交代』の2種ステッカーを作成しました(20年10月、7281組普及)。「青空のような青地に白抜き文字がくっきりはっきり訴える。次の選挙で必ず野党政権の成立をと心を引き締める」(兵庫・女性)との思いを映し、全国各地に貼りだされています。

シンポジウム「コロナ危機をのりこえる新しい社会をめざして」記録集を発行しました(21年2月、4452部普及)。「最新の情報が集められたとても良い記録集」(東京・男性)と好評で、多くの活用がされています。

各地革新懇が出版物を発行しました。

福井・南越革新懇が結成20年『記念文集』を発行(20年5月)。

大阪・交野革新懇が再結成10周年を記念して『10年のあゆみ』を発行(20年6月)。

奈良革新懇はオールカラー版リーフレット「『革新懇』ってなあに?」を作成(20年9月)。

川崎の平和で住みよい社会をめざす宮前市民の会(宮前田園革新懇)が結成25年誌「平和で住みよい社会をめざして」を発行(20年10月)。

兵庫・中央区革新懇は『35年の歩み「革新懇の旗を掲げて」』を発行(20年10月)。

兵庫・革新芦屋の会は会員を増やして革新懇運動を広げようとリーフレットを作成(20年12月)。

大阪革新懇は結成40周年記念誌『今日とちがう明日を拓く』(20月5月)を発行、40周年事業の記念講演会(斎藤幸平さん)DVD制作(20年7月)。また、大阪革新懇が参加する「軍学共同いらない!市民と科学者の会・大阪」(大阪平和委員会、日本科学者会議大阪支部)が冊子『日本科学者会議任命拒否 ねらいと問題点―軍事研究との関わりについて』を発行(21年2月)。

 

 

40年前、全国革新懇の結成総会で、「この運動が発展すれば、必ず2倍、3倍となって、日本の多数派を代表する勢力の源流として成長することができる」との発言がありました。いま日本の政治史上、はじめて国民が政権を交代させ、連合政権をつくりだすという歴史的な大事業がはじまっています。これからもさまざまな困難、紆余曲折はあるでしょうが、歴史の大きな流れに確信を深めて、心ある多くの人びとと力を合わせて、希望ある未来へすすみましょう。

以 上

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